二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【まどマギ】それは優越感か、後悔か【 オリキャラあと一人!】 ( No.24 )
日時: 2013/02/07 19:02
名前: おなかへった ◆scEpNWmRjQ (ID: b9.2unG6)

第四話

 横断歩道を駆け足で渡り、人を上手く避けて歩道を進んでいく。家からかなりの距離を走ってきたので息は荒くなっていたが、足の速さが遅くなることはない。

——あの人に、あえる。
 呼吸の辛さよりも、昨日のキレイな女性と話せる嬉しさが心を占めていたのだ。走り続けると、やがて白い横長の建物が視界に入る。面積が広い庭も見えることから、病院であることが分かった。
 いつもは止まって、車の出入りを確認してから駐車場をはさんだ向かいにある白い建物に入る。だが今は平日の朝だ、止めている車の数も数える程しかないし、そのままパーキングエリアを駆け抜けよう。
——どうか病院にいますように。
 入口に到着すると一つ、大きく息を吐く。そんな願いを込めて、私は自動ドアのボタンを叩いた。

 病院内は人気が少なかった。否、ほとんど無いと言うべきか。月曜日の午前九時ということもあるが、それでもいつもは年をとった人達が他愛もない話をしている。だが今日に限って、その人達も、話し声も全くないのだ。
——静かだなぁ・・・・・・。何か嫌なことが起こりそう・・・・・・。
 何だか不気味に思えたので、その気持ちを紛らわすように受付のナースさんに声を掛けた。

「あの、おはようございます」
「あら、おはよう。今日もお母さんのお見舞い?」
挨拶をすると、はにかんで彼女は言葉を返してくれる。その笑顔でちょっぴり、心が安らいだ。
「はい、もちろんです」——本当は別の目的があるのだが。
「いつもえらいわね、巫子ちゃん。はい、どうぞ」
「ありがとうございます」

 何が偉いのかは知らないが、褒められたことには変わりないので礼をする。
——そうだ、ナースさんならあの人来てるか分かるかな。
 渡されたパスケースを首にかけると、私は彼女に尋ねた。
「あの、ここに肩までのブラウンのふわふわした髪の、黒いつり目の人来ませんでしたか?」

 身振り手振りで彼女に伝えた。しどろもどろになってしまったが、特徴は伝えたのできっと理解してくれるはずだ。
「ブラウンのふわふわした髪でつり目の子?」
 私が言った内容をちゃんとまとめて聞き返す。ナースさんみたいに言いたいことを分かりやすく言えるようになりたい、と私は密かに思っている。
「はい、女の人です」
「いえ、見てないわね・・・・・・。そもそも、巫子ちゃんが最初の外から来た人だからねー」
「そうですか・・・・・・」

 心の中ではがっかりしているが、それを顔には出さないようにする。どんな人にも優しく接してくれるナースさんにはあまり心配をかけたくないのだ。
「力になれなくてごめんね」
 彼女は眉を下げ、申し訳なさそうに言う。もしかしたら顔に気持ちを出さなくても、雰囲気から読み取れてしまったのだろうか。
「いえ、大丈夫です」
 だから彼女に笑顔が戻るよう、私なりの精一杯の微笑みで答えた。

「それじゃ、ありがとうございました」
 もう一度頭を下げる時も笑顔は絶やさず、ニコニコと体の向きを変えてこの場所を後にした。
——まだ、いないかぁ。
 ちょっと早く着すぎたのかもしれない。だったらお母さんの病室で待っていよう。きっといつかはここに来るはずだ。
 私は母の病室へと、向かった。