二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【まどマギ】それは優越感か、後悔か【 オリキャラあと一人!】 ( No.27 )
- 日時: 2013/02/23 09:04
- 名前: おなかへった ◆scEpNWmRjQ (ID: b9.2unG6)
「ごめんなさい! つい、急いでて・・・・・・あっ」
「こちらこそ、すみません・・・・・・ふぇ?」
派手に転んでしまった後、お互いに謝り合う。下げた頭を元に戻し、相手を見つめると同じタイミングで声を出すのだった。
「巫子ちゃん!」
「桜綺ちゃん!」
私が下を向いて歩いていたため、ぶつかってしまった女の子の名前は黒夜桜綺という。茶色のツインテールと丸い、くりっとした瞳は本来の年齢より幼く見える。14歳の中学二年生なのに、失礼ながら私は12歳と間違えてしまった。
そんな“どうがん”な彼女ははきはきと軽やかに喋る。私がガンの手術をしている最中のお母さんを待っていた時、桜綺ちゃんと出会った。私は手術が無事に成功するか不安で不安で仕方なかったが、桜綺ちゃんの次々とでてくる他愛もない話や、太陽のような笑顔で今にも折れそうな心を支えてくれたのだ。
「巫子ちゃん、今日もお母さんのとこ?」
「うん! いっぱい話をするの」
質問に頭をぶんと勢いよく振る。こうやって内気な私でも心を開くことができたのだから、桜綺ちゃんはきっと人気者なのだろう。学校で沢山の人に囲まれて楽しそうに過ごしているのが簡単に想像できる。ちょっぴり羨ましい。
「そっかー。早くお母さん退院できるといいね」
「うん!・・・・・・そういえば、桜綺ちゃんはどうしてここに?」
瞬間、空気が何故かぎこちなくなるが、かき消すように桜綺ちゃんは言った。
「手当をしてもらったんだ」
——桜綺ちゃんには、週に一、二回必ず起こることがあるらしい。頭から血を流していたり、足がずたずたに切れていたり・・・・・・“とどのつまり”、ケガをしているのだ。しかもかなりの量である。
それだけではなく、どうしてこんな傷を負ってしまったのか、本人は全く覚えていないらしい。記憶に障害があるとも言われているが、脳の検査をしたところ、異常は見つからないという。
とにかく今は傷を治すしかないので、よく桜綺ちゃんは病院に足を運んでいるのだ。
「・・・・・・ケガ、大丈夫?」
「へーきだよ、すぐに治っちゃうからね!」
腕を曲げ、筋肉が盛り上がるような動作をする。体中のあちらこちらに包帯が厚く巻いてあるので、誰しもが強がりだと思うだろう。けれど、桜綺ちゃんの言葉は大げさではなく、本当のことなのだ。
——もう一つ、黒夜桜綺という女の子には不思議に思うことがある。どんなに治りづらい傷でも、ほんの数日で、すごい時には半日で消えてしまうのだ。これにはお医者さんもおどろきを隠せないようで、中には一度解体してみたいと冗談めいて——とはいってもちょっとブラック過ぎる——ぼやく人もいるし、「化物」とひどい言葉で彼女をののしる者もいる。
「桜綺ちゃんはすごいなぁ。痛いのすぐ飛んでっちゃうんだもん」
私の場合はそのどちらでもない。人並み外れた回復能力を純粋にすばらしいと尊敬している。また私の仕事柄——魔法少女が仕事なのかは置いておいて——羨ましさも含まれていた。それらの感情を含めて、いいなぁと付け足す。
彼女はちょっぴり困った顔をして、
「そうでもないよ」
とはにかんだ。
「あ、そういえばお母さん待たせてるんだった!」
思い出し、桜綺ちゃんはあわて始める。
「お母さんまちくたびれてるんだろうな、きっと文句言われるなぁ・・・・・・」
ぶつぶつと漏らしていた。若干だが、彼女の表情に陰りが見える。
「それじゃ、これで!」
「うん、お大事にね!」
手を振りながら、桜綺ちゃんはどんどん遠くなっていく。私はもうケガしないようにね、と最後に告げたが、きっと聞こえていないだろう。
「行っちゃった」
彼女の足音が完全に消えたのは数分もしないうちだった。足速いなぁ。
「・・・・・・私もお母さんところいこ」
止めていた下半身を動かす。病院内なので、静かに、ゆっくりと迷惑にならないように。何歩か踏み出したところで、ふと思いついた。
——あれ? 私以外誰も来ていないんじゃなかったっけ・・・・・・。
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先程まで揺れていた茶色のツインテールは、下を向いて肩に付いていた。走ることを止めたからである。
「お大事にね、か・・・・・・」
茶色の瞳を細めながら、小さな女の子の言葉を反復する。一文字ずつ、噛み締めるように。声質は巫子と話していた時とは、雰囲気がまるで違う。
——14歳にしては低い、テノール寄りのアルト。イントネーションにも朗らかさは現れていない。酷く、落ち着いていて。
人によっては残酷に。人によっては殺人者のように。黒夜桜綺は第ニ声を吐き捨てた。
「こんな虫ケラの身体なんざ、いくらズタボロにしたって構わねぇんだよ」
閉じた瞼を開け、金色の双眸を見せる。口許を大きく歪めると、狂気とも言える光が目に宿った。
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長らくお待たせしてしまってすみません。破壊王子様、黒夜桜綺ちゃんの登場でございまする!(`・ω・´)
夜「おや、雷帝様のオリキャラが最初じゃないのかい?」
QB「初めて応募してくれた人のオリキャラをすぐ登場させないなんて、失礼にも程があるよ」
おなかへった「」
本当に申し訳ございません、雷帝様。話の都合上、貴方様のオリキャラは次に登場させるしかなかったのです・・・・・・。本当に失礼しました。
ですが次の話で必ず登場させますので、ご無礼をお許しくださいまし。