二次創作小説(映像)※倉庫ログ

氷の狙撃手と光の剣士の先導者2:その1 ( No.389 )
日時: 2014/07/30 21:47
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: u6VY3ouz)



『前回までのあらすじ』

最近アイチがカードキャッスルに出ないことに疑問を抱いていたクレイ特別捜査局の面々(特にコーリン)。そんな折アイチが詩乃と共にGGOに行っていると鶴来から情報を貰う。
早速SAOの世界に入ったコーリン達だったが、そこでアイチと詩乃、そしてもう一人の少年を目撃する。
その頃GGOではBoB参加の景気づけにシノン、イチア、シュピーゲルの3人でモンスター狩りを行っていた。
その帰り、シティに戻ってログアウトしようとした3人に影が……






——ズドン!


いきなりの銃声に一行の右側を歩いていたシュピーゲルの右肩を貫いた。

シュピーゲル「がっ!?」

シノン「!?」

イチア「シュピーゲルさん!?」

いきなりの銃弾を喰らい、後ろに飛ばされるシュピーゲル。
彼の所に向かおうとした直前、赤いライン——弾道予測ラインを発見した。すぐにラインから離れ、その直後に地面が抉られる。

イチア「誰ですか!?」

?「ハッ、さっきの攻撃を避けるなんて生意気だね!」

その言葉と共に3人の女性プレイヤーが現れる。装備はそれぞれ右からHK53、ブローニング・オート5とホルスターに閉まった拳銃、そしてウィンチェスターM70であり、プレイヤーネームは右からハーレック、マースト、コカである。

イチア「いきなり狙撃銃で狙い撃ちするなんて、礼儀がなってませんよ?」

マースト「現実(リアル)で投げ飛ばした奴に言われたくないね!折角話してる最中に横槍なんか入れてさ!」

イチア「現実で……?」

マースト「ああ。そうさ……!」























イチア「ごめんなさい、誰ですか?(真顔」

マースト「何ィィ!?覚えてない!?」

イチア「あなたみたいなどっかの肉食昆虫みたいな顔、知ってる訳無いでしょ?」

シノン「いや、現実とGGOの世界のアバターの顔が同じなわけ無いでしょ」

全くだ。GGOのアバターの見た目はアミュスフィアから顔全体をデータ化し、それに近い顔に作るのだ。だからシノンの顔もこんな風にアバターと現実の顔が似ているのだ。

マースト「ったく、遠藤だよ遠藤!アンタに投げ飛ばされた女子高生だよ!」

イチア「遠藤?……!あの時詩乃さんを強請った連中!」

マーレック「漸く思い出したんかい;」

コカ「マーストさん、どうしますか……?」

マースト「最初の不意打ちは予想してなかったけど;まぁいいや。とにかくこいつらをPKすりゃいいでしょ!」

マーストの言葉にマーレック、コカが銃口を向ける。

イチア「シュピーゲルさん、大丈夫?」

シュピーゲル「ダメージのほうは浅いけど……ぐっ、麻痺(パラライズ)弾だったから動けない……!」

シュピーゲルのほうは先ほどの麻痺弾で動けない。状況的に2対3となっているが、麻痺弾で動けないシュピーゲルをかばいつつ回復させるとなると更にイチア達に不利な状況となっている。
だが、マースト達はケタケタと笑い、ホルスターにしまっていた拳銃を取り出す。

