二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【まどマギ】それは優越感か、後悔か 【オリキャラ〆切ました】 ( No.65 )
- 日時: 2013/07/20 07:49
- 名前: おなかへった ◆scEpNWmRjQ (ID: n6vtxjnq)
私をかばい、たおれた紫藤さん。高らかに笑う桜綺ちゃん。私はそのなかで、ただ気をうしなった彼女を支え、たちつくすことしかできなかった。
「全く、虫ケラの分際で私に刃向かいやがって。愚者は大人しく私に駆逐されていればいいものを」
桜綺ちゃんのあくたいが聞こえる。私が支えている人をひどくののしっているようだが、いかりはわいてこなかった。かなしみが心をおおいつくしていて、べつの感情が入ってくるよちなどなかったのだ。
——どうして、私を守ったの? どうして私の代わりになったの? ねえ、どうして……。
彼女へのぎもんとかなしみが、とめどなくあふれてくる。そのうち体がふるえて、目の先が熱くなってくる。
「紫藤さん……!」
——もう一度目をさまして。
ねがいをこめて、名前をよんだ。ささえる力を強くして、しっかりとにぎりしめて。
けれどもまつげの長いまぶたはひらかない。ピンク色の口も、うごくそぶりさえない。
「しどう、さん……」
こうしている間も、紫藤さんは弱っていくのに。助けたくても、私は何もできなかった。
紫藤さんがたおれたということでパニックになっているのもあるが、ここは桜綺ちゃんが作り出した空間。みわたしてもただうすぐらいだけで、どうやったら出られるのか、手がかりもつかめないのだ。
出口をさがすために動けば、紫藤さんをよけいにくるしめてしまう。かといって、私一人見つけに行ったら、そのすきに桜綺ちゃんに止めをさされてしまう。
どちらにせよ、きけんが大きすぎて、うかつに動けない。
「わからない……どうすれば……」
桜綺ちゃんからにげられる?
ここから出られる?
紫藤さんを救える?
「無駄だ。全部てめぇには出来やしねぇよ」
どんぞこにつきおとす、桜綺ちゃんの言葉。
「え……」
もしかして声に出ていたのか。今の考えが。いや、そんなことより……
「今度こそてめぇを葬ってやるよ、永遠にな」
間近でとらえた、桜綺ちゃんのすがたとあのよへの刃。ああ、知らないうちにもうこんなに近づいていたのか。
体をはって命を守ってくれた彼女のために、あきらめたくない。紫藤さん、あなたがそばにいるから、なおさら強く思う。
頭のなかには、たたかおうっていうのもうかんだ。うかんだけど、体が言うことをきかないの。
「あばよ、っ!」
一気に、かまがふりおろされる。生み出された風が、私のはだをかすめ、その後のことをリアルにれんそうさせる。
かまが私のはだにふれた。つぎは私のひふにくいこんで、あっさりとかりとっていくのだろう。かくごを決めて、目をつぶる。だいじょうぶ、いたみはいっしゅんだ、すぐおわる。
「な、っ……」
ところがそのいっしゅんがやってこない。わずかなおどろきの声だけが耳に入る。
おそるおそる目をあけると、かまは止まっていた。
しんじられない。きせきでもおきたのか。
「くそっ、どういうことだ……!?」
桜綺ちゃんもこんわくしていた。自らの意思でとめているようではなく、何かでおさえられているようだった。
「女性がそんな重い物を振るうのはやめたまえ。体を壊してしまうじゃないか」
とつぜん、やさしい声が、くつおととともにひびく。
「てめえは誰だ、とっとと出てきやがれ!」
いらだちをあらわにして、正体を表すようにうながす桜綺ちゃん。私には大体よそうできていた。
まちがいない、あの声は昨日病院にいたキレイな人のものだ。
「私は名乗るほど大それた者ではないよ」
おちついていて、しんのある声。まさしくあの声は。
「強いて言うのであれば……そうだね」
言葉がとぎれたそのとき、大きくかつん、とかかとをならし、すがたをあらわした。
「魔法少女、と呼ばれる存在かな」
ワインレッドのケープに、白のシャツとバルーンパンツ。ストライプニーハイにパンプスをはいた一人の女性。
うすら笑いをうかべている彼女は、まさしく私が探していたあの人だ。