二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.50 )
- 日時: 2013/05/19 20:33
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
参照4000ありがとうござます!感謝の限りです!
すみません。更新できてない日が続いてはいますが、これからも暖かい目でみていただけるとありがたいです!
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.51 )
- 日時: 2013/05/25 22:22
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
午後5時12分42秒。
ビル上部の倒壊によって地上に落下した瓦礫群は地面に激しくたたきつけられ、跡形もなく乱雑にあらぬ方向へと砕け散っている。
それでもビルはその細長な形状を維持したまま、なお垂直に立っているが、上部爆発の衝撃により中部には極度の、そして下部にも若干の亀裂が発生していた。
「幸いなことにこのビルは現在空きビルとして、都庁側に登録してあるようで、負傷者はいないと思われます。繰り返します、先程・・」
倒壊したビルの下、地上では現在報道陣が多数駆けつけており、現場の状況を細かく正確に滑舌良く話している。瓦礫の周囲は危ないと彼らは踏んだのか、もの珍しいものをみているような目で倒壊しているビルをじっとタブレット端末のカメラ越しに目視している人たちと混ざりながら現場の状況を話されているので、視聴者側としては向こう側の瓦礫群の様子が見れないようになってしまっているといった状態だ。
だが。
ビル上部が爆破した瞬間から何も起こっていない。
通常のテロリストによる対国の精神を持つものの犯行ならば、次の一手が仕込まれてもおかしくない時間帯だ。空き巣も五分が限度というように、テロも少なからずの時間が勝敗を分けることになるだろう。善は急げという言葉にならい、悪は急げという創作にも合致するところはそう少なくは無いはずだ。
ならば何故であるのか。
その答えは、今から彼女が教えてくれるはずである。
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.52 )
- 日時: 2013/05/28 18:57
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
「……………...........................」
どれほどの時を眠っていただろうか?
割れて既に使い物にならなくなった人間一体がやっと入るか程度のカプセルの辺りには、橙に近しい色合いの液体が大型の水溜りを構成し、スプリンクラーの多量の水と混ざったことで、かなり巨大な暗闇に包まれたこの部屋も床上浸水は免れていない。
人間製造機、とでも言うような数多のカプセルの残骸はこの空間全体を完全に占め、無数のガラス片の影響で歩くのさえ不可能といった状態だ。
そんな中、唯一人、無慈悲に無愛想に無頓着に虚しく儚く、心を持たないソレはしっかりと両脚を実験室の床に付け、静かに佇んでいる。
「……………...........................」
先程の爆発で砕け散ったソレを抱擁していた等身大カプセルはもう姿形も無く、ソレの裸足の足はガラス片が刺さることにより血だらけになってしまっている。
だが。
「……………..........................!!!」
声にならない声で薄く哭きながら、ソレは前を向いて進む。
まだソレの目は、光を取り戻してはいけないのにも関わらず。
それでもソレは、ただ前だけを向き続ける。
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.53 )
- 日時: 2013/07/12 23:36
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
4500参照ありがとうございます!!
かれこれ半年程度やっていますが、あまり進めていないのがあれですね・・・・。すみません。
いえでも、望むハッピーエンドとして終わらせるまでがんばりますので、これからもどうぞよろしくお願いします!!
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.54 )
- 日時: 2013/07/18 21:32
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
午後5時15分28秒。
ソレはおぼつかない足取りで、砕け散った数多の硝子片の上を血濡れた両足で歩いてゆく。
ビル上部爆発の衝撃波の影響により、ビル内部は無惨にも鉄筋丸出しといった風な状態で、光源は壁のひび割れによって漏れる西日の緋色の光のみであり、それさえも盲目のソレにとっては必要性にかけるものとなっていた。
西日の鋭い陽光が照らし出すのはソレの裸体の肉体のみで、目に光が届くこともない。
このビルはもう既に用済みというが如く、あの不愉快極まりないポーカーフェースのピエロも、その他白衣の研究者達の気配すら感じることは出来ない。
今なら。
今なら外へ、みんなの所へ。
ソレは強くそう望み、希望のみを胸に抱きながら、外の世界を見るために、ただひたすらに上を目指して歩を進める。
ソレ自身が、罪の塊と知らずに。
- Re: ギルティクラウン-Everlasting every days- ( No.55 )
- 日時: 2013/07/18 23:16
- 名前: ウルフラム (ID: mVHy..WT)
午後5時22分12秒。
「どうなっているんだ・・」
白杖をつきながらようやく爆発現場のビルまで来た集は、まだ興奮冷めやらぬ多勢の観衆から少し離れた位置で息を荒げながらビルのあるであろう方角を光が届くことの無い目でじっと見つめる。
観衆の中には多数の報道陣が存在するのであろうか、所々で記者らしき声が乱雑に耳に届く。それ以外にも至るところから、この状況をもの珍しそうに話している人々の声も聞こえ、どの程度の人々がいるか粗方想像するが易い。
(っ、何か手がかりは無いのか。なんでもいい、なにか、あそこに上る手段は——!)
焦っても何も答えが出やしないことくらい集はわかっている。導かれるのはいつも問題であり解こうにも何かを探そうにも探せる目も、ましてや光も彼には届くことは無い。
あの時に培った全ても、激しい悲しみや慈しみや怒りも、そして自らの罪でさえも、今はもう黒色の義手となってしまったこの右腕とともに乗り越え、償ってきた。
しかし今はもう。この右腕に頼ることはできなくなってしまった。友達を傷つけ、時には叱られ、悲しんだ心の力は使うことはもうかなわないのだ。
だが、それでももう一歩くらいなら、歩き出してみよう。この罪の右腕を遍く天に伸ばして。そうすれば、きっと失われた最愛の人に、近づけるはずだから。
そう心に決め、集は立ち止まっていた足をもう一度動かした。