二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.43 )
- 日時: 2013/01/08 07:16
- 名前: ウルフラム (ID: rc1iwi.s)
「開けるよぉ」
ツグミが右手で握っていた電子ロック式のドアの鍵に、青い光沢のあるIDカードを横に差し込む。
途端に電子ロック特有のウィーンという機械音と同時に扉のロックが外される。
ツグミはそれに合わせるように右手のみで扉を開け、左手で綾瀬の車椅子を器用に部屋に入るように押す。全てが終わってからのここ四、五年の機械の発展と成長は凄まじく、女性が車椅子を軽く押すだけでそれ以上の力で押すことができるようになっている。
扉を開け、綾瀬の部屋に入ると、パッとした白を基調とした全体的に広々としたスペースの他、綾瀬本人が生活しやすいように段差はまるでない部屋がツグミの目に入る。
ツグミは玄関で一悶着した後、綾瀬の車椅子をベランダのある大窓の近くまで持っていき、窓の前でひと伸びする。
「ぅう〜んっ!!!…………はぁ…………、今日、ムチャクチャ楽しかったっ!!そう思わない、綾姉ぇ?」
ツグミが綾瀬に話かけるが、それでも尚、どこか寂しげな表情を崩すことなく、綾瀬が俯きながら言う。
「うん、そうね。楽しかった」
「…………」
「…………」
「はぁ」と意味あり気な溜息を軽くついた後、ツグミは窓の外に浮かぶ平和な、本当に穏やかな東京の夜景の街並みをみながら、淡々と、独り言のように、綾瀬に語りかけた。
「あたし達はさ……。ハレのこと、集や八尋や颯太や花音より、よくは知らないんじゃん?
……なんていうか、あたし達が思っていたハレのいる場所と、集達が思っているハレのいる場所には、埋められない、どうしようもないくらいの境目があった。
ほら、葬儀社の面子って、アンときはあんまり集の友達がどう、って思わなかったからさ。
だからあたしは。いや、あたし達は……。前に集が本当の『王様』になって、自分の感情を押し殺して、罪の王冠を無理矢理に被っていた理由が……、あたし達には理解出来なかった。
……みんなが分からなかったっていうのは、勝手な憶測なんだけどね…………。それでも、自分の心を傷つけて、独裁者の殻に籠もって、……悪役になってまで、守りたいものって、一体なんだろって。
……自分が涙を流しても、やらなくちゃいけないことって……。
でも……、それが今日、少しだけ分かった気がする。ハレの為に、たった1人の「友達」の為に、罪の王冠を手にした集の気持ちが、さ。少しだけ、分かった。」
「集を見てたら、感じてあげていたら、想ってあげていたら、もう少し前にちゃんと、集の気持ちがわかったのにね…………………………。」
……………