二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【まどマギ】それは優越感か、後悔か 【オリキャラ〆切ました】 ( No.54 )
- 日時: 2013/03/22 22:31
- 名前: おなかへった ◆scEpNWmRjQ (ID: L7bcLqD7)
いつまでたっても、体はいたくならない。変わりに、金属音が聞こえてくる。
どうしてだろう、と私は目を開く。まわりには私たちにおそいかかってきた角ばったブロックのようなものが転がっている。
「・・・・・・大丈夫?」
私を気づかってくれた紫藤さんも、姿を変えていた。
黒いせなかまでをおおうすそが破れたマントをはおっている。だがそれは右から左にゆくにつれて長さがどんどん短くなり、左のかたはかくれていない。代わりにあざやかな赤のかっちゅうでカバーしているようだ。うでから下はあみめじょうのピッタリとした布でろしゅつがおさえられている。下はこんいろのタイトなミニスカートと黒のハイソックスをはいていて、その間からは白い足がむき出しになっていた。
ちょっとセクシーで——とはいっても前が分からないのできめがたいが——大人な服の紫藤さんの右手には、一本の日本刀がにぎられていた。さっきの高い音はこの細い刀でブロックをはじきとばしたから鳴ったのだろうか。
「なっ・・・・・・。私の攻撃を防いだだと・・・・・・」
やっぱりそうだった。桜綺ちゃんのおどろきがしょうめいしてくれている。
——すごい。
すなおにそう感じた。数十個・・・・・・いや、百個をこえるブロックをすべてふりはらえるだなんてよっぽどうでの立つ人なんだなぁ。
「……貴方は魔法少女だと言ったわね。私も同じ魔法少女よ」
——紫藤さんもそうだったんだ・・・・・・。
たしかに私を守ってくれたときはよゆうがあり、どうどうとしていた。だから彼女が魔法少女であってもそれほどおどろきはしない。むしろ安心する。
「黒夜桜綺、貴方は私の敵。私の敵は容赦なく排除する。・・・・・・これ以上、人を危険に晒さないように」
ここで桜綺ちゃんはハッ、と気づき、王様のようなたいどにもどる。
「はっ、ヒーロー気取りか? 虫ケラが。やれるもんならやってみやがれ、まあ防ぐことで精一杯だろうがな!!」
また桜綺ちゃんは手をかかげてブロックを作り出そうとするが、紫藤さんによってはばまれる。
「隙有り」
「!!」
彼女は私の前からいきなり消えたかと思うと、桜綺ちゃんのすぐそばに居たのだ。そのまま紫藤さんは刀をふりかぶるが、ブロックをとっさに動かし、何とか相殺する。
——何が、あったんだろう。
事を上手く飲みこめずにいた。紫藤さんが桜綺ちゃんのところまで行ったのはわずか1秒もたたないうちだ。2人のきょりは200メートルもある。いくら足が速くてもそんな短い時間でたどり着けるはずがない。
「チッ!」
桜綺ちゃんは苦い顔をして、こりずにブロックを上方に発生させる。またぶつけるのかと考えたがちがうらしい。彼女はブロックの上をテンポ良くのりつぎ、地面から遠ざかってゆくのだ。きっと紫藤さんからはなれようとしているのだろう。
けれども、失敗におわった。
「グハッ!」
なぜなら紫藤さんがいっしゅんで近づいたからだ。しかも刀は見事に体にふれて、桜綺ちゃんに苦しみをあたえた。
「無駄・・・・・・」
声もふんいきも、紫藤さんは私をさとしたときとは逆だった。氷のように、冷たかった。
「貴方の魔法少女としての能力は空間を作ること・・・・・・。この箱みたいなものも空間の一つとして生み出されているのね。
私の能力はテレポート。一瞬で思いのままに、どんな場所へも移動できる」
「テレポート・・・・・・か。ククッ、厄介だがそれでこそ殺しがいがあるってもんだぜ」
桜綺ちゃんは起き上がり、どこからともなく大きな刃物を取り出す。——かま、だろうか。2メートルもあるぼうの先には曲線を描いて、持ち手から遠くなるにつれて細くなっている刃が付いていた。それを自らのドレスに持ってゆき・・・・・・布を切り裂いた。
やぶれたところから、ガーターでおさえられた白いニーハイソックスと、赤いヒールが現れる。
「お遊びはここまでだ。今からたっぷりいたぶって、ぶっ殺してやるぜっ!!」
これからの様子を想像してぞくぞくしているのだろう、にぃ、と口角をつりあげる。
その笑顔が一番ゆがんでいて、狂気にみちあふれていた。