二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 星のオーラ1 ( No.9 )
- 日時: 2013/04/21 10:15
- 名前: スライム会長+ (ID: WEFYk.MN)
大空を切り裂くようなスピードで天使界を目指す彼ら。
普通なら空気の摩擦で火傷ではすまない傷を負うところなのだが、さすがは天使。そんなことなど、うっすらとも感じていない。
あっというまに雲上にある天使界についた。
「おかえり、ナイン、イザヤール。」
天使達は、地上から帰ってきた2人を温かく迎えた。
「その顔はナイン。星のオーラを持ってきたようね。」
優しい笑顔で女性の天使は言う。
「はい!」
元気よく答えるナインに女天使は安心した様子だった。
「そう。じゃあこれからオムイ様に報告ね。そうしたら世界樹に星のオーラを捧げてきなさい。」
「はい!」
ナインは答えた。
「さぁ、行ってこいナイン。私は少し寄ってから世界樹へ向かう。」
イザヤールはそう言うと、階段を上っていった。
あの女天使はナインにとって母のような存在だった。
いつも温かく、そして優しくナインを受け止めていた。
オムイというのは天使界の長老であった。
天使界の中で1番の長寿で、その年齢は千年とも、一万年とも言われている。
守護天使たