二次創作小説(映像)※倉庫ログ

戦闘2 ( No.8 )
日時: 2013/03/29 13:39
名前: スライム会長+ (ID: AQILp0xC)

 2人は剣を取り出して両手に持ち、肘をまっすぐにのばして守りの構えをとった。
始めに攻撃を仕掛けたのはイザヤールだった。
彼は両手で持っていた剣を右手に持って攻撃の構えをとったかと思うと、ズッキーニャに勢いよく駆け寄り、右上から左下へと斬りつけた。
さすが天使界№2と謳(うた)われた天使である。
ズッキーニャもこれを食らって無傷で済むはずがない。
ズッキーニャはふらふらとよろめいた。
 次はナインだ。イザヤールと同じように攻撃するも、手の軸がぶれ、イザヤールほど相手にダメージを与えられない。
ナインは改めて師の強さを感じた。
 次は、魔物達が攻撃を仕掛けてきた。
先ほどの攻撃で相手の強さを悟ったのか、ナインばかりに攻撃してくる。
ズッキーニャは持っていた槍で突き、スライムは上へ回転しながら体当たりをしてくる。
1回目の攻撃で守りの構えが崩れ、2回目、3回目と受けるダメージが増えてきた。
「仕方がない。まずは量から減らすぞ。」
よろめくナインにイザヤールは言った。
イザヤールは体力の多いズッキーニャではなく、簡単に倒せるスライムを狙うようにとナインに教えた。
 イザヤールの読みは見事に当たり、ナインとイザヤールの攻撃で、ズッキーニャだけにすることができた。

 「ウケケケケケケケ」
ズッキーニャが金切り声をあげたかと思うと、ナインの方へ近づいてきた。
ナインはとっさに守りの構えをとった。
ズッキーニャは今まで以上に大きく構え、素早くナインを一突きした。
「ぐっ!」
ナインは剣で受け止めた。守りの構えのおかげで直撃は避けられたものの、手がしびれるほど強く、腕に響いた。
これがイザヤールが注意しろと言っていた痛恨の一撃なのだとナインは思った。
あまりの強さに膝をつかずにはいられなかった。
「ナイン、奴の体力もそうはないはずだ。お前の力ならとどめを刺せる。
さぁ行け、ナイン!」
イザヤールは言った。
ナインはそれを聞くと、剣先を地面に刺し、剣を支えにして立ち上がった。
そして、剣を引き抜くと、攻撃の構えをとった。
まだ手はじんじんしている。
言う事の聞かぬ腕を力いっぱいふり、ズッキーニャに攻撃した。
手ごたえは抜群。
まるで素振りをしているかのような感覚に、ナインは一瞬空振りをしてしまったかとさえ思った。
この感覚が会心の一撃なのだとナインは思った。
ズッキーニャは背中をそられながら後方へと飛んだかとおもうと、背中から落下し、形残らず青白い光となって、瞬きする間に消えていった。

 ナインはふぅ、とため息をつくと、剣をしまった。
イザヤールはすでにしまっていた。
まるで、ナインの攻撃で倒せると確信していたかのように。
 ズッキーニャ達が消えていった後には5,6枚の銅貨が落ちていた。
「それは魔物達が持っていたG(ゴールド)だ。
この地上界に住む人間たちが物と交換するためにある『お金』と呼ばれるものだ。」
イザヤールは言った。
 ナインは落ちている銅貨を拾い上げると、イザヤールに差し出した。
しかしイザヤールは
「もらっておくといい。初めての報酬とでも呼ぼうか。無論、我々の役には立たぬがな。」
と言って貰うことを断った。
ナインは腰にぶら下げていた皮の巾着袋に銅貨をしまった。
 お礼を言おうとしてナインは振り返った。
しかし、そこにイザヤールの姿はなかった。
しばらくして南の小さな山脈の向こうから、山々を避けるようにしてイザヤールが帰ってきた。
手には草の束を3,4個持っていた。
「今の戦いでの傷をいやすといい。あの辺りには傷によく効く草が生える。覚えておくといい。」
ナインはイザヤールから草の束を1個受けとると、
すりつぶしてかすり傷や切り傷につけた。
ひりひりとしみ、思わず顔がゆがむ。
「少ししみるがつけてしまえば軽い傷なら簡単に治る。」
イザヤールはそういいながら残りの薬草を全てナインに差し出した。
「ありがとうございます、お師匠さん。」
そう言うと、ナインは銅貨を入れたのと同じ袋に薬草をしまった。

 ナインたちはそっと遠くからリッカと老人を見守った。
「ほら、おじいちゃん、ちゃんと村についたよ!」
「あぁ、よかったよかった。」
「守護天使様がついていて下さるもの!」
そういうとリッカは遥か空の方を向き、胸の前で手を握り、目をつぶって静かに祈り始めた。
「守護天使ナイン様、ありがとうございます・・・」
するとリッカから青白く、温かい光を放つこぶしほどの小さな光が出てきた。
その光は、ゆっくりとナインたちの方へ、強く、弱く、光りながら移動した。
そして、ナインの目の前で止まり、浮遊していた。
「それは、人間の感謝の気持ちが結晶になった『星のオーラ』だ。
それを集めることが、我々天使の役目なのだ。」
イザヤールは言った。
ナインはそっと手を出した。
すると、手の中へ吸い込まれていくようにしてナインたちの前から消えた。
「さぁ、これを世界樹へもっていくのだ。」
イザヤールの言葉にナインはうなずいた。
 2人は大きく腰を落とし、足に力を入れた。
そして羽を大きく伸ばし、天高く飛び上がった。