二次創作小説(映像)※倉庫ログ

jokerに繋がるストーリー:その1 ( No.256 )
日時: 2014/03/01 18:23
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: 3CAtWHbZ)



joker本編で語られなかった小説です。幾つかに分けてご紹介。
今回はエンフェザとむらくもの3人。






アルフ「は?あたしらがクレイに飛ばされた時の事を知りたい?」

クロスオーバー館のロビーにいたアルフが素っ頓狂な声を上げる。
それを言ったのはシュウで、それ以外にも多数のキャラが興味深そうに賛同していた。

ヒロ「確かに大抵の話は語られていませんでしたから、興味は十分にあります!」

倖「惑星クレイが実在するって聞いて、獣神の皆もどうしてるんだろうなって思って……」

アルフ「あー、確かにそうだね。本編じゃなのはとフェイトのだけだったし」

うん、そこは反省している;色々勇み足だった;

シュウ「作者、反省すんな」

アルフ「で、あたしの所に来たのはそれが理由って訳?」

アルフの問いかけに一行を代表してシュウが「そんな所だ」と答える。

フェイト「私もちょっと興味があるよ。アルフが忍術を使う理由がなんなのか知りたいから」

主であるフェイトにも言われ、アルフは少し考え込む様に呻り、辺りを見回す。そして誰もいないのを確認すると語りだした。

アルフ「正直、シグナムには聞かれたくないんだよね。あの事もあるし」

ヒロ「あのこと?」

アルフ「こっちの話。それで話だけど、あたしらが気付いた時は古い神社の境内にいたんだ……」



〜回想編01:むらくも〜



次から回想スタート

jokerに繋がるストーリー:その2 ( No.257 )
日時: 2014/03/01 18:35
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: 3CAtWHbZ)




アルフ「……ぅ?」

?「気が付いたか」

意識を取り戻したアルフとシグナムに誰かが野太い声を掛けた。声からして男らしい。視界がハッキリした時、アルフは思わずその場から飛びのき、シグナムは言葉と一緒に声を飲み込んだ。
理由?人間のようだが頭は布で覆われてそこから角がはみ出し、自分が見た事も無い衣装を着ているからだ。

アルフ&シグナム「?!」

?「おい、何もそこまで仰天する事は無いだろ?」

アルフ「いや……驚くも何もあんた何者だよ!?」

シグナム「新手の守護獣……いや、使い魔か!?」

?「守護獣?使い魔?何だそれは。聞いた事無いぞ。第一お主、わービーストと呼ばれる者ではないのか?」

アルフ「はぁ?」

その灰色の狗は使い魔や守護獣の存在を知らないかのように首を傾げた。
嫌な予感がしたシグナムはその鬼に尋ねる。

シグナム「すまないが……ここはどこだ?」

?「第100管理外世界。外の者達は“惑星クレイ”と呼ばれる世界だ」

アルフ「わ、惑星クレイ!?」

?「自己紹介がまだだったな。拙者の名はジライヤと申す」

シグナム「……私達の知らない世界だ」

ジライヤ「貴殿らは異世界の者とお見受け申す。名は何と申す?」

ジライヤの言葉にシグナムとアルフも自己紹介と自分がここに来てしまった経緯を話す。

?「うー!これ、どうぞー!」

経緯を話し終えた後、活発そうな少女がお盆に3つの湯呑みを乗せてやってきた。
背丈はフェイト達と同じくらいか、少し低いかで、着ている服は涼しげな水色のミニスカートに時期的に合わないフード着きの薄地のロングコート。エメラルドの目に松葉の髪を持つ少女の言葉使いは幼さを感じさせていた。

