二次創作小説(映像)※倉庫ログ

怪盗と探偵の争奪劇:怪盗1 ( No.643 )
日時: 2015/02/06 11:57
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: .4mFzsId)




『簡単なあらすじ』

命の石を壊す為に怪盗ファンタジアの名を受け継いだ鳴海アサカは、今宵もまたビッグジュエルを盗み出す。だがハズレだったので、彼女は雀ヶ森レンに変装してソリッド・スネーク警部に郵便で送り返した。一仕事終えたアサカだったが、盗んだ宝石の裏に暗号めいたシールが貼られていた事に疑問を隠せないでいた。
その翌日、レンの元に『シュヴァルドタワー特別展望台のペアか仕切りディナー招待券』が送られていたと言う。




アサカ「特別展望台って、一番上のアレの事?」

レン「そうです。土曜は夜景にご馳走と、目もお腹も満足ですよ!」

アサカ「でも、それってこの前亡くなった富豪の秘蔵コレクション展ってのをやってなかったかしら?ニュースだと、死ぬ間際に買った大きなルビーが来週展示されるとか……」

レン「ええ。そのルビー、ひょっとしたらファンタジアが狙うんじゃないかって、スネークさんと一緒に下見しようとしたんですが、『どうせ来週からそこに張り込むから、友達と一緒に行ってこい』って断られました(´・ω・`)」

アサカ「じ、じゃあ私が「生憎俺が先客だ」え?」

やれやれ、と首を横に振るレン。千載一遇のチャンスと言わんばかりに名乗り出ようとした時、もう一人の同級生、新城テツが割り込んだ。

テツ「エンデュミオンに日本一の座を奪われてへこんでいるからな。少しは足を運ばねばかわいそうだろうと思ってな。まぁ、下見できなくて残念だったな」

アサカ「折角のチャンスを……!と言うか、それを何故に私に言うの?」

ぐぬぬ……と悔しがるアサカにテツが、レンに聞こえないよう声を潜めて彼女に尋ねる。

テツ「この招待状、確実に罠だぞ。レンはそんな応募の覚えは無いし、お前の正体を知る誰かが、お前を誘うと見越して彼に送ったものかもしれないぞ?まぁ、目立つ行動は控えた方がいい。出る杭は打たれるからな」

アサカ(出る杭は……?)

そうアサカに警告してテツは自分の教室に戻って言った。アサカには、彼が最後に言った『出る杭は打たれる』に、奇妙な感覚を覚え、そしてある事にたどり着いた。





ウィズ「確かに罠だな」

夕暮れ、ウィズが経営するカードカフェ『電LINER』でアサカは休み時間の事を彼に話していた。

アサカ「そうね。でも、一体誰が……」

ウィズ「そりゃ書いた奴に聞け。にしても、だ。このシールに書いてあったっていう『18年前』。嫌に引っかかる気がするだよな……?」

暗号を読み上げたウィズが、18年前という単語に眉を潜める。アサカも同じワードに引っかかっているらしく、同意しつつ誰に問いかけるでもなく呟いた。

アサカ「やっぱりそこが引っかかるのね。なんだったのかしら……?あぁ、それで例の物は?」

ウィズ「ん?あぁ、もうとっくに出来てるぞ」

思い出したようにウィズが取り出したリモコンを押すと、ファイトテーブルの板が反転。裏板には様々な道具と衣装が貼り付けられていた。

ウィズ「今回は予想以上の安上がりだったぜ。なんせ、奴にとっちゃ一張羅みたいなもんだからな」

アサカ「そこは言えてるわね。あの人がこれ以外を着てるなんて、私は見た事が無いし」

用意した衣装——使い込んだような古い茶色のトレンチコート——を手に、アサカがほくそ笑んだ。





そして土曜の夜。
シュヴァルドタワーに来たレンにテツ、そしてスネークが屋上ユキエレベーター前に来ていた。

レン「意外ですね。スネークさんが急に来られるなんて」

スネーク「折角だから、先に見て来いと神津警視がな。テツもすまんな。レンと約束してたのに」

テツ「いえ、お気になさらず」

そう言ってテツはスネークの肩に手を置く。思いっきり指を食い込ませて。

テツ(折角の警告を……)

スネーク(アサカ)(肩痛い……;)

