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二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.38 )
- 日時: 2012/12/17 21:52
- 名前: ウルフラム (ID: fOW/FHMu)
午後4時12分47秒。
「はぁ……、はぁ」
集は白杖を地面に叩きつけながらも、足を運ぶ速度を一切緩めることなく、若干小走りで黄色い点字ブロックの上を歩行していた。
体越しに伝わってくる独特の振動音からして、集が今いる場所が車の走っている道路の歩行者専用脇道であるとは推測がついた。
目が見えなくなってから、その手の五感が発達したのか都会特有の、あくせくした騒音が耳に響いてくる。
それでも、コッコッと白杖を小刻みに叩く音が耳に伝わってきて、車の振動音でそれがかき乱されたらと感じていた集を一抹の安堵感が包み込む。
白杖をしっかりと握る義手の右手からは、点字ブロック特有の振動と感触が伝わってきて、集自身が歩むべき道が正しいということを示してくれている。
「まだっ、まだだ」
しかし、それでも集が目指している場所には、まだ距離がかなりあった。
ざっと言って3キロ、否、それ以上距離的には存在するかもしれない。健目な人間でも3キロの距離を移動するのに徒歩を用いると決心する人間はさしていない。にも関わらず、集は道から道へと白杖を叩きながら地道にだが、着実に足を運んでいた。
「もう一度、あの場所に。あの場所に、行かなきゃ」
集自身に確信があったわけではない。
また誰かが言っていたわけではない。
でも。
集は迷いもなく歩を進め
ただ前だけを見つめていた。
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