二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【まどマギ】それは優越感か、後悔か【 オリキャラあと一人!】 ( No.23 )
日時: 2013/02/07 19:00
名前: おなかへった ◆scEpNWmRjQ (ID: b9.2unG6)

 その美貌は周りの夜景も目に入らない程で。私の視線は彼女のみに集中していた。
 その人は胸までを覆う白いフリルをあしらったワインレッドのケープから、フレアに広がるチュニック丈の白い衣を纏っている。えりがスクエアに角張っていることから、シャツを着用しているのであろう。下にはシャツと同色のバルーンパンツで、——月光が当たっていないので少しわかりづらいが——黒とワインレッド、二色のストライプが入ったオーバーニーソックスをほっそりとした足に履いている。膨らみのあるクラシカルな服装でよく分からないが、おそらく華奢な体つきをしているのであろう。
 顔はとても整っていた。絹のように白い肌は優しい光が注がれ、更に麗しさを増している。風に流れるブラウンのボブヘアーはウェーブがかかっており、女性らしさがある。睫の長い、やや伏せられたつり目は混じりけのない純粋な黒を見せていた。

——美しいと思った。透明な肌も、ふんわりとしたフェミニンな毛髪も、夜景を捉える闇色の双眼も。私は強く惹きつけられ、声を発することすらできなかったのだ。

「今日は———がみれたね」
「最高だよ」
彼女は薄い唇を伸ばし、言葉を放っている。それ程離れてはいないので、私にもそれは届いたが、ただ鼓膜を震わせるだけで。きっとぼおっと見ていただけなのだろう。そこから脳みそに伝わることはなく、何か言っているなとか、穏やかな声だとしか認識出来なかった。
 そんなもうろうとした私の意識も、すぐに取り戻せることができた。女性以外の、別の声によって。
「訳が分からないよ」

その声質には覚えがあった。中性的でちょっと可愛らしい、けれど何を考えているか分からない者。
——ぷいちゃんがいるのかな?
 真っ白な体毛に、赤い瞳を持つ生物。まさしくぷいちゃんことキュウベぇの声だ。口調も同じだし、私の推定は間違ってはいないだろう。
「君は異常嗜好者なのかい?」
「さぁ、どうだろうか。でもアブノーマルなお前に言われたくはないねぇ、キュウベぇ」

——やっぱりぷいちゃんだ! 女性の最後の一言で、予想は事実に変わる。
「おや、僕の異常は君たち人類にとって普通のことだろう?だったら僕はここにいる間、普遍的な生物となるじゃないか」
ここで、ふと私の中に疑問が浮かぶ。ぷいちゃんの異常が何か知りたいのもあるが、何よりあの美しい女性は魔法少女なだろうか?
 
 そもそもぷいちゃんは普通の人には見ることができない。姿を確認できる人は二つの条件を満たしていなければならないのだ。一つは未成年の女子、すなわち少女であること。もう一つは魔法少女として契約し闘っているか、魔法少女の素質があり、ぷいちゃんに契約を迫られている人間だということだ。彼女の場合は一見どちらか分からない。けれど服装は、私服と言うには少々ファンシーな気がする。だとしたら魔法少女の特徴の一つであるちょっと変わったそれを着て、既に闘いに身を投じているのか。

——うん、契約しているに違いない!
半ば私の中で決定づけると、同じ魔法少女して頑張っているんだなぁ、と急に彼女への親近感が湧いてきた。それと同時に、話しかけたいという欲求も現れる。
——でも・・・・・・。
もし怪しい目で見られたらどうしよう。不安が心の中にあるのも事実だ。同じ魔法少女だとしても、結局は赤の他人。不審に思われる可能性もゼロではない。迷う心が口をぴったりと閉じ、私は上手く言葉が発せられずにいた。

「そろそろ帰ろうか」
ぷいちゃんが澄ました声で早く早くとせかしている。
「そうだね」
彼女もいいよと頷いていた。・・・・・・まずい、これでは話すことができなくなる。
——まって!
その静止の言葉すら喉の奥に飲み込まれ。美しい女性とぷいちゃんは姿をくらませた。

「あ・・・・・・」
やっと、やっと空気を吐き出せた。もう遅いというのに。
「結局、声もかけられなかった・・・・・・」
せっかく仲間を見つけたというのに、うろたえていたせいで喋れなかった。自分の臆病さにため息を付き、肩を落とす。
そんな時、空虚な闇の中に月光を反射するものが。どのようなものか確認するため、顔を地面に近づける。
「これは・・・・・・!」

黒い球体に銀の針が突き刺さり、それでバランスをとっている。魔法少女が魔力を回復させるために使用する、グリーフシードだ。
「・・・・・・あの人が落としたのかも」
 だとしたら困るであろう。このアイテムはたまにしか入手できない貴重なものだ。それに魔力の回復手段はグリーフシードをソウルジェムに近づける事以外、方法はない。
 私としてもこの魔女が落とす卵は欲しい。今すぐにでも穢れを取り除きたかった。けれどもこれはあの人の物だ。あの人が闘い、傷つきながらやっと手にした物。努力の結晶とも言える黒い卵を他人に、しかも勝手に使われたならばきっと悲しむであろう。私だったらきっとそうだ。

「明日、会って渡そう」
 うん、その方がいい。あの人が悲しまずに済むし、何より少しでも会話することができる。
——あ、ちゃっかり自分のこと優先しちゃってる。
・・・・・・ともかく、私にとっても女性にとっても良いことに変わりはない。あの人が何処にいるかは分からないが、きっとグリーフシードを落としたことに気づいてここにやって来るだろう。

「朝9時、朝9時にここに来よう」
 そう決めて、私はエレベーターに乗り込むのであった。


 第三話
(夜景の中で見つけた)


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うおうあ。語彙をわざと貧しくするって難しい。限られた言葉しか使えないのは元から無い文才が更に減ってしまうではないか。
あとエレベーターを固有名詞無しで表現しようとした。無理でした。


さて、長らくお待たせしました。次からいよいよ皆様が応募してくださったオリキャラ登場させたいと思います。
それでは、失礼いたしますです。