テツ「それでは警備の下見、お願いします。偽物の警部殿」

スネーク「!?」

皮肉たっぷりに言い捨ててテツは去って行った。
もうお分かりだろうが、本物の彼は今頃警視庁で犯罪者の取り調べをしているだろう。今シュヴァルドタワーにいるスネークはアサカの変装だ。あの招待状には自分宛かもしれないと思い、レンの叔父である志木に変装してここに来たのである。
そんな事、レンは知る由も無く、何の疑いも無く志木に変装したアサカと共にシュヴァルドタワーの屋上の特別展望台に上がる。

レン「おぉ、流石は特別展望台。色んな展示品がありますねー」

スネーク「最も、この宝石を散りばめた様な夜景にはどの宝も曇りがちだがな」

レン「持ち主さんが、シュヴァルドタワーをすっごく愛してて、市の人に無理言ってやらせてくれたんですよ」

無人の展望台と眼下の夜景をたっぷりと鑑賞する2人。しかし、これにはディナーもあると書いてあったが、ウェイトレスが一人も見当たらない。
アサカもその事には奇妙に思いつつ、古い型の車の前に行く。

レン「何々?『キーを回すとエンジン音が鳴ります』?面白そうですね」

スネーク(アサカ)(大方録音されたエンジン音が再生されるだけでしょ?)


ブロロロロ……


キーを回した直後、マフラーから排気ガスが噴き出す。

スネーク(アサカ)(排気ガス!?まさかこれ本物!?)

レン「凄いですね!」


がちゃん!プシュー!

レン「はい?って、なに!?」

エンジンが掛かった途端、ハンドルの傍から手錠が飛び出してレンの腕を固定、更にガスが噴き出して運転席にいたレンを眠らせてしまった。

スネーク(アサカ)(手錠に睡眠ガス!やっぱりこれは……!)

?「久しいな。怪盗ファンタジア」

スネーク(アサカ)「!?」


怪盗と探偵の争奪劇:怪盗2 ( No.644 )
日時: 2015/02/06 12:07
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: .4mFzsId)

いったい誰が……?


老人のような男の声に、スネーク(アサカ)はその方を向く。そこには色黒の大男と、彼の両隣にいる4人のSP風の男がいた。

スネーク(アサカ)(……誰、コイツ?)

男「かれこれ18年ぶりだな。最も、お前は怪盗を引退して警部になり、その役を底で寝息を立てている甥に引き継がせたようだがな」

スネーク(アサカ)(ちょ、ちょっと……!このおっさんとんでもない勘違いをしてるじゃない!……あれ?この状況どこかで……?)

ピンチに立たされているにも拘らず、アサカは妙なデジャヴを感じていた。

男「おや?まさかこれがガノンドロフ様の罠だと気付かずにのこのここんな所まで来たのか?わしを暗示する文字を幾つか忍ばせ、罠だと言わんばかりの招待状を送ってそっちの行動を見ていたが、どうやら見込み違いだったようだな。ふざけ半分で同封した発信機入りピンバッジも、その甥は壊しもせず着けているからな」

今更誤解を解く訳にもいかない。スネークを、先代の怪盗ファンタジアを演じたまま男、ガノンに向けて言う。

スネーク(アサカ)「はっ!罠と言うのは重々承知だ。しかし、まさか送り返していた所をお前の部下に見られていたとは、我ながらドジを踏んだものだ」

ガノン「今更嘆いても状況は変わらんぞ。状況と言えば、あの時とかなり酷似してるが、お前の相方には頼めないぞ?」

スネーク(アサカ)「相方?」

ガノン「その犯行現場の残酷さから、偽りの殺人鬼と呼ばれた盗賊、『キラー・ザ・フェイカー』だよ」

スネーク(アサカ)「キラー・ザ・フェイカー……」

キラー・ザ・フェイカー。その言葉にアサカは漸く引っかかっていた事を解決した。

スネーク(アサカ)(そうか、デジャヴじゃない!奴らは18年前、この前母さんがそんな話を……!)

そう、この間彼女は母親が自分の父親との馴れ初め話に、そんな事を聞かされていたのを思い出したのだった。



18年前、警備の人間をことごとく血祭りに上げて失神させるキラー・ザ・フェイカーがパリのエッフェル塔で開催されたバイク展の目玉であるレーサーが愛用したバイクに埋め込まれた宝石を狙い、進入した。いつもの手口で忍び入ったが、そこで当時マジシャンだったアサカの父と出会う。
しかしその宝石は偽物。罠に掛かったマーダー・ザ・フェイカーだったが、そこに居合わせていたアサカの父によって窮地を脱した。そして、それを期に偽りの殺人鬼は姿を潜め、怪盗ファンタジアが誕生したのだった……。

スネーク(アサカ)(そうか。この状況って、前に母さんが言っていた父さんとの馴れ初め話にそっくりじゃない!)

