二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【ドラゴンクエストⅨ】〜星空の下で〜 ( No.5 )
日時: 2013/03/05 18:20
名前: フレア (ID: lUTEu1Y0)

フレア 「どうもー、お久しぶりです」
サフィラ「この小説見て浮かんだ感想。……作者より断然うまいじゃん」
エイト 「やっぱり参照数なんかより内容なんだよなー。うちの作者はプロットも書かないし何より中2病」
フレア 「辛辣です。冷たいです。酷いです」
サフィラ「三人称って淡々となりがちだけどこれはそういうのが無いから良いと思います」
フレア 「では、頑張って下さい!」

守護天使の仕事 ( No.6 )
日時: 2013/06/21 15:37
名前: スライム会長+ (ID: hxRY1n6u)

 そこには、橙色のバンダナを巻き、水色のワンピースに白いフリルのついたエプロンをつけた、ナインと同じくらい、あるいはナインより年下であろう、おかっぱの少女が、杖をついてよろめきながら歩いている老人を支えながら、ゆっくりと歩いていた。
老人と女の子は村に向かって歩いているようだった。

 老人の足が止まった。
「おじいちゃん、がんばって。村はもうすぐそこだよ!」
女の子が老人を励ました。
「リッカよ…わしは大丈夫じゃ。わしなどにかまわずに先に村に行っておくれ。」
息を切らしは老人がとぎれとぎれに言った。
どうやら少女の名前はリッカといい、老人は彼女の祖父のようだ。
「何言ってるのおじいちゃん。おじいちゃんをおいているわけないじゃない。」

(このやり取りを聞いている時、ナインは隣から「お前もあのような優しさを持った天使になれ」というオーラをひしひしと感じていた…)

 2人は二人三脚で声をかけながら村へと足を進め始めた。


 問題はここからだ。
2人の後ろにある岩の陰からそのようすを魔物が見ていたのだ。
 きゅうりに手足が生えたような体で、簡素な槍を持っている。
顔もついているが、きょとんとした目な上に舌は出しっぱなしで、正直頭のよさそうな顔とは言い難い。
そいつが1体と、水色のしずく型をしたきゅうりの魔物とよくにた顔を持つやつが2体。合わせて3体が、リッカと老人を襲う機会をうかがっていた。

 イザヤールとナインは顔を見合わせた。2人とも真剣な顔つきだった。
「行くぞナイン。あのような事は起こってしまう前に済ませなくてはならん。
準備はいいな?」
「もちろんです、お師匠さん!」
 二人は膝を曲げ、大きく腰を落とし、足に力を入れた。
2,3秒の出来事だった。
二人は空高く飛び上がり、羽を今まで以上に大きく広げた。 

戦闘 ( No.7 )
日時: 2013/03/29 13:36
名前: スライム会長+ (ID: AQILp0xC)

 2人は風の流れに乗り、まっすぐに魔物の方へ向かった。
村の門の上を通り、草原を滑るように飛んだ。

魔物の後ろに回り込み、2人同時にすたりと降りた。
気配を感じた魔物たちがふり返った。魔物から天使は見えるのだ。
始めは驚いた様子だったが、すぐに正気を取り戻し、こちらに襲いかかってきた。
「いくぞ。」
イザヤールの合図で2人は足を開き、腰を低く落とし、背中にかけていた護身用の木の剣のつかをぐっと握った。
 ナインは後からイザヤールに聞いたのだが、きゅうりの魔物は「ズッキーニャ」、しずく型の魔物は「スライム」というらしい。


 ナイン達と魔物達の戦いが始まった。


 

戦闘2 ( No.8 )
日時: 2013/03/29 13:39
名前: スライム会長+ (ID: AQILp0xC)

