二次創作小説(映像)※倉庫ログ

天空の城エンジェランド 第1章:その1 ( No.11 )
日時: 2013/01/25 22:44
名前: ブレイジング・フレア・ドラゴン ◆FvibAYZ8Tw (ID: E1WQRXsj)


あの有名映画のパロディ作品です。

今回は八神家+新光神話でパロディを発動させました。


興味がある方はどうぞ読んでやって下さい。










帝国ギルド、天駆ける『オーラム』所有の専用大型飛行船が海原を突き進む船の如く暗雲の上を走る。
だが、その船は今ある攻撃を受けていた。

「HAHAHA!この帝国ギルドに少数で挑むとは大した度胸だ!」

苦虫を噛み潰す様な顔をするどころか、逆にどこかのアメコミヒーローの様に笑い飛ばす、紅蓮の炎を彷彿させる鎧を着た人物はこの『オーラム』のギルドマスター、ラーズ。彼の部屋には何所にでもいそうな少女、八神はやてが居るだけだ。少女の胸には、十字剣の形のペンダントが掛けられている。
再び部屋の外から爆音や銃声が轟く。

「ふむ…、ここは私のパイロブラスターで一掃してやろう!」

そう言ってラーズは立ちあがり、机に置かれた球体だった破掌ヒートマグナムを装着する。
だが、目の前の敵に気を取られ、はやてが床に転がっているワインボトルを拾い、そして……、

「……ええい!」

豪快にフルスイングした。





「残りはここだけだね」

「空想話の為に拉致誘拐なんて、オーラムも落ちたものだな」

ノブに手を掛け、爆筒を右腕に装備した白い天使が確認し、隣の双子なのか、白い天使と風貌がそっくりな黒い天使がオーラムを軽く貶す。
その後、更に神々しい女性が現れた。

「ピット、ブラックピット、この辺りの敵は退却し始めました」

「流石パルテナ様!」

「まぁ、ギルドマスターならギルド員を引っ張るだけの実力を持ってるからな」

パルテナと呼ばれた女性の報告に、白い天使ピットと黒い天使ブラピは結果が見えていたように頷く。
そんなこんなで3人は扉に向き合う。

「茶番はここまで。天界ギルド、聖堂への道『ホーリーロード』、出撃!」

「「了解!」」

パルテナの第一声にピットの爆筒が火を噴き、扉を破壊する。
だが、そこで目にしたのはなんと膝を抱えて悶絶する『オーラム』マスターに、今にも飛び降りようと窓に手を掛ける少女の光景だった。

「い!?」

「プリンセス!何を……!?」

ラーズのの静止も聞かず、少女は果敢にも飛び降りようとしている。
下は果てしなく広がる雲海。この高度だ、落ちて助かるなんて万に一つも無い。
だが……、

(シュベルトクロイツ…、私を護って…!)

少女は祈るようにペンダントを握り瞑想する。
目を開いた直後に、遂に少女は飛び降りた。

「ちょ…、待っ!?」

ブラピが手を伸ばすが僅かに及ばず、少女は雲海へと消えていった。
残されたラーズは聖堂への道メンバーと対峙するも、分が悪いと判断したギルドマスターは隙を突いて逃走した。

「どうするんですか…。こんな高さじゃ、助かりませんよ…?」

「御安心なさい。あの力が本当なら、彼女はきっと無事です」

果てしなく広がる雲海を見下ろすピットに、パルテナは慰める様に言い聞かせた。

天空の城エンジェランド 第1章:その2 ( No.12 )
日時: 2013/01/25 22:51
名前: ブレイジング・フレア・ドラゴン ◆FvibAYZ8Tw (ID: E1WQRXsj)

時は、大ギルド時代。無数のギルドが世界中に存在する時代。
その世界の、ベルカ大陸の中のとある都市にも、ギルドは存在した。

「ただいま」

暗い色合いの青いコートを着た、長い銀髪に紅の瞳を持つ女性が所属ギルドの建物に帰還した。
彼女の名はリインフォース。魔道ギルド、守護の騎士『ヴォルケンリッター』の現ギルドマスターだ。
そこに蒼い、額に小さな石を填めた狼が歩いて来た。

「クエストはどうだった?」

「無事終えて来た。シグナムとシャマルとヴィータはどうした?」

「もう自分の部屋で眠っている。俺も自分の部屋で眠る。じゃあな」

そっけなく答え、狼は去っていく。
この狼も守護の騎士のギルド員であり、名前はザフィーラ。人間の形態にもなれる獣人種狼型であるが、本人曰く『人間形態よりも、こっちが空気的に馴染む』のだとか。
受け取った報酬を保管室に入れ、2階のベランダに上がる。
星々が輝き、夜空を彩っていた。

「……ん?」

ふと、目に暗雲を掻き分けて球体状の何かが光を発しながら自分達のギルドの入口方面へ落ちて行く。

「…人?」

よくみると、その中に一人の少女がているように見える。
地面に降りたのか、より一層強い輝きを一度放つと光が消えた。
好奇心と警戒心を持ちつつ、リインフォースは短刀を構えて入口に降りる。

「子供?」

光があったらしき場所には、茶髪の短い髪の少女が横たわっていた。
何故空から?この子は何者だ?
リインフォースの頭に様々な疑問がよぎる。だが、自問自答してはキリがない。

「とりあえず明日、騎士団に引き取って貰うか」

クエストでの疲労が原因なのか、これ以上策を練る気も無い。
少女をベンチに乗せてその上に布を掛け、自分も就寝に付いた。





翌日。
ドタドタとけたたましい足音がリインフォースの部屋に近付いてくる。
バン!と扉が開かれ、昨夜ザフィーラが言っていたギルド員が雪崩れ込んで来た。

「リインフォース!一体あの子供はどうしたんだ!?」

「もしかして新しいメンバー?何で私達に一言言わないの!?」

「何なんだよあいつは!?勝手に上がり込んでるし保管室を勝手に使っているじゃねえか!!」

「とりあえず落ち着け。そして一斉に喋るな。3人同時に別々の台詞は理解できない」

順にシグナム、シャマル、ヴィータが口々に、怒鳴るかのようにリインフォースに言葉をぶつける。
やはりか…。リインフォースは軽く頭痛を感じながらかいつまんで事情を説明する。

「夢でも見てたんじゃないの?」

「正直、今でもそう思う」

説明を終えた後のシャマルの第一声にリインフォースは思わず頷いた。ある意味正論だろう。

「おーい!ご飯やでー!」

説明した少女らしき声が1階から響いた。

「後の説明は、食事をしながら話そう」

「……そうだな」

ここでの話はまた今度、という事で食事を取る為に1階に下りる。
そして、先程の少女が料理を並べたテーブルに座りながら4人に声をかける。

「これでここのギルドの人達は全員なん?」

「このギルドは俺達5人だけだ」

「そっか。ほんなら、ご飯にしよか」

一足早く起きていたザフィーラに二言三言言葉を交わしたあと、彼女が作ったと思われる朝食を取り始めた。

「名前は?」

「え?私の?——八神はやてと言います」

「私はリインフォース。魔道ギルド、守護の騎士のギルドマスターだ。それから、この凛々しい女性がシグナム、この金髪の女性がシャマル。そして先程言葉を交わしていた狼がザフィーラ、そしてこの三つ編みの子が…」

「……ヴィータ」

「さよか。よろしゅうな」

自己紹介を終え、食事につく。最初ヴィータは警戒していたが、これが美味しく、自然と食が進んでいった。

暫く食事を続けるとシャマルがある質問を飛ばす。

「ところで、リインフォースから聞いたんだけど、どうして空から落ちてきたの?誰かに突き落とされたとか、そんな感じ?」

自分の推測を添えてはやてに質問する。
すると、彼女から飛んでも無い返答が返って来た。

「自分で飛び降りました」

『……は?』

当然5人とも食事の手を止めて素っ頓狂な声を上げた。素直にそう言われても固まる。
それどころか、シグナムとシャマルの間でこんな会話が繰り広げられてしまう。

「……シャマル、お前昔医療ギルドに属していたよな?」

「多分、落ちたショックで記憶が混乱してるんじゃないのかしら?」

「ちょお待って!?まるで頭がおかしい人みたいやんか!」

「自分から飛び降りたなんて言うからだ。一体何がどうなってそうなった?」

「うん。ちょお長くなるけど……」

そう前置きをして、はやては話しだした。

「私は、帝国ギルド『オーラム』のギルドマスター、ラーズによって拉致されました」

「ラーズと言うと、あのギルド時代創成者のか?俄かに信じられんな…」

表情を滅多に変えないザフィーラが珍しく訝しげに耳を疑う。
ラーズと言えば、このギルド時代を創り上げたとして功績を上げた人物の一人で、彼の登場によって地位的差別や種族差別がギルド法から取り除かれ、この守護の騎士同様種族の壁を超えてギルドを組めるようになったのだ。
そんな彼が拉致の2文字をするなど考え辛い。

「何故拉致を?」

「私の、このシュベルトクロイツが欲しかったらしいです」

そう言ってはやては自分の首に下げているペンダントを指す。

「それが何になるって言うの?」

「私も俄かに信じられませんけど、天空に浮かぶ城を探す為だとか…」

質問を重ねる毎にどんどん真実から遠ざかっていく気がして溜息を吐く。
彼女の話が本当なら何ともバカバカしい話である。
とはいえ嘘とは信じがたい。最近のギルド会議ここと同盟を結んでいるギルドマスターもそんな事を言っていた記憶がある。
ともあれ食事を終わらせた一同は今日行うクエストを選ぶ。
するとここではやてが首を突っ込んだ。

「あ、私も参加します!」

「いや、お前は部外者だ。クエスト自体に参加させる訳にはいかない」

「それなら見学で!邪魔はしませんから!皆が嫌でも私は行きます!」

はやての真剣な目に5人(正確には4人と1匹だが)は本日何度目か解らない溜息を吐く。
警戒心が強く、同じギルド員でも心を開かないヴィータでも、不思議と心を許せる気がした。

「……解った。それと、私達の事は呼び捨てで構わない。一応君は部外者だから、私達の仕事の邪魔をしないでほしい」

「うん、皆よろしゅうな!」

眩しい位の笑顔を見せられ、5人はたじろぐしかなかった。





同時刻、帝国ギルド『オーラム』内。

「そうか、漸く見つけたか…」

この事件の首謀者、ラーズが怪しく微笑んでいた。
そして彼は自分の席を立ち、輝く太陽が見える青空を見据える。

「彼女さえ……天空の城『エンジェランド』の王家の末裔の少女さえ手に入れれば、この腐敗したWORLDを浄化できる……フフフフフ…、HAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!!」

抑えきれない高揚からか、笑い声が無人のギルドに響き渡る。
だが、その笑いには、どこか狂気を滲ませていた——。

続く——