シグナム「この子は?」

ジライヤ「ユキと申される者だ」

ユキ「よろしくー!うー!」

アルフ「悪いけど、あたしらはこんな所でモタモタしてる暇は無いんだ」

ジライヤ「どこへ行く?」

アルフ「すぐに地球に帰らないと。ひょっとしたら、クレイ以外のどこかにいるかもしれないでしょ?」

ジライヤ「だから行くのか……そしてプレシアとか言う者にまた主と共に返り討ちに会いに行くと?」

神社を後にしようとしたアルフが、その言葉を聞いて足を止めた。

ジライヤ「今の話を聞く限り、今のお主らでは到底太刀打ちできぬ。例え合流し、再び挑もうとしてもまた返り討ちにあう。今度は虚数空間に放り込まれるのが関の山だろう」

シグナム「なんだと?」

ジライヤの冷徹な言葉にシグナムも鋭い視線を彼に向ける。
何か異様な雰囲気に焦りながら3者を交互に見る。

ユキ「ジライヤ、そんな事言っちゃダメ〜!」

ジライヤ「事実を言ったまでだ。そこまで言うのであれば、拙者を倒してからにして貰いたい」

ユキの出した茶を一気に飲み干し、神社を出るジライヤ。

アルフ「面白いじゃないか、そこまで言うんならやってやるって!」

シグナム「ここまで愚弄させられては、立つ瀬が無いのでな。私の相手もして貰う」

売り言葉に買い言葉で勝負に出たシグナムとアルフ。流れで立ち会い人の役になってしまったユキが挙げていた手を下ろす。

アルフ「先手必勝!フォトンランサー!」

シグナム「飛竜一閃!」

先手必勝と言わんばかりに炎の衝撃波と雷の魔力弾を放つ。
その攻撃をひらりと、木の葉の如き身のこなしで避けるジライヤ。

ジライヤ「……筋は悪くないな。だが、この程度で勝てると思うな!」

アルフ「ふざけた事言ってんじゃないよ!今すぐ終わらせてやる!」

アルフが飛び出すと同時にジライヤは身を屈めると、素早く印を結び、右手を地面に打ちつける。

ジライヤ「土遁:身代わり地蔵!」

アルフの拳が来る前に、身を屈めたジライヤの身丈ほどの岩盤が畳返しの要領で浮き上がり、盾の様に拳を受け止めた。

アルフ「いっでぇ!?」

シグナム「勝手に岩がひっくり返った?!」

見た事も無い魔術に驚愕するシグナムをよそにジライヤは腰に下げたひょうたんを上空に投げ、再び印を結んで大きく息を吸う。

ジライヤ「火遁:火球炎の術、砲穿火(ほうせんか)!」

口から息と共に灼熱の炎が放たれ、ひょうたんを貫くと更に巨大となる。さながら、巨大な火竜の吐く灼熱のようだ。

シグナム「させるか!」

その炎を咄嗟に前に出たシグナムがレヴァンティンを振り払って炎をかき消した。
だがその次の瞬間、巨大な四角柱の木が2人を取り囲み、あっという間に閉じ込めてしまった。

ジライヤ「木遁:柊。勝負ありだな」

ユキ「うー(拍手」

アルフ「いてててて!何なのこの檻!」

ジライヤ「下手に動かぬ方がいい。その体が傷だらけになりたくなければな」

シグナム「くっ……!」

ジライヤが魔術を解除すると柊の檻が消え、2人が地面に落ちた。

シグナム「何だ、今の魔術……魔法陣も詠唱も無しにあんな魔法を発動するなんて……!」

ジライヤ「約束だ。暫くはここで頭を冷やせ。ユキ、面倒は任せた」





フェイト「アルフとシグナムの2人掛りでも、勝てなかったの?」

アルフ「まぁね。その時は見た事のない魔法だったからさ……」

ヒロ「忍術を使う魔法……何かシュール感がぬぐえませんね;」

アルフ「局じゃアサシック・スキルって呼んでるんだってさ」

シュウ「なるほど……で、続きは?」

アルフ「うん。とんでもない事が起きたのは、その次の日だったんだ……」

再び話を進めるアルフ。その内容は、とんでもないものだった……



再び回想へ。

jokerに繋がるストーリー:その4 ( No.258 )
日時: 2014/03/01 18:52
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: 3CAtWHbZ)