マースト「何言ってんの?あんた一人であたしら3人を相手にするんだよ!」

その言葉の後、マーストが発砲する。その銃弾は2人の足元に被弾した。

シノン「それで脅しのつもり?随分と舐められたものね」

マースト「舐めてるわけじゃないさ。この銃、アンタにとって消したい過去なんでしょ?」

シノン「は?……!?」

その拳銃を改めてみた途端、シノンの目が大きく見開かれ、全身の震えが止まらなくなる。
後ろに下がろうとも足が棒の様に動かなくなり、まともに動かせない。

イチア「シノンさん?どうしたんですか?」

コカ「アッハハハハ!やっぱ怯えてる!」

マーレック「マーストさん、やっぱそれ持って正解でしたね!」

イチア「——?」

マースト「ちょっと何?まさかアンタコイツの過去何があったか知らないで友達やってたわけ!?ウケるじゃん!!」

怯えだしたシノンにイチアがどういう意味かと構えたまま疑問の表情を浮かべる。

マースト「折角だからさぁ、アンタにシノンの——朝田詩乃が何でこの銃を怖がってるのかをさ!そいつは——」

シノン「や、やめ……」































マースト「そいつはこの拳銃で人ひとりぶっ殺したんだよ!」

イチア「!?!?」





マースト「5年前、ある銀行に銀行強盗が押しかけてきた。その時そいつは必死にただ一人の家族である母親を守ろうと必死に強盗から拳銃を奪い、そいつに発砲した。その強盗犯は哀れにも詩乃の凶弾を食らって銃殺された。その時強盗から奪った銃がトカレフTT−33、通称黒星(ヘイシン)。その小学校では殺人者に比喩される言葉を学生から投げられ、中学校はそれが無視に変わっていった」

悪魔のような嘲笑を浮かべながら過去を語るマースト。目を見開いて構えたまま立ち尽くすイチアの後ろで麻痺がいまだ取れないシュピーゲルと、銃を見たときから足がすくんで動けないシノンがいる。

マースト「そいつの過去をバラしたら中学の時みたいになってさぁ、ホントにいい気味って感じ!」

ケタケタと笑うマーストに他の2人の不良女生徒も笑い出す。

イチア「——何でそんなに笑っていられるの?」

笑いに消されるような小さな声でイチアが呟いた。
その気迫に3人にも伝わり、ぴたりと笑い声がやんだ。そしてイチアがすたすたとマーストに近付いていく。

マースト「はぁ?」

イチア「もう一度言いますよ?」












イチア「人の心の傷を抉って何がそんなに楽しいんだッ!!!」

怒りを露にしたイチアが歩みを次第に速めてマーストに接近する。

マースト「おぉっと動くな!動いたらシノンの頭が吹っ飛ぶ事になるよ!」

イチア「ぐっ……!?」

マーストが言うと同時にコカが黒星をシノンに向ける。トカレフTT−33を見た途端PTSDを起こし、下半身が凍りついたように動かせないらしい。ただじっと黒星を見たまま動けない。

マースト「さぁて……あの時の礼をたっぷりさせて貰わないとねぇッ!!」

氷の狙撃手と光の剣士の先導者2:その2 ( No.390 )
日時: 2014/07/30 21:51
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: u6VY3ouz)



それから10分。悲惨な光景が続いていた。



——ズドン、ズドン、ズドン!



イチア「ぐっ!がっ!うぐぁっ!」

マーストの黒星(ヘイシン)がイチアにダメージを与え続ける。黒星そのもののダメージは大した事は無いが、イチアの防御力からするとどれも致命傷になりかねない。

シュピーゲル(ぐぅ……早くしないと……麻痺時間は——あと30秒!?そんなに待ってたらイチアの体力が……!それ以前にコイツの拳銃をどうにかしなきゃいけない……!)

シノン「お願い……!止めて……!お願い……!」

麻痺して動けないシュピーゲルにトラウマで動けなくなっているシノンにコカとマーレックが黒星を突きつけている。

マースト「オラオラオラ!こんなのであたしらの気が晴れると思ってんの!?」

また数発発砲し、イチアが倒れた所に彼の頭を踏みつける。そして、彼の頭に黒星を突きつける。

シノン「止めて……!お願い、止めて!何でも言う事聞くから!!」

マースト「あっそう?じゃあ……そこで大事なイチア君が殺されるのを見てなっ!!」

弾を装填し、撃鉄を起こして銃口をイチアに向ける。

シノン「や………止めて………!」

マースト「そんなに嫌ならこいつを殺した後にアンタも殺してやるよ!」

引き金に指を掛け、今まさにイチアに弾丸を放とうとした。















ガガガガガガガガ!!!




そこに銃弾の乱射がマースト目掛け放たれる。それに気付いたマーストはいち早く後ろに避けて赤い弾道予測ラインから外れる。

「動けねえ奴に3対1で相手なんざ、アンフェアもいい所だな」

マースト「誰だ!?」

弾道ラインが出た方角を見る。更に弾道予測ラインがコカとマーレックに向けられ、発砲。突然放たれた銃弾を咄嗟に避ける。

崖の上から斜面を滑り落ちるように降りる。
影は5人。1人目は某初代平成ライダーの究極形体の色合いで装備も軽装だ。だが、腰に下げているカスタムしたコルト・パイソンハンターが夕日に当たって光る。
2人目は黒髪の女性アバターで、装備は白系一色にしており、銃器は無く、腰のベルトに白い光剣がかちゃりと鳴る。
3人目は迷彩色の服を着て、回復系アイテムや手榴弾系のアイテムを色々装備し、銃はべレッタM12だ。恐らくさっきの銃撃もあれだろう。顔のほうはゴーグルにマスクと見る事ができない。
4人目、5人目は服装は鎧の様なアーマーに頭はフルフェイスメットを装着。背中に折り畳んだレーザーのマシンガンがあり、威力も高そうだ。