漸く完全に思い出したアサカ。となると、目の前にいる男は18年前に自分の両親の所為で大損した男であるのは間違いない。

ガノン「さぁどうする?18年前の様にその車で逃げるか?だがあの時は細身のバイク、幅の狭いこの窓では車での脱出は不可能だ!最も、その模造品が動かなければ意味は無いがな」

完全に窮地に立たされてしまったアサカ。運転席で寝てるレンを救出しつつ、目の前の男達をどうにかしようと策を練る。無論、父親から教わったポーカーフェイスを忘れずに。

スネーク(アサカ)「私を誰だと思っている?」

ガノン「!?」

スネーク「怪盗がそう易々と命なんか——」

ポケットからモノクルを出すと同時、数個の小さな玉を零す。それらから白い煙幕を吹き出すと同時……!









アサカ「盗らせないわよ?」

煙幕が立ち上って姿が見えなくなると同時に、スネークの顔をしたマスクを投げ捨てる。煙幕の切れ目から、怪盗ファンタジアの姿をしたアサカが不敵な笑みを浮かべているのが見えた。そしてまた煙幕が彼女の姿を隠す。

ガノン「うろたえるな!奴に逃げ場は無い!このエレベーターの入り口を固めていれば……!」

黒服「ふぁ、ファンタジアが……!車ごと消えました!」

煙幕が晴れた時、黒服の一人が叫ぶ。そこには展示してある車ごと影も形もなくなっていたのだ!
実はあの車は気を利かせた富豪が本物のエンジンを投入したのだという。



キキキーーッ!!

その時、背後から、アサカが車を走らせて1周して来た!
すかさず黒服が発砲するが、構わずアサカは芝公園の方角を探す。

アサカ「……見つけた!」

刹那、展示台を倒して二輪走行をする。そのまま目指すは窓ガラス……!

アサカ「横がダメでも、縦なら通るわよ!」

そのまま窓ガラスを粉砕して、18年前の初代ファンタジアと同じ様に空中に脱出した!

ガノン「お、おのれ……!お前ら、警察が来る前に逃げるぞ!」

黒服「た、隊長!妙な糸が……!」

黒服がガノンに言うのも束の間、ライトに当てられて光を反射している糸が、瞬く間にガノン達を中央エレベーターに縛り付けたのだった。





アサカ「さて、特別展望台から地面到達まで約7秒。それだけあればこの程度……って!?」

タワーから脱出し、あとは手錠を外すだけだとポケットに手を突っ込んだアサカだったが、何と先ほどの銃撃でポケットが破けてしまい、中の針金を落としてしまったのだ!
このままでは車諸共レンも地面に激突してしまう……!

アサカ(落ち着いて!如何なる時もポーカーフェイスを忘れるな……!)

何とか落ち着いてどうにかならないかレンを見ると、彼の胸に着けてるピンバッジが目に留まる。
これを使えば……!アサカは無我夢中でピンバッジを使い、手錠の鍵を開ける。そして……!





——ドゴォン!!





衝突する2秒前、開錠に成功して咄嗟にハンググライダーで悠々と夜空を渡っていった。勿論、レンも無事である。

アサカ「まぁ、これだけ騒げば彼らも逮捕されるわね。1周する時に絡めたテグスで、当分動けないみたいだし。さて……」

漸く落ち着いた所でレンを見るアサカ。確か、この後アサカの父は自分の妻となるキラー・ザ・フェイカーとキスをしたと聞く。
しかし、勿論アサカにそんな勇気は無く……

アサカ「まぁ、私の所為でこんな目に遭ったんだし、これで終わりって事で……」

何もせず、そのまま月明かりが照らす夜空を飛んでいくのだった。



感想まだ。

怪盗と探偵の争奪劇:怪盗3 ( No.645 )
日時: 2015/02/06 12:15
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: .4mFzsId)



あの後、アサカの思惑通りにガノンドロフと同行していた黒服達は警察に逮捕された。しかし、彼の弟子らしい人物がいるらしく、彼らもガノンドロフと同じ手口で私服を肥やしていると聞かされ、母親に証拠品と共に彼らの悪事を暴いて欲しいと頼まれ、一方的に切られてしまった。