 2人は剣を取り出して両手に持ち、肘をまっすぐにのばして守りの構えをとった。
始めに攻撃を仕掛けたのはイザヤールだった。
彼は両手で持っていた剣を右手に持って攻撃の構えをとったかと思うと、ズッキーニャに勢いよく駆け寄り、右上から左下へと斬りつけた。
さすが天使界№2と謳(うた)われた天使である。
ズッキーニャもこれを食らって無傷で済むはずがない。
ズッキーニャはふらふらとよろめいた。
 次はナインだ。イザヤールと同じように攻撃するも、手の軸がぶれ、イザヤールほど相手にダメージを与えられない。
ナインは改めて師の強さを感じた。
 次は、魔物達が攻撃を仕掛けてきた。
先ほどの攻撃で相手の強さを悟ったのか、ナインばかりに攻撃してくる。
ズッキーニャは持っていた槍で突き、スライムは上へ回転しながら体当たりをしてくる。
1回目の攻撃で守りの構えが崩れ、2回目、3回目と受けるダメージが増えてきた。
「仕方がない。まずは量から減らすぞ。」
よろめくナインにイザヤールは言った。
イザヤールは体力の多いズッキーニャではなく、簡単に倒せるスライムを狙うようにとナインに教えた。
 イザヤールの読みは見事に当たり、ナインとイザヤールの攻撃で、ズッキーニャだけにすることができた。

 「ウケケケケケケケ」
ズッキーニャが金切り声をあげたかと思うと、ナインの方へ近づいてきた。
ナインはとっさに守りの構えをとった。
ズッキーニャは今まで以上に大きく構え、素早くナインを一突きした。
「ぐっ!」
ナインは剣で受け止めた。守りの構えのおかげで直撃は避けられたものの、手がしびれるほど強く、腕に響いた。
これがイザヤールが注意しろと言っていた痛恨の一撃なのだとナインは思った。
あまりの強さに膝をつかずにはいられなかった。
「ナイン、奴の体力もそうはないはずだ。お前の力ならとどめを刺せる。
さぁ行け、ナイン!」
イザヤールは言った。
ナインはそれを聞くと、剣先を地面に刺し、剣を支えにして立ち上がった。
そして、剣を引き抜くと、攻撃の構えをとった。
まだ手はじんじんしている。
言う事の聞かぬ腕を力いっぱいふり、ズッキーニャに攻撃した。
手ごたえは抜群。
まるで素振りをしているかのような感覚に、ナインは一瞬空振りをしてしまったかとさえ思った。
この感覚が会心の一撃なのだとナインは思った。
ズッキーニャは背中をそられながら後方へと飛んだかとおもうと、背中から落下し、形残らず青白い光となって、瞬きする間に消えていった。

 ナインはふぅ、とため息をつくと、剣をしまった。
イザヤールはすでにしまっていた。
まるで、ナインの攻撃で倒せると確信していたかのように。
 ズッキーニャ達が消えていった後には5,6枚の銅貨が落ちていた。
「それは魔物達が持っていたG(ゴールド)だ。
この地上界に住む人間たちが物と交換するためにある『お金』と呼ばれるものだ。」
イザヤールは言った。
 ナインは落ちている銅貨を拾い上げると、イザヤールに差し出した。
しかしイザヤールは
「もらっておくといい。初めての報酬とでも呼ぼうか。無論、我々の役には立たぬがな。」
と言って貰うことを断った。
ナインは腰にぶら下げていた皮の巾着袋に銅貨をしまった。
 お礼を言おうとしてナインは振り返った。
しかし、そこにイザヤールの姿はなかった。
しばらくして南の小さな山脈の向こうから、山々を避けるようにしてイザヤールが帰ってきた。
手には草の束を3,4個持っていた。
「今の戦いでの傷をいやすといい。あの辺りには傷によく効く草が生える。覚えておくといい。」
ナインはイザヤールから草の束を1個受けとると、
すりつぶしてかすり傷や切り傷につけた。
ひりひりとしみ、思わず顔がゆがむ。
「少ししみるがつけてしまえば軽い傷なら簡単に治る。」
イザヤールはそういいながら残りの薬草を全てナインに差し出した。
「ありがとうございます、お師匠さん。」
そう言うと、ナインは銅貨を入れたのと同じ袋に薬草をしまった。

 ナインたちはそっと遠くからリッカと老人を見守った。
「ほら、おじいちゃん、ちゃんと村についたよ!」
「あぁ、よかったよかった。」
「守護天使様がついていて下さるもの!」
そういうとリッカは遥か空の方を向き、胸の前で手を握り、目をつぶって静かに祈り始めた。
「守護天使ナイン様、ありがとうございます・・・」
するとリッカから青白く、温かい光を放つこぶしほどの小さな光が出てきた。
その光は、ゆっくりとナインたちの方へ、強く、弱く、光りながら移動した。
そして、ナインの目の前で止まり、浮遊していた。
「それは、人間の感謝の気持ちが結晶になった『星のオーラ』だ。
それを集めることが、我々天使の役目なのだ。」
イザヤールは言った。
ナインはそっと手を出した。
すると、手の中へ吸い込まれていくようにしてナインたちの前から消えた。
「さぁ、これを世界樹へもっていくのだ。」
イザヤールの言葉にナインはうなずいた。
 2人は大きく腰を落とし、足に力を入れた。
そして羽を大きく伸ばし、天高く飛び上がった。