マーレック「はぁ?誰なんだよ。あんたらには関係無いだろ!」

?2「それはこっちのセリフよ。私達があっちこっち探して漸く見つけたらこんな状況なんて……!覚悟できてるよね?イチアとその他女アバター3人!」

シュピーゲル「ちょ、いきなり現れてそれ!?イチア君も助けてあげてよ!?」

?1「まぁ彼女はちょっと苛立ってるって言うか、何と言うか……;」

コカ「はぁ?寝ぼけた事言ってんの?こっちだって今朝の事で苛立ってんだよ!」

?4「ストレス発散は構わないけどよ、もうちょいマシな方法だったら俺らも喧嘩は売らなかったぜ?」

マースト「はぁ?この人殺しとそれにつるんでる連中にお仕置きしてるんだよ!」

?5「へぇ……人殺しねぇ……


























それが?」

マースト「は?」

5人目の人物のセリフにマースト達が目を丸くする。

?3「この人達、紛い物じゃない本物の戦場を歩いてきたからね。最も、殺してきたのは怪物ばかりだけど。人ひとり殺した程度で色眼鏡を使うほど人がなっちゃいないからね?」

マースト「この……!動くな!一歩でも動いたら——」

ザッザッザ……(歩いてます)

マースト「こいつらを……」

ザッザッザ……(歩いてます)

マースト「ちょ、待て待て待て待て!?人質がいるんだよ!?普通ここは動きを止めるでしょ!?」

?2「あんた達が引き金を引く前にそいつらをいつでも助けられるのよ?」

マーレック「だったら、お望み通り撃ってやるわよ!!」

シノン「ッ!!」

挑発に乗ったマーレックが撃鉄を起こしてシノンに向け、引き金を引く。だがその直前に手首ごと女性アバターが手にした光剣で切り伏せた。
腕を斬られて悲鳴を上げる前に更にマーレックの身体を深々と光剣で突き刺し、そこから下から上に薙ぐように切り裂き、ポリゴン片にして消した。

コカ「この、だったら……」

マースト「……!」

仲間がPKされた事にコカが標的をアバター達に向ける。
その前に?1がコルト・パイソンハンターが火を噴く。命中精度は低い為にコカの肩に被弾するが、弾丸は貫通して近くの岩に大きな風穴を開けた。

?1「うわ、流石リボルバーでトップクラスの破壊力を持つコルトシリーズ……」

コカ「なにごちゃごちゃ言ってんのよ!」

再びコカが黒星を?1に向ける。発砲の直前に近くの岩場に隠れて銃弾をやり過ごす。そして黒星の装填した銃弾が尽きると装填するまでのタイムラグに岩から身を乗り出してバイソンハンターを構える。レーザーサイトが取り付けられ、彼の視界にバレットサークルが現れる。サークルが最小になったタイミングを見計らい、コカが隠れている岩目掛けてマグナムを連続で放つ。
射程範囲でより威力が発揮される距離で放たれた.375マグナム弾が岩を貫き、空いた風穴からコカの胴を貫いてポリゴン片にかき消してしまった。


こいつらの正体は次のスレで解ります。

氷の狙撃手と光の剣士の先導者2:その3 ( No.391 )
日時: 2014/07/30 21:56
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: u6VY3ouz)


マースト「くっそ……!」

?4「まだ俺らが残ってるぞ!」

マーストがイチアの胸倉を掴んで逃げようとする中、?4と?5がLA(レーザーアサルト)ライフルを構えて駆け出して銃撃する。防護フィールドを装備しているマーストには当たる前に弾かれる。
そんな事にも関わらず高速で接近する。