ジライヤに倒された翌日。治療とこの世界を知る為にユキと共に町に出ていた。
だが、シグナムはなぜか朝から体調が優れないとの事で療養中です。

アルフ「それにしても随分古典的な……この世界ってこれが普通なのかい?」

ユキ「ううん。すっごい大きな大陸があって、むらくもはそのおっきな大陸の中にある場所なんだよ!」

アルフ「つまり……ここはそのむらくもって所に属する場所……なの?」

正直、この世界の事などに関してはちんぷんかんぷんな応えにアルフも頭がショートしかけてた。
因みに今はアルフもシグナムも、馴染む為にユキが買ってきた着物姿になっている。
とにかく、ここは様々な地域でそれぞれ文明が独立しているのは解った。
一応は理解した彼女の元に、一人の少年が門からやってくる。赤い着物を着た少年だ。

?「ユキ、そいつか?」

ユキ「櫂!」

ユキが親しげでいるからするに、彼女の知り合いだろう。
その櫂と言う人物にアルフも自己紹介をし、何故ここに来たかを尋ねる。

櫂「先日起きた地球とエルトリアという惑星に起きた襲撃事件でこの世界に飛ばされた者がいてな。俺達はそいつらの保護を優先事項に動いている。お前もその保護対象に入っている」

アルフ「え?エルトリアも!?」

櫂「知っているのか?」

アルフ「前の事件で知り合ったんだよ。そいつらも保護したのかい?」

櫂「いや、まだ2人だけしかない。これで3人目……。——!」

櫂が言いかけた瞬間、何かの気配を感じ取ったかのように目を見開いた。
その傍ら、ユキも何かを察したかのようにある方角に顔を向けていた。

アルフ「え?何、どうしたの?」

その中で唯一気付いていないアルフは両者の行動に戸惑いつつ2人の顔を交互に見る。

櫂「この反応……!向こうか!」

アルフ「何がどうなってんだよ〜!!」

咄嗟に走り出す櫂とユキに連れられ、訳が解らない状況に陥りつつも後を追うアルフ。
そして河原の通りまで来た時、更に理解不能のどん底に突き落とされる。

アルフ「……なんだよ、これ……!?」

見たのは激しく燃え盛る紫の炎。それが意思があるかのように九尾狐を形作っていた。足をつけた芝生は瞬く間に灰となり、岩に付いた紫色の炎も消える事無く燃え盛る。
顔は悪鬼羅刹の如く怒りに満ち、咆哮が天を轟かせる。

櫂「暴走ライド……!ユキ、抽出はしてなかったのか?」

ユキ「う……ゴメン……;」

櫂「してなかったのか……;」

ユキがばつの悪そうな返答をすると櫂はがっくりと肩を下ろす。
落胆している内に九尾狐がこちらに気付き、ぎん、と目を光らせる。

櫂「!目を瞑れ!」

アルフ「え!?」

櫂に言われて咄嗟に目を瞑る2人。九尾狐の光が収まった直後、九尾狐は弾丸の如く駆け出し、櫂に炎の右前足を叩きつける。
それを間一髪で後方に跳んで避ける櫂。彼が先ほどまでいた場所は紫の炎が揺らぎ、砂利の石さえ溶けて形を変えていた。

櫂「直ちに封印に取り掛かる!ユキは分身で相手を錯乱しろ!あとアルフ!お前は援護系の魔法は使えるのか!?」

アルフ「え!?あ、確かに使えるけど……」

櫂「ならお前はユキの補助に回れ!」

櫂が先陣を切って突入し、ユキも走りながら印を結ぶ。

ユキ「影分身の術!」

叫ぶと同時にユキの姿が10、20と増えていき、そのまま九尾狐の陽動に入る。
時に飛び道具でけん制を、時に飛び掛るなどをして気を引く。更にアルフのチェーンバインドとリングバインドの2重がけで口と四肢の自由を奪う。

九尾狐「がぁるるぁああああああああああ!!!!!」

だが、九尾狐ももがく様な雄叫びを上げ、強引にバインドを打破してしまった。
そして標的をアルフに定めた獣は9つの尾で飛び掛っていたユキを全て振り払い、猪の如くアルフに突っ込んできた。
当然アルフもその攻撃を避けようとした。だが、突如足に違和感を感じたと思ったら足が棒の様に固定されて動かなくなってしまう。

