二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【まどマギ】それは優越感か、後悔か 【オリキャラあと一人!】 ( No.35 )
- 日時: 2013/03/06 18:35
- 名前: おなかへった (ID: 80kMZFUh)
「し、紫藤さん」
「……何?」
今度は私が名前を呼ぶ。返事の言葉は少しやわらかく、伸びていた。
「病院に来る前、キレイな女性を見ませんでしたか?」
「女性?」
「はい。えと、かみの毛はカールがかかったブラウンで、肩までの長さです。背は高くて、多分165はこえていると思います」
「目つきはどんな感じ?」
「混じり気のない黒色で、つり目……です」
そこまで特徴を伝えると、紫藤さんは顎に手を当てる。目線も上を向いていることから、病院に来る前のことを思い出しているようだ。
「ごめんね、貴方の言っているような人は見てないの」
「そうですか」
ダメだったか……。
「何か用があるの?」
「はい、その人の落し物を拾ったので……」
「落し物?」
「はい……えっと」
私はポケットの中に手を入れ、動かし始めた。記憶が正しければ家を出る直前に、左ポケットにグリーフシードをしまったはずだ。
「これです」
黒い球体をつかみ、紫藤さんに差し出す。
「……!」
彼女は赤い目を見開き、絶句した。その反応が気になり私もグリーフシードを見たが、特に魔女が生まれる合図の嫌なオーラは放たれていない。ただ黒光りするだけだ。だとしたら、紫藤さんはなぜおどろいたのだろう?
「どうかしたんですか?」
「……いえ、何でもないわ。あ、ほら。もう売店だよ」
「……ホントだ」
目の前には“病院内売店”と書かれたかんばんが。もっと先には本や飲食物がいくつか置いてある。
「宮奈さんを待たせたら悪いし、早く買おう?」
「そうですね」
私の中ではまだ紫藤さんの表情が引っかかっている。だがまずはお母さんにたのまれたことをしなければ。
「いらっしゃいませ」
笑顔の店員さんにペコっとおじぎして、ドリンクコーナーに足を動かす。ペットボトルが並ぶ棚を開けて、取り出そうとしたしゅんかんだった。
「キャアアアアアアアアア!!」
それははっきりと、あざやかに、わたしの耳へと伝わった。かんだかい女性の悲鳴だった。