マースト「この野朗……!」

器用にもイチアの脇に右腕を回してブローニング・オート5を接近する?5に向けて発砲する。銃口が向けられる直前にLマシンガンを右側に投げ、弾道予測ラインを避け、その直後に地面が球で抉られる。
そして腰に下げた光剣の刀身を伸ばし、マーストの顔に突きを放つ。
その突きは首を左に捻って避ける。その隙にタックルをかまして体勢を崩し、イチアの左手首を掴んで後ろ走りで離れる。

?4「今だ!」

?5「あぁ!——まったくタイミングぴったりだなうちの馬鹿親父は!」

?4の掛け声の直後、?5が二挺のLマシンガンをマーストに向けて乱射する。先ほど投げた銃はこれを見越しての事だろう。走りながら乱射し、防護フィールドを貫通する範囲にまで接近。微量とはいえ、マーストにダメージを与える。

マースト「ぐあああっ!——こうなりゃ、これだ!」

咄嗟に腰にぶら下げた煙幕弾を足元に放つ。たちどころにスモークが辺りを覆い尽くし、視界を遮る。
だがこれ幸いと、プレイヤー達も煙の外から出て?3が持っていた応急処置スキルでイチア達の傷を癒す。

?3「治療完了。麻痺も怪我も治ったよ」

イチア「あ、ありがとうございます。えーっと……」

?4「自己紹介ならさっきの奴を倒してからにしたほうがいいぞ?」

?4が銃口を崖下に向ける。そこには乗り捨ててあったバギーに乗り、逃走するマーレックの姿があった。

イチア「このままじゃ逃げられる……!シノンさん、早く撃って!」

シノン「わ、私が?」

さっきまでおびえていたシノンがイチアに言われて肩を震わせながらもヘカートⅡの狙撃体制にする。
だが、体制に入っても指を動かせない。

シノン「む、無理よ……撃てない……!」

イチア「なっ……!?」

シノンの拒絶の言葉にイチアが息を呑む。だが、それを知る人物が一人心の中で呟いた。

?3(……無理も無い。黒星のトラウマが再発したんだ。もう引き金を引く気力すら……)

イチア「だったら、僕が引き金を引きます。シノンさんはスコープで狙ってください!」

シノン「は、はぁっ!?何言ってるの!2人掛りなんて無茶よ!」

イチア「無理でもやりますよ!」

シノン「こんな人殺しに何が出来るって言うのよ!!」

イチア「人殺しとかどうとか言ってる場合じゃないでしょ!!」

拒絶するシノンにイチアが一括する。いつもの穏やかな彼とは思えない一言に周りも驚く。

イチア「確かにあなたは人を殺した事は変わりないでしょう。それはこれからゆっくり償っていけばいいんです。一人で戦ってきたのも、家族を守る気持ちだからでしょう。だけど今は一人じゃない!僕もシュピーゲルさんもいる!こういう時だけ、たまには仲間に頼ったらどうなんですか!!」

シノン「だけど……」

イチア「『仲間はいつか人殺しである自分を裏切る』でしょ?そういうのもあるかもしれません。だけど、これだけは覚えてください」


















イチア「僕はあなたを絶対に裏切らない!」

シノン「!」

イチア「だから、あなたも僕を信じて下さい!」

荒野に沈黙が走る。シノンの手から震えが止まっていた。

シノン「——わかった。だけど、引き金を引くのも私がやる」

イチア「はい!」

いつもの冷静さを取り戻したシノンが狙撃体制に入り、覆い被さるようにイチアが引き金を引くシノンの手にやさしく自分の手を添える。
バレットサークルも拡大や縮小もその感覚が緩んでいく。

シノン(なんだろう……あの時の恐怖が溶ける様に消えていく。こいつは……こいつは本当に人殺しの私じゃなくて今の私を見ている……って、今は撃つ事だけに集中しないと)

考えを吹っ切り、改めて狙撃に集中する。狙いはバギーに乗って逃走するマーストだ。サークルが一点に絞られ、固定される。狙いが定まった証拠だ。

シノン「今!」

イチア「……!」

合図と同時に引き金を引く。発砲音と同時に放たれた銃弾は弾道予測ラインを伝って通り、バギーで疾走するマーストの丁度脳天に被弾し、悲鳴を上げる間も無くポリゴン片となって消えた。バギーも運転手を無くした事でバランスを崩し、クラッシュを起こして炎上した。

