二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【まどマギ】それは優越感か、後悔か【番外編】 ( No.11 )
- 日時: 2013/02/15 22:35
- 名前: おなかへった ◆scEpNWmRjQ (ID: b9.2unG6)
第一話
私が足を踏み入れる魔女の結界は大抵が混沌としている。物質1つ1つの色の明度や彩度、透明度どれをとってもちぐはぐで、そこには統一感などという語句は存在しない。魔女という絶望をまち散らす者の住処であるのに、何処ぞやのアトラクションパークのような明朗さを感じさせる場所だ。
しかし、その雑然とした色達が不気味さを醸し出していて。もしうっかりと一般人が迷い込むのであれば恐怖で立ち竦み、結界の主や僕の好餌へとなるだろう。
まあそれは凡庸であらゆる抵抗手段を持たない者がたどる末路だ。1つでも魔女に太刀打ちできる何かあるのならば話は変わる。
そう、私のように契りを交わした、魔法少女のように。
契約し魔女に抗う術を持った私は、結界内を酷く楽しんでいた。往訪するたび変化するダンジョンはどんな不気味さを漂わせているのか。魔女は戦う時、どれほど毒々しい容姿を見せてくれるのか興味をそそられるようになったのだ。
今回赴いた場所はまさにグロテスクという言葉が当てはまる。絵の具を全色混ぜたどす黒い光がよく視界に入るし、戦った者もそれなりで美しいと思いつつも嘔吐を催すような醜悪な姿であった。
「ああ、今日はとても酷いゲテモノが見れたね」
魔女撃破後、一休みしていた病院の屋上で笑いながら呟く。
「訳が分からないよ」
返事をくれた者は行動を共にする異常なインキュベーターだ。丸い赤目を開き、猫の尖った耳からは三股に別れた羽——私は羽に見えないので、耳毛と呼んでいる——を生やしている。猫に近い胴体の後ろには、等身大の尻尾が取り付けられている。
「普通、この世の物とは思えないものを目にしたときはいかにも嫌そうな顔をするだろう? だが君は全く逆だ、喜びに満ちた顔をしている。——不可解だね」
ああもしかして、とインキュベーターは仮説を立てて言葉を紡ぐ。
「君は異常嗜好者なのかい?」
「さあ、どうだろうか。でもアブノーマルなお前に異常者とは言われたくないな、キュウべぇ」
「僕の異常は君達人類にとっては普通の事だろう? だったら僕は此処に居る間不偏的な生物となるじゃないか」
「はは、屁理屈を」
「くだらなくても、理屈は理屈さ」