二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.46 )
- 日時: 2013/02/15 22:09
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
めちゃ久の本編、更新です!アルゴ回最終かもです。
本編。
午後4時28分47秒。
「詳しい事は後日連絡します。今の現状はまだ待機していてください。これから、葬儀社の面々との音信を回復しなければいけないので。それではアルゴ、また」
通話先からあの妙に重々しい声がこちらに再度届いたと同時に、アルゴはボーッとしていた頭を働き起こし、最低限必要な日本語での呼応を行う。
「…………そうだな。あぁ、また」
アルゴはタブレット型通話機器を耳から放し、通話終了という赤く点滅した3D上のアイコンディスプレイ表示をさりげない動作でクリックする。
アルゴが通話終了を押すと画面は瞬時にコバルトブルーの通話終了画面へと切り替わり、先程の通話時間と通話料という情報がアルゴのタブレット端末に映しだされた。
通話時間、26分8秒。アルゴの葬儀社での上司であった者からの通話にしては、随分と長い間喋っていたと言えるに等しいものであった。今となっては、葬儀社の面子がどうこうというような連絡はほぼ皆無であり、仕事先やお得意先との連絡が大半を占め、唯一途切れなかったのが先程まで連絡していた四分儀のみという風な状況であった。
アルゴは一度、三十分程前までいた社長室を静かに覗き込み、未だに社長席に座り、怒り心頭の様子でちまちまと自分の金メッキに輝く腕時計で時間を確認している女社長の姿を目だけで目視すると怖気づいたのか、はたまた安心したのか、一瞬どうにもならないような溜息をつき、社長室の前から遠ざかり、そのまま自分の主としているデスクに戻った。
アルゴのデスクには契約先やら何やらの紙束がドサッと大量に乗っかており、全てを済ますのには少なく見積もっても残業して終わるか、という程であった。
しかし、アルゴはその膨大な紙束には目もくれず、そそくさと自分のデスクの前に立ちながら必需品だけを順に手に取り、まだ黒光りしている皮バックの中に不器用に詰め込んだ。
「おいおい、どうしたんだ。お前の仕事、片付いたのか?そういう様には全く見えないんだが」
そうこうしていると、アルゴと席を隣にする上司がアルゴに向かって若干苛立ち気味に尋ねてきた。しかし、アルゴは肝心の上司などそっちのけで黙々と自分の荷物を詰めている。やっと声を発したのは、アルゴが完全に荷物を詰め終えたときで、上司が発言してから十秒程も経過していた。
「すみません、急用ができまして。今日の8時までには、必ず戻りますんで」
アルゴはそれだけ言うと、黒光りする皮バックを肩にかけ、業務用エレベーターまで向かって行った。
その背中に上司は、「あ、ああ……」という肯定を示すことしかできなかった。否、させなかったのだ。彼、アルゴ自身が。
アルゴは誰も居ない西日に照らされたエレベーター前まで来ると、呟く様に、そして
「っ……、久々に、ホラ吹いちまった……」
悔やむ様な言葉を残し、最後となるかもしれない職場に一瞬だけ目をやる。
職場では、未来永劫変わらぬ忙しい日常が、鮮やかに映し出されている様に、アルゴには思えた。