イチア「ふぅ……」

シノン「……終わった。って、離れなさいよ!」

狙撃を終えてイチアとシノンが一息吐く。
戦闘が終わるとシノンが今の状況に気が付き、振りほどく。

シノン「……もうログアウトするよ。BOBも近いし」

シュピーゲル「僕も。今日はありがとね」

シノンとシュピーゲルがログアウトして姿を消す。残った6人に女性アバターが近付く。

?2「なんでこんな血生臭い所へ来たのかしら?先導アイチ!」

イチア「え!?僕の本名……まさか、コーリンさん!?」

イチアが仰天すると同時に女性アバターが右手を軽く下ろしてステータス画面を見せる。その画面の名前は『カンザシ』と書かれていた。

?3「まぁ、現実は金髪だから一目見たら誰だかわからないよね」

?1「そうそう。僕なんか殆ど原型無いからね」

イチア「その声……鶴来君に光定さん!?」

今度は男性アバター2人、名前に『Bride』、『虚屍』が表示される。

イチア「という事はこの2人って……;」

カンザシ「そういうこと」

?5「ああ。俺達だよ」

?4と?5もステータス画面を開く。名前は4は『SAKI』、5は『異叉』という名前だ。

イチア「いや、鶴来——いや、ブレイドさんはともかく、他はなんで来たんですか!」

異叉「俺達は最初からここにいたんだ。トレーニングがてらにも丁度いいからな」

SAKI「キリトがBOB予選に参加したからな。俺らもそれまで暇だったし、ここをうろついてたらこいつらと会ってな」

虚屍「最も、僕らの場合は彼女が原因だけどね……」

光定——虚屍が尻目でコーリン——カンザシを見る。その彼女は怒りのオーラを漂わせ、光剣の刀身を延ばす。

カンザシ「まぁ……あいつらの事を思っての行動だったから今回はよしとするわ」

イチア「あ、ありがとうございます……;」

カンザシ「ただし、シノンと密着してたのは許せないわね」

イチア「え……?」




この後こっぴどくアイチはコーリンとタクトに叱られました。

氷の狙撃手と光の剣士の先導者2:その4 ( No.392 )
日時: 2014/07/30 22:02
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: u6VY3ouz)

意味深なチャット再び。


ゲストAさんが入室しました。
ゲストBさんが入室しました。


ゲストA:BoB、あいつに会ったんだってね。

ゲストB:あぁ。お前は知らないだろうが、俺にとっては因縁の相手だった。

ゲストA:どうだった?

ゲストB:……負けた。あの二刀流、間違いなくSAOの英雄、キリトだった。

ゲストA:そっか……話を変えるけどさ、もう終わりにしない?

ゲストB:藪から棒だな。何故だ?この話を持ちかけたのは俺だし、第一お前の憧れの……

ゲストA:最近、リアルの方で変な奴がいてさ。イジメの事とか、色々相談に乗ってくれているんだ。この前GGOで、やられても街に戻るだけなのに、馬鹿みたいに身体張って守ってくれたし……

ゲストB:つまり、自首したいって事か……?

ゲストA:え!?う、ううん!そんな事無いよ!そんな事……

ゲストB:……


ゲストBさんが退室しました。


ゲストA:参ったな……僕、最近変になってるのかな……?


ヘカートさんが入室しました。


ゲストA:いらっしゃい。あれ?もう一人呼んだ筈だけど……?

ヘカート:イチアの事?そいつなら現実世界で連絡取ったら同僚に仕事押し付けられたって。

ゲストA:こ、これがっ……!同僚イジメ!!

ヘカート:……帰る。

ゲストA:待って待って待って!冗談冗談!冗談だから!

ヘカート:……話ってなんなの?下らないのだったら即刻降りるからね?

ゲストA:……;最近有名な死銃ってのは知ってるよね?

ヘカート:ええ。私もBoBで会ったわ。それが?

ゲストA:僕、その死銃の秘密を知ってるんだ。

ヘカート:死銃の……秘密?

ゲストA:死銃はね……『現実とGGOにそれぞれ一人ずついる』んだ。

ヘカート:は?どういう意味?

ゲストA:これで話はおしまい。続きを知りたいなら明日GGOでね。


ゲストAさんが退室しました。


ヘカート:……何それ?