アルフ「っ、バインド!?——ヤバイ、やられる!」

いつの間にか仕掛けられた拘束魔法に両足を封じられたアルフは避けられない攻撃を覚悟して目を硬く閉じた。
だが、いっこうに衝撃が来ない。不思議に思ったアルフが閉じていた目を開くと、誰かが攻撃を受け止めていた。
ジライヤといいユキと言い自分が見たことの無い衣装と兜。身なりからして人ではなく、爬虫類の類が人となって衣装を身にまとっているようだ。ただ、腕が4本多いような気がするが。

櫂「マンダラロード!」

マンダラロード「異国の名で呼ぶな。まあ、頭の方は合っているのが癪に触るがな」

マンダラロードと呼ばれた竜は冷たく応えると九尾狐を押し戻す。
そしてアルフの足元に苦無を突き刺し、彼女を抱えて後方へと跳んだ。

アルフ「な、なにやってんの!?早く封印を——」

マンダラロード「もう済ませた。見てみろ」

アルフの言葉を軽くいなした彼は一本の腕で印を結ぶ。その途端に九尾狐のいる場所を取り囲むように線が引かれ、瞬く間に五芒星となり、輝きが増していく。
輝きが増すに連れて九尾狐は苦しむ様に暴れだして五芒星から逃れようとのた打ち回る。だが、地面に描かれているだけの線から外に出る事無く、一際大きな雄叫びを上げて消滅し、後に残ったのは騎士甲冑を身に纏ったシグナムだった。

アルフ「終わったの……?」

マンダラロード「ああ。暴走ライドと言うのは人の負の感情が爆発した化身。大方そこで転がっている奴らが頭にくる暴言を浴びせたのだろう。人は怒りの臨界点を突破するとありえない力を発揮すると言う。暴走ライドもその類とあれば解るだろう」

河原の傍で転がっている数人の浪人を見て事の発端を理解した。
その浪人達は魂が抜かれたかの様に動かず、目はうつろとなっていた。

マンダラロード「もう無駄だな。強い幻影を見せられて精神が崩壊している。櫂、その者とアルフの受け渡し、確かに完了した」

櫂「後の事はお任せします。アルフ、来い」

アルフ「……」

マンダラロードの言葉を承諾した櫂は動かないシグナムの肩に担ぎ、アルフに声を掛けた。
だが、アルフは動かずにユキの所に歩み寄る。

アルフ「頼む……あたしにさっきの魔術を教えてくれ!!」

ユキ「ふにゃっ!?」

マンダラロード「何ぃ!?」

突然言い出した事に、マンダラロードは鬼のような形相か一転、ヒョットコの様に口を尖らせて講義を申し立てた。

マンダラロード「貴様正気か!?我らむらくもの忍術を教わりたいだと!?馬鹿も休み休みいえ!一朝一夕で忍術を会得できるわけがないだろう!」

アルフ「何もジライヤやアンタみたいなもの凄い術を教えてくれなんて言わないよ。あたしの戦い方に応用できる一部の術だけで十分さ!」

アルフがマンダラロードとの口論の後、「それに……」と続ける。

アルフ「あたしらの常識がここじゃ通用しないのが良く解ったよ。ここでの常識を学ばなきゃ、この先またあの時のような事が起きる。凄く悔しかったよ。凄い後悔の念が襲ってきた……もう嫌なんだよ!あんな思いをするのも、フェイトを……あたしのご主人様を守れないのも!」

マンダラロード「それで忍術を学ぶと?」

ぎん、と鋭い視線にアルフもゆるぎない視線で「その通りだ……!」と応える。
しばしの沈黙が過ぎた後、マンダラロードは街に戻ろうとした。

マンダラロード「その覚悟が本当なら認めてやろう。だが、もし修行中に貴様が一度でも弱音を吐いたり、その覚悟に背く真似をした時は……」

そこまで言うとくるりとアルフを見て、腰に差した一本の脇差の柄に手を添える。

マンダラロード「直ちに斬り捨てることを覚えておけ」

その言葉の後、そこにいたマンダラロードは霞の様に忽然と消えていた。
アルフは先ほどの言葉を承諾と受け取り、早速ユキに修行を頼んだ。

アルフ「じゃあ、早速頼むよ!」

ユキ「うー!——ユキ、あんまり人に教えたこと無いけど頑張る〜!」

それが、アルフのこの世界で学ぶ、新しい魔法を学ぶ最初の一歩だった。



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