二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【まどマギ】それは優越感か、後悔か 【オリキャラ〆切ました】 ( No.64 )
- 日時: 2013/05/03 08:11
- 名前: おなかへった ◆scEpNWmRjQ (ID: L7bcLqD7)
「ククッ、どうだ? この私にいたぶられる気分は」
おもしろさと楽しさがまざった笑いをこぼし、桜綺ちゃんは足を進める。
「……っ、う」
紫藤さんは起き上がろうとするものの、足に力が入らないようで。ふるえながら何とか上げていても、あと少しのところでがくん、と地面におしりと足が着いてしまう。
「ざまぁねえな! あれだけ自信満々だったのによ。今じゃボロ雑巾みたいだぜ」
口走っている間にも、黒い服の彼女は上体を立てようとしては、くずれることをくりかえす。
ーー助けたかった。でも、私のおくびょうさが、その気持ちをひっぱり、行動にうつすのをやめている。ほら、手も足も全く動かないでいる。
「結局、てめぇから悲鳴を聞くことは出来なかった。もっと痛めつけようが、どうせ黙っているんだろうな。……だが、これならどうだ?」
桜綺ちゃんは体を回転させて、私の方を見る。持っていたかまの刃先もだ。
「……まさか……!」
紫藤さんはどうようする。これから何が起こるのかさとったのだろう。
もちろん、私もにぶくはない。今後のてんかいはすぐに分かった。
「てめぇからあの世に逝かせてやるよっ!!」
風を切る音が聞こえる。刃物がほうり出されたんだ、私に向かって。
——ああ、もう私はしぬんだ。
動けなくてよけられないのがわかっているからだろう。れいせいにさいごをうけとめている自分がいた。
「巫子ちゃん……!」
私の名前を、紫藤さんがよんでいる。あとに続く言葉はきっと、よけてだとか、あぶないだとか、私の身をあんずるものだ。頭にひびく間にも、自分をしにがみが持つえものはたましいをかろうとやってくる。
——でも、ごめんなさい。
私はもうむりだから。
すぐ居なくなってしまうのだから。
せめて心の中だけでも、わかれをつげよう。
ありがとう、さようなら。
ありきたりな言葉のあと、命がうばわれる——はずだった。
——あ、れ……。
ふと抱きしめられるかんかく。首が何かやわらかいものでしげきされて、ちょっとくすぐったい。
「だいじょうぶ、だよ」
聞こえる、やさしいあの声。さいしょはこわかったけど、本当は思いやりのある人。知り合って間もないのに、私を守ってくれた人。
「あなたは」
そっと、ささやく。
「わたしが」
はかなく、けれども意思をこめた声で。
「まもる、から……」
とだえとだえに発した言葉がおわると、重みをかんじる。
服に たいりょうににじんでいるえきたいと、ゆかにしたたり小さな池をつくるしずくに、げんじつをにんしきさせられて。私はようやく気づいたんだ。
紫藤さんが私をかばって、かわりにかまをうけたのだと。
「しど、う……さん? 紫藤さああああん!!」