二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 玩具は武器、口は災い ( No.16 )
- 日時: 2013/05/11 23:07
- 名前: 盾無桃李 (ID: c.0m5wa/)
この街の結構裏側と言って良いほどの人気も日当たりもあまり無いような所へと連れて来られた。
ここまでの道のりで廃墟かつアジトぽく見えてしまうのは都会ならではなのだろうか。
道中女性が無言で歩くので、ボクをおぶった男もにやつきながらも黙ってついて行く形で移動した。
基本的ボクは元々冷静になればしゃべらない。
しかし、まぁよく辺りに似たような扉は無いのに107なんて数字が書かれているのかが不思議だ。
そんな扉を開くと、生活感漂う室内が目に飛び込んだ。
もう外は暗くなってしまっている。
そのせいか、中の電灯がやけに心地良い感じがしなくもない。
「おっかえりっす。って何か大きな荷物持ってきたっすね。」
奥にあった4つ並んだ扉のうち1つから緑のつなぎを着た男性が出てきた。
人が良さそうで清楚な感じがする。
「いや〜〜キドがどうしても拾う〜って言うからさ〜」
その質問に答えたおぶってくれていた男性。
なんだかその言い方ボクが捨て犬みたいではないか。
そしてご本人は苛立ち、睨みを利かせていた。
きっと、手を出さないのはボクを担いでいるからだろう。
そんなことを気配で気づきながらボクをソファへと降ろしてくれた。
とにかく安全地帯まで運んでくれたのだお礼を言わなくては……
「……ありがとう。」そんな言葉が喉元で詰まった。
あれ?おかしい。
声が出てこない。
極度の緊張からか?いいやそれは克服できたはず。
ボクは今年の新年時に変わっているんだ。
そんな筈はない。
たぶん…………
思わず目をふさぎうつむく。
「おい、カノ その肩。」
「えっ?なにか付いてる?」
そんな中さっきまで担いでくれていた男性の肩にシミが付いていることに女性が気づいた。
黒地のパーカーにさらになにか濃い色のモノの跡だ。
それで心配になったのか女性がボクの手を引き剥がし、顔を覗き込んだ。
「おまっっ大丈夫か!!??」
ボクの顔の左側には赤い液体がベッタリと付着していた。
彼女は確認するためか左目を隠す前髪を払おうとするので抵抗した。
再び声を出そうとするが痛みが走り咳き込んでしまい、さらに皆を心配させてしまった。
「これはヒドいっすよ!病院に連れて行くっす!」
慌てて男性が病院へと薦める。
でも、ここはボクの知らない街。
引き取り手がいなければ、ましてやお金もない。
なんとか、これはフェイクだって言うことを伝えるためにタッチパネル式の携帯を取り出しメール機能を利用する。
《大丈夫、問題ない》
出力された文字を見せようと勢いよく顔を上げた。
その瞬間、シミを付けてしまった黒いパーカを着た男性の猫のような目を見てしまった。
その瞬間再び左目が熱くなって液体がこぼれ落ちる。
「うわぁぁあ。どこが大丈夫なんだよ!?」
目の前にいる女性から変な悲鳴を上げられた。
また、赤色の液体が溢れてこぼれ落ちる。
嘘だろ?
ボクは今狐に摘まれた感に襲われた。