アサカ「はぁ〜……あ、メール。えっーと『坂本龍馬の遺品3点セット』?」

遺品の内容に目を丸くするも、言われた通りに物置にあるという証拠品を取り出そうと扉を開け、目を丸くした。なぜなら……
















合わせるとざっと3桁はくだらないだろう3点セットの模造品の山があった。

アサカ「……マジ?」





とある隠し部屋。

ジュークボックスが作動し、セットされたレコードの1枚が蓄音機に掛けられ、優雅な音楽を奏でる。
そして、2、3テンポ間を置いてから録音されたアサカの父親の声が、娘に助言するように語る。

レコードの声『いいか、アサカ。よく聞け。マジックで行き詰った時は、《逆転の発想》をイメージしてみるといい』

アサカ「逆転の発想?」

レコードの声『マジシャンは常に、見る者の裏を掻かねばならない。あるアイデアに詰まったら、それとは全く逆の方法を考えてみるといい。驚かせる素材としては、十分すぎるだろう』

助言が終わると同時に音楽が終わる。そして、彼女の目の前の床から1人分のクローゼットがせりあがり、扉が開かれる。

アサカ「逆転の発想……ね。いつもありがとう。父さん。これは、奴らの悪巧みを暴く絶好の機会」

モノクルを手に取り、自分の母親がやり残した仕事の事を考えながら、目の前のマジシャン姿の自分の父のポスターを見る。

アサカ「奴らにも解らせないとね。怪盗を自分の道具みたいに利用する奴らが、どんな末路を辿るのかを」

窓の外は今にも降り出しそうな曇天。それを見たアサカは、静かに心で呟いた。

——焦る事は無い。その日を待つだけよ。





アサカ「はぁ……返すとはいえ、この3つをどうすれば……」

翌日、校舎裏で大量の遺品セットをどうやって返すか考えていたアサカ。1セットならまだしも、これだけの量だとかなり苦労する。おい、さっきの決意はどこにいった。

レン「こぉぉぉぉ〜……!」

アサカ「ん?何やってるの?」

悩んでいると、階段を上がった所でレンが変な呼吸をしているのを見つける。奇妙な行為に、アサカは思わず尋ねる。

レン「いえね、友達がお腹が出てきてヤバイって言ってるので、真似してみてるんですよ。こうやってお腹に力を入れて……!」

アサカ「なんだ、てっきり波紋法を我流で取得するんじゃないかと……!?」

レン「いやいや、流石に今から筋骨隆々な紳士みたいな姿になれませんって;って、どうかしましたか?」

何気ない会話のつもりだったが、アサカは今のワードから何かを思い付いたみたいに硬直する。
レンは彼女にツッコミを入れたが、返事が返ってこない彼女に首を傾げる。

アサカ「いや、ちょっとその友達にお礼を言わなきゃならないわね」

レン「はい?」

何かを思いついたアサカに、レンはただ疑問符を浮かべるだけだった。





放課後。『電LINER』。


ウィズ「鳴海、もう次のショーの小道具は完璧だぜ」

ウィズリモコンを起動し、フィールドボードから色々な道具が現れる。

ウィズ「気ぃつけろよ?どうにも今回は、警察以外にも厄介な奴がいるらしい」

下見を終え、次の準備を整えたウィズがアサカに警告する。彼の言う厄介な奴とは、下見の時に会ったあの少年だった。見た目は小学5年生から中学1年生位だが、時折見せるその鋭い推理にはまるで鞘に収まった名刀だとウィズはぼやく。

アサカ「解ってるわ。今回もいい勝負になりそうよ」

ウィズの忠告も耳に入れたアサカの表情は、笑いを浮かべていた。自惚れでは無く、マジックショーを前にしたマジシャンの様に、これから起こる奇跡を楽しみにしているような表情をしていた。

(幕が下りてスクリーンが暗転)





(暗闇からスポットライトが舞台にいる、怪盗ファンタジアの姿をしたアサカを照らす)

アサカ「如何でしたか?我がイリュージョンは。さて、私の活躍は一旦は終了。次は小さな探偵がその鋭き推理をご覧くださいませ。Illusion must go on!」

(会釈してスポットライトが消える)





あとがき。

ちょっと今回は龍馬の宝の争奪戦をキッド視点とコナン視点で描き、ちょっとアレンジに凝ってみました。
今回主演を演じるアサカは、使うクランがサーカス系のペイルムーンだったのと同時に、奇術師としても十分な実力者だと言う事で採用しました。

お次は探偵視点でお送りする『怪盗と探偵の争奪劇:探偵』です!

感想お願いします。