二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【まどマギ】それは優越感か、後悔か 【オリキャラあと一人!】 ( No.31 )
日時: 2013/02/15 22:32
名前: おなかへった (ID: b9.2unG6)

金属の棒をにぎり、力を少しこめて左に動かす。わずかな音と共に、私の目の前からは白い扉が消えていく。その代わり、六角形の個室が露になった。日当たりの良いその部屋には、天井についてしまう程長いヘットボードを持つセミダブルベッドが配置されている。
「おはよう、お母さん」
ゆとりのある寝具に1人、横たわる人にあいさつする。こちらの声に気付いたようで、整った細い顔をこちらに向けた。
「おはよう、巫子」

ピンク色のたれ目に泣きボクロ、クリーム色のセミロングの髪を持つ女性が私のお母さんーー梨兎崎宮奈だ。お母さんは顔をほころばせるが、今にもくずれてしまいそうな“儚さ”が見えた。
「今日もお話、しにきた……あ」
ふとベッドサイドに視線を投げかけると、人が立っていた。すかさず私は体を向けて、“えしゃく”をした。

「こ、こんにちは」
「……こんにちは」
彼女も軽く頭をたれた。藍色のお団子に結んで、切りそろえられた髪がさらりとゆれる。
「そういえば、巫子は会うの初めてよね。このお姉さんは、お母さんが働いていた会社の友達の娘さんでね、わざわざ遠い所から来てくれたのよ」
娘……さん? ということはまだ大人じゃないのかな。
「桐谷紫藤です、初めまして」
そう述べて、私をまっすぐ見すえた。やや細まった赤い瞳で、口をムの字に結んでいるので、ちょっとだけこわい。

「は、はじめまして、り、梨兎崎巫子です」
最初からつまづいてしまった。心が声に出てしまったようだ。それが知られていないかと、心配でさらにビクビクする。お母さんが私の娘なの、と紹介し、注意をそらしてくれているのはありがたい。
だがお母さんに対する感謝は、次の一言で無くなってしまった。

「二人共、ジュースを買ってきてくれないかしら。お釣りで好きな物買っていいわよ」
と薄っぺらい1000札を私に渡す。