二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【まどマギ】それは優越感か、後悔か【番外編】 ( No.16 )
- 日時: 2013/01/10 20:44
- 名前: おなかへった ◆scEpNWmRjQ (ID: hc4T1ZG6)
首を傾げて尋ねるキュウべぇの声は若干震えている。・・・・・・珍しく落ち込んでいるな。
自分でも細かい所を一々指摘しているのは理解している。何故か奴の行動が目に余り、音となってしまうのだ。だが、これは絶好の機会だ。私は昨日の鬱憤をはらさんとばかりに言葉を吐いた。
「厭と頭を縦に振る、さ」
「・・・・・・口では嫌だと言っても、本当は快く思っているってこと?」
「おっしゃる通り」
「よ、夜・・・・・・!」
口許を軽く緩めると、勢い良くキュウべぇは胸に飛び込んできた。認めたくはないが、胸部の脂肪分は皆無に等しいので、乳腺への刺激がストレートに響く。詰りの事、痛い。キュウべぇは軽いが、3kgの衝撃は中々堪えるものだ。
「相変わらず胸が無いね、ツンデレだし」
くっそ、容赦がないでやがる。
「一言余計だよ。それに私はツンデレ発言を一度もした事がないのだが。・・・・・・まあいいか」
「うん。僕は貧乳派だし問題ないよ」
お前の好みは聞いていない。そして答えになっていないではないか。この間にも奴は私の上半身に密着し、心地よさそうだ。目を細め、上擦った声を漏らしているのだから。キュウべぇに言わせると、私の素肌はもちもちしているらしく、衣服越しでもその柔らかさが感じられるらしい。
さて、幸せが高まったところが好機だ。口をゆっくり動かして、白い生き物に伝える。
「あ、好きだっていったの、あれ嘘だからねぇ」
人は始終褒められるよりも、一度貶されてから誉の言葉を貰う方が喜びは大きくなるらしい。今までの行動を省みると、確かに思い当たるところもある。
逆もまた然り、だ。つまりは喜ばせてから否定するのである。心理学の実験でも効果は裏付けされており、しっぺ返しにはもってこいだ。
「酷いよ、僕を騙すだなんて!」
人間ではなくとも、ハラスメント行為をはたいていたキュウべぇは感情が備わっている。私の発言は予想通り、奴の精神に傷を負わせたようだ。
「おやおや、君が言うことでは無いと思うが?」
「それは心が無い奴だろう!? 僕は気持ちが存在したときから、ホラを吹いたことないよ!」
これまでのスキンシップはどうしたものか、首を左右に振ってべしべしと長い耳毛ではたき始めた。遠まわしに「うわああん、この乳無しババア!」とでも伝えているのか、執拗に肩から下を攻撃する。・・・・・・否、それは被害妄想だな。けれどもやっぱり痛い。
「よるのバーカ、もう二度と口利かないもんね!」
耳毛が何往復かすると、キュウべぇは捨て台詞を吐き、隣の部屋へと姿を眩ませてしまった。
作戦成功。白色が完全に視界から外れると、私は指を丸めて力強く握った。
「少々やりすぎてしまったかな?」
互いに罵り、互いに罵り返す。キュウべぇが私の家に住み着くようになってからは、日常茶飯事と化していた。
口ではコロコロと意見を変え、ああ言ったものの、それほどキュウべぇの事が嫌いではない。かといって好きでもないが。
だが一つだけ確実なのは、奴と居れば、暇を持て余さずに済むということだ。
「さて、仲直りのミルクティーを淹れようか」
機嫌を元に戻すため、私は厨房へと足を運ぶ。
それから夜はやっぱりいい子だね! と掌を返したように笑顔を見せてくれるのは、そう遠くない未来の事だ。
第二話
(きゅっぷいに借りを返そう)