二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【まどマギ】それは優越感か、後悔か 【オリキャラあと一人!】 ( No.37 )
- 日時: 2013/03/16 13:04
- 名前: おなかへった ◆scEpNWmRjQ (ID: L7bcLqD7)
「っ、あ」
のどもとから声をしぼり出そうとしても、発せられるのは一文字だけで。おどろきのあまり、私はまともにしゃべれやしない。
「貴方は誰、ここで何をしているの」
私の代わりに、紫藤さんがたずねた。声は重くなり、切れ長な目を更に細める。“けいかい“していると知るのは簡単なことだった。
「・・・・・・あ? 見れば分かるだろう。虫ケラ共をぶっ潰してるんだよ」
桜綺・・・・・・ちゃんはくちびるで“こ”をえがき、丸いひとみをゆがませる。声はほがらかなソプラノではなく、紫藤さんに負けない位低くて、まるで王様のような“いげん”を感じる。それがきょうふを生み出し、私は紫藤さんの後ろにかくれた。
「貴方が誰だとも聞いている」
「知りたいか?」
桜綺ちゃんはのどを鳴らす。
「黒夜桜綺・・・・・・だ。貴様の名は何だ」
「・・・・・・桐谷紫藤」
紫藤さんはただそれだけ答えた。二人の間に、はりつめた空気が流れる。
「もう一つ聞く。貴方は何故こんなことをするの」
「何故こんなことをするのか、だって?」
紫藤さんの言葉をくりかえすと、桜綺ちゃんはピンク色のひふに指を軽くそえ、笑う。感情を押し殺したように、静かに笑う。
「人は傷付くと必ずと言っていいほど顔を酷く歪める。どんなに整った容姿をしていようが、それは醜く変わる。そして時には甲高い悲鳴も上げやがる。耳をつんざくように、な」
手を広げ、腕を高く上げる。もう彼女の思いはおさえきれないようだった。
「だがそんな人がもがき苦しんでいる姿はたまらねぇ! 身体中がぞくぞくする!」
たかぶった気持ちを言葉にぶつけた。
「私はな、苦しむ人間を見るのが大好きなんだ!!」
きょうふがいっそう増してとりはだが立ち、私の体がこきざみにふるえる。紫藤さんの服をつかむのも、きづかないうちに行っていた。
「だがさっきも言った通り、私にはまだまだ悲鳴が聞き足りねぇ、もっと聞きてぇ! だからよ・・・・・・」
いったん彼女は口をつむぎ、左手の中指のつけ根に反対の手の指をそえる。
見覚えのある動作だった。まるで私が魔法少女になるためにソウルジェムを取り出すような・・・・・・。
——まさか桜綺ちゃんも!
彼女の動きに目をこらす。手にはサイズぴったりの銀のゆびわがはめられていて、ゆっくりと中指をすべりながら外れていく。第二関節を通り、第一関節をぬけ・・・・・・。つめの先からはなれると、くうどうのある銀の円は茶色の光を放ち、卵の形の宝石——ソウルジェムへと形を変えた。
——うそ・・・・・。
ああ、信じられない。黒夜桜綺は魔法少女だったのだ。
「さあ、楽しませてくれよな!」
頭の中に、声がひびく。