二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【まどマギ】それは優越感か、後悔か 【オリキャラ〆切ました】 ( No.70 )
日時: 2013/07/02 22:00
名前: おなかへった ◆scEpNWmRjQ (ID: VxYVWOca)

 
かべにみっちゃくしている体には、まとわりつくようにナイフがならんでいた。足や手、うでに頭、ありとあらゆる場所全てにそれはせまっていて、体とナイフの間は1cmもない。もし少しでも動かそうとしたらすぐに刃が当たって、やわらかいはだをようしゃなく切りさくだろう。当たり所がわるければ、いのちもおとすかもしれない。
 桜綺ちゃんは、そんなあぶない場所で動けないままでいた。体のまわりだけでなく、紫色のマントとフリフリのそでもぶきでとめられている。

「あまり女性を傷つけたくなかったんだけどね。でもこうでもしないと貴方は話を聞いてくれないだろう?」
 彼女を思いやりつつも、ここまで桜綺ちゃんをおいつめたのはシルクハットをかぶったあの人だ。桜綺ちゃんに対して、ダメージはほとんどない。
「これでてめぇがかったつもりか? 笑わせるな、チャチなナイフなんざ当たっても痛くも痒くもねぇんだよ」
 桜綺ちゃんは強気だった。ピンチにおちいっているけれども、しょうぶをあきらめてはいなかったのだ。まっすぐにあの人をとらえる金色の目からすぐに分かる。服がとめられていなければ刃をものともせず、彼女は今にでもとびかかってゆくのだろうと。

「そうだろうね」
 予想はしていた、とあの人はほほえんだ。
「貴方を純粋な力で止められるとは思っていないさ。そのうち留めたナイフを引きちぎって傷つくのも恐れずに私に向かってくるんだろうね。
 ・・・・・・だが、これならどうだい?」
「!!」

 あの人が手のひらをさしだした時、桜綺ちゃんの目がひらいた。
——なんで、桜綺ちゃんのソウルジェムがあの人の手に!? 
 手のひらにのっていたのは茶色にかがやくたまごがたの宝石・・・・・・桜綺ちゃんのソウルジェムだった。一体いつあの人はとったのだろうか、私には考えもつかなかった。二人はそれぞれはなれてたたかっていた。近づくにしても桜綺ちゃんのかまによるものであって、それも長く、おたがいの体にふれられるほど近づいてはいなかった。

「てめぇ、いつそれを・・・・・・!」
「まあまあ、落ち着きなよ。吃驚して落としてしまったらどうするんだい?」
 私も思ったなぞをぶつけるが、あの人は上手くべつの話にそらしてしまう。それが桜綺ちゃんのいかりを大きくしたみたいで。
「いいから返しやがれっ!」
「タダで、というのは難しいよ」
 あらあらしくどなっているが、そうかんたんにはいかないようだった。
「でも、私の要求を受け入れてくれるのなら考えるよ?」
「ざけんな! 誰がてめぇのいうことなんて聞くかよ」
「それは残念」
 あの人は肩をすくめ、やれやれとジェスチャーする。
「じゃあこのソウルジェムは不要だね」
 言うなり、あの人はナイフをいきおいよくソウルジェムにふりかざした!
「っ、まてっ!」
 ゆれうごいた声にはんのうして、するどいものはピタリととまった。ふれるかふれないか、ギリギリのところだった。

「・・・・・・何だい?」
「・・・・・・っ」
桜綺ちゃんは歯をぎりりと食いしばる。どこにもやるせない気持ちが、歯と歯のかさなる音から伝わってきた。
 さすがの桜綺ちゃんも、ソウルジェムをおとりにされるとまずかったようである。それもそうだろう、ソウルジェムは魔法少女に変身するアイテム・・・・・・つまり魔力のみなもとだ。それをこわされるということは、力がなくなることと同じ。どうなるかは分からないが、魔法をつかえなくなってしまうことはたしかだろう。

「納得いかないみたいだね。じゃあもう一度尋ねるよ。お願い、聞いてくれるかい?」