数日後、ALOウンディーネ&スプリガンの協定領地内。


クリスハイト「昨日のBoBは凄かったね。死銃との激闘で彼を倒した挙句、シノンというプレイヤーと同点優勝。GGOもその話題でいっぱいだよ。BoB前代未聞だって」

キリト「アンタ、他人事みたいに言うよな……;」

ひとけの無い酒場のような場所で、他人事みたいに笑うクリスハイトに対し、怒りを通り越して呆れ声を出すキリト。
BoBの結果は死銃との激闘を経てシノンとキリトの同点優勝。BoB初の光剣使いの優勝と同点優勝で話題になっている。

キリト「だけど、死銃も詳しい事は言わなかった。結局ふりだしに戻っちまったって訳だ」

クリスハイト「そっか……」

再び八方塞がりとなって重い空気が充満する。
そんな中、クリスハイトが何かを感じ取ったように顔を上げた。

クリスハイト「ゴメン、ちょっと用事が出来た見たいだ。また来るね」

キリト「じゃあ俺もログアウトするか」

クリスハイトが去ると同時にキリトもステータス画面を開き、ログアウトボタンを押して現実へと戻って行った。
そして現実世界の自室のベッドの上で目が覚めると、下のリビングに足を運ぶ。事件の件はまだわからないらしいが、テレビでも見ていようと思い、テレビの電源を入れ、とんでもない情報を目にした。










キャスター「今朝午前5時ごろ、○○公園にて少年の遺体が発見されました。被害者は新川恭二16歳。死因は心不全であり、首に注射器のような痕が発見され——」

呆然と立ち尽くす和人が我に帰り、すぐさまフルフェイスメットを手に自前のバイクに飛び乗って警察署へと向かって行った。

和人(どうなってんだよ!?死銃はもう倒したから、後は奴のアバターを通じて現実の始終のプレイヤーを洗えたはずなのに!何でこんな状況でまた人が死ぬんだ!ふざけてんじゃねぇぞ!!)

胸中で悪態を吐きつつ、バイクを警察署へ飛ばしていった。


これは一体……!?

氷の狙撃手と光の剣士の先導者2:その5 ( No.393 )
日時: 2014/07/30 22:09
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: u6VY3ouz)



菊岡「振り出しどころか更に最悪な事態になっちゃったね……」

休憩室で菊岡が真剣な表情で即急に訪れた和人に言う。部屋にいたのは彼だけでなく、アイチや詩乃、鶴来も呼ばれたらしく、そこで鉢合わせした。

菊岡「彼らは被害者と親しくてね。同僚が報告した途端すっ飛んで来てくれたよ」

和人「そうか……」

詩乃「あいつ、昨日までぴんぴんしてたのに……」

菊岡「どうやら被害者はGGOのプレイ中に殺されたらしい。被害者のアバター、シュピーゲルがこれまで死銃のターゲットとなった人達と同様に、突然苦しみだして消失したんだ」

被害者の経緯や死亡原因を報告する菊岡。その傍でアイチが拳を壁に打ちつけた。

アイチ「なんでシュピーゲルさんが……!」

菊岡「GGO関係のスレッドでも大騒ぎだよ。死銃の亡霊が現れたって」

詩乃「スレッド……菊岡さん、ちょっとそれ貸して」

詩乃が思い出したように菊岡からパソコンを取り、操作して昨日自分が入ったスレッドのホームページに移動する。

詩乃「昨日の18:35のスレッドは……あった!」

菊岡「これは?」

詩乃「あの後シュピーゲル、新川君からメールで呼ばれてこのスレッドに入ったんです。その後彼はすぐに退室しちゃったけど……」

詩乃の証言に菊岡は「なるほど」と頷きながら調べる。

菊岡「この文面からすると、死銃の正体に確信を持っていたみたいだね」

鶴来「むしろ自首する気だったのかもしれませんね」

菊岡「2人いる、か……」

詩乃「けど本当なの?死銃に撃たれたプレイヤーが本当に死ぬって」

鶴来「うん。撃たれた同じ時間帯に死んでいる。死銃の名も、撃たれたアバターが必ず死ぬ事からそうついたんだ」

詩乃「何それ?まさかそのプレイヤーが勝手に起きて銃殺した、なんて言うんじゃないでしょうね?」

和人「無茶言うなよ。お前も知ってる通り、ナーヴギアやアミュスフィアでVRMMOのダイブ中、意識はゲーム内にある。それこそ2人でなけりゃ……進入どころか……」

菊岡「被害者を……殺す事すら……」

詩乃の何気ない一言に和人と菊岡が当たり前だろと反す。だが、徐々に言葉が途切れ途切れになり、顔も呆然とした表情になる。
しばしの沈黙の後、突然和人と菊岡が驚いたような声を上げた。