星のオーラ1 ( No.9 )
日時: 2013/04/21 10:15
名前: スライム会長+ (ID: WEFYk.MN)

 大空を切り裂くようなスピードで天使界を目指す彼ら。
普通なら空気の摩擦で火傷ではすまない傷を負うところなのだが、さすがは天使。そんなことなど、うっすらとも感じていない。

 あっというまに雲上にある天使界についた。

 「おかえり、ナイン、イザヤール。」
天使達は、地上から帰ってきた2人を温かく迎えた。
「その顔はナイン。星のオーラを持ってきたようね。」
優しい笑顔で女性の天使は言う。
「はい!」
元気よく答えるナインに女天使は安心した様子だった。
「そう。じゃあこれからオムイ様に報告ね。そうしたら世界樹に星のオーラを捧げてきなさい。」
「はい!」
ナインは答えた。
「さぁ、行ってこいナイン。私は少し寄ってから世界樹へ向かう。」
イザヤールはそう言うと、階段を上っていった。

 あの女天使はナインにとって母のような存在だった。
いつも温かく、そして優しくナインを受け止めていた。

 オムイというのは天使界の長老であった。
天使界の中で1番の長寿で、その年齢は千年とも、一万年とも言われている。
守護天使たちは人間界から帰ると長老に報告するのが掟だった。
 「よくぞかえった、ウォルロ村の守護天使、ナインよ。初めてのつとめ、ご苦労じゃった。」
慈愛に満ち溢れた声でオムイは言った。
「何も言わずとも、おぬしの顔を見ればしっかりとやってきたことが分かる。」
さすがは長老。ベテランがなせる業である。
「ありがとうございます。」
ナインは深々と頭を下げた。
「それでじゃ。星のオーラはいくつ手に入ったのじゃ?」
「1つ手に入れることができました。」
1つという言葉を実際に発したナインは正直少し悲しくなった。
星のオーラを手に入れることは簡単なことではないことは分かっているのだが、改めて1つだったとおもうと、申し訳なかった。
しかし、
「おお、初めてのつとめとしては大変優秀だ。
ナイン、おぬしは立派な守護天使になるであろう。」
ナインはぽかんとした。
「…はい、ありがとうございます。」
「それではナインよ。その星のオーラを世界樹に捧げてくるのじゃ。」
「はい。」
さすがに長の前なので大声は出さなかったが、星のオーラの数を言った時よりとはくらべものにならないほどの、溢れんばかりの自信を乗せて、ナインは返事をした。

 ナインは天使界の外側を巻きつけるかのようにある階段を走っていった。
軽快な足音から、喜びが溢れていた。

 途中、イザヤールととても仲の良いラフェットという天使に会った。
 彼女は文学的に大変優秀で、それでも学ぶことをやめなかった。
眼鏡をはめており、片手には必ず本を持っている愛読家だった。
 彼女の仕事はこの世界のあらゆる出来事を整理する事だ。
いつもは書物庫にいるのだが、気休めだろうか、外に出てぼんやりと空を眺めていた。

 「やぁナイン。お仕事お疲れさま。」
「ありがとう、ラフェットさん。」
「師がイザヤールだなんて、ナインくんは神に選ばれし天使だよ。
イザヤールは弟子をとらない主義なのに、ナインを見るなり、
『この少年は私が責任を持ってしっかりと一人前の天使に育て上げます。』っていうんだよ?
私もイザヤールさんの弟子になりたかったなぁ・・・
・・・といってもイザヤールとは同期なんだけどね。」
 ラフェットはイザヤールの弟子であるナインをとてもかわいがっていた。
「そうだ、星のオーラをささげるって仕事が残ってたのよね?
もうそろそろ女神の果実ができるっていうし、この仕事ももうすぐ終わりかもね。
最後の最後まで一緒に頑張ろう!」
「はい!」
 ラフェットに別れを告げると、ナインは再び階段を軽快に上っていった。