和人「そうか、そういうことか!」

菊岡「もしもし、科捜研ですか?遺体の再検査を依頼したいのですが……はい、刺されたような痕を重点的に探してください!」

アイチ「え?!ど、どうしたんですか?」

詩乃「何か解ったの?」

突然叫びだした和人と菊岡に詩乃とアイチが何事かと驚く。
だが菊岡はアイチ達を無視し、連絡を入れると彼らに報告する。

菊岡「多分、死銃の犯人の片割れを捕まえられるかもしれない。本当に感謝するよ!」

詩乃「は、はぁ……」

鶴来「なんか、僕の知ってる結末とどんどん外れていってるね……;」

菊岡「和人君や詩乃君もありがとう、あとは我々に任せてくれ!」

科捜研に連絡を取った菊岡が詩乃の手を取って感謝の言葉を述べる。
詩乃も訳が解らないままに「ど、どうも……」と頷いた。







後日、死銃事件の主犯格の逮捕がニュースで報道された。

主犯は死銃事件最後の被害者たる新川恭二の兄、新川昌一。その犯行に及んだ経緯は構想を練っていた所、弟の新川恭二がシュピーゲルのでたらめな理論が原因で行き詰っていた所、試験的がてらにシュピーゲルの殺害に及んだという。

その後、彼に恨みを持つ者の犯行と警察が感づかれないよう隠れ蓑として薄塩たらこ、ゼクシードの殺害に及んだ。方法は弟がアバターを操り、アバターが銃を標的に撃ったと同時に兄が事前に入手した標的の現実の住所に侵入。無抵抗状態の身体に猛毒であるサクシニルコリンを注射して心臓麻痺に至らしめるという方法だった。

だが、第2回BoB終了後に弟が自首をすると言い出し、殺害に及んだと彼は警察の事情聴取で述べたという。


氷の狙撃手と光の剣士の先導者2:その6 ( No.394 )
日時: 2014/07/30 22:19
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: u6VY3ouz)




アイチ「ん……?」

詩乃の通う新学校の校門前、門の影から覗くと詩乃と彼女を恐喝している3人を見つける。最初は駆けつけて3人を投げ飛ばそうと思っていたが、詩乃が遠藤の拳銃を奪い取ると拳銃を3人に向ける。だが、それの引き金を引く事無く拳銃を投げ捨てた。

アイチ「……」

鶴来「ホッとした?」

安堵した所に後ろから鶴来に声を掛けられる。驚いて後ろを振り向くと彼だけでない、和人に珪子と里香、コーリンまでも同行していた。

コーリン「何でこんな所に来たのよ?」

アイチ「あ、ちょっと墓参りに。皆さんもですか?」

鶴来「いや、僕らは偶然。一緒に行く?」

里香「あぁ、ちょっと待って。あたしら用事があるから。先に行ってて」

先に里香と珪子が詩乃に話をする。話を終えた後、アイチ達と合流して墓参りに向かう。



新川恭二の墓地に黙祷を捧げ、花を贈り終えた後、里香がある疑問を口にする。

里香「そういや和人も言ってたけど、アンタの言うクライマックスってなんなの?」

鶴来「……本当はこれを言うのはダメだと思うんだけどね。もう終わったんだったら話してもいいかな」

溜息を吐いて彼自身が知っているクライマックスを告げる。

珪子「恭二さんが詩乃さんを殺そうとしてたなんて……」

鶴来「それでも、その後の話じゃ少しずつ現実に向き合ってるんだ」

アイチ「じゃあ、シュピーゲルさん——新川君を頃したも同然なんですよね?」

アイチの言葉に空気が重くなるのを感じる4人。それを鶴来がフォローに入る。

鶴来「そんなこと無いよ。彼も彼なりに死銃事件に終止符を打とうとしていた。別に気に病む必要は無いよ」

コーリン「彼なりのケジメって訳ね」

里香「詩乃もお母さんと対面しに行ったからね。あいつもきっと立ち直るよ」

珪子も里香も彼を慰める。次第に彼の表情も明るくなってくる。そして思い出したように珪子が声を上げた。

珪子「そういえば、詩乃さんの歓迎パーティ開きますが、皆さんも来ますか?」

アイチ「え?仕事はたった今終わったけど……」

里香「そんな事言わないでよ?アンタが来ないと詩乃が……泣くよ?」

アイチ「いやいや、流石にそこまで子供じゃないでしょ!」

鶴来「でも面白そうだね。僕達も行っていい?」

里香「勿論!多いほうが面白いじゃん!」

早速行こうと里香がコーリンの腕を引き、鶴来の背中を珪子が押して先行する。その後、アイチは新川恭二が眠っている墓石を向く。

アイチ「それじゃあまた来るよ」

そう言って、先行していった4人に合流し、エギルの店へと向かって行った。




Fin.





おまけ『名前の由来』

※エギルの店にて。


アイチ「そういえば、皆さんの名前の由来ってなんですか?鶴来君は名前をそのまま英語読み、サキ君とイサ君は名前の変換だから解るけど」

光定「僕の場合は、最初は空牙とか名前を入れようとしたけど誰かが着けててね。どうしたものかと考えたら、ふとあるゲームのサイトのあるものを思い出したんだ。試しに入れてみたらビンゴだったよ」

直葉「とはいえ、これなんて読むんですか?キョシ?うつろしかばね?」

光定「ウロカバネだって。僕も最初見た時は何て読むか解らなかったよ」

直葉「え゛……?確かそれって……;」

明日奈「討鬼伝極のボスキャラ……よね……;」

※よく見たら光定ケンジの中の人が討鬼伝極に出てくるらしいです。

鶴来「ま、まぁ次はコーリンさん。お願いね」

コーリン「私?私はちょっとアニメのを参考にしたのよ。銃の世界だから、ロボ物のインフィニット・ストラトス2から」

里香「へぇ。結構まともなものを選んだんだね」

コーリン「当然よ。大体想像してみなさいよ?ガトリングガンやマシンガンを手に荒野の敵を殲滅する小さな魔女やトイズ持ちの探偵をさ」


イメージ図:マシンガン二挺とロケラン二挺を構える魔女RさんとトイズSSさんの図(背景はゾンビなどが山積み)。


イサ「俺、一瞬バディファイトのアーマナイト・ウィザード(デンジャーワールドのサイズ1モンスター。魔法使いなのにめっちゃ武装してる)を想像しちまったぞ;」

サキ「俺なんかそのコスプレをした逆ギレパンダみたいなおっさんを想像しちまった……;ギルバート、水くれ;」

ギルバート「あいよ;」



『締上げた』


和人「お前ら聞いたぞ?クリスハイトをALOに呼び出して、みんなで締め上げて死銃の事を聞き出したんだってな?」

明日奈「し、締め上げたって野蛮な事言わないでよ!」

直葉「大体、お兄ちゃんもお兄ちゃんだよ!あたし達に黙ってあんな危険な人と戦うなんて!」

光定「まぁまぁ。事件は解決したからいいじゃないか。それに締め上げる面子なんてこんな所に……」

遼太郎「お?どうした?」

ギルバート「注文なら受け付けるぜ?」

光定「……締め上げそうな面子、いた」

遼太郎&ギルバート「俺らを見て言うんじゃねェよ!!」

和人「すまん、俺も一瞬そう思っちまった;」



『ライバル?』


詩乃「え?GGOアバターを消しちゃったの?」

アイチ「はい。元々シノンさん達と会う為だったし、BoBにも用はありませんから。和人さんのほうはコンバートしたらしいですし」

詩乃「そっか……もっとイチアに会いたかったのに」

里香「お?ひょっとしてアイチの恋の好敵手の登場か?」

詩乃「な、何言ってんのよ!?そういう意味で言った訳じゃないって!そんなんじゃ……//////」

直葉「その態度にその表情……本命ってことですか!?」

詩乃「だから違うって言ってるでしょ!!(赤面」

明日奈「もうみんないい加減にしてよ;って、あれ?コーリンやけに冷静ね」

コーリン「当然よ。そんな程度で慌てるほど子供じゃないわよ。マスター、アイスコーヒーある?」

ギルバート「あぁ。だがよ……」

コーリン「ん?」


















ギルバート「そのマイクをストロー代わりにするんじゃないだろうな?」

コーリン「え?あ、ちょ、これは……!」

珪子「動揺してたんだ;」

和人「ストローはこっちだぞ;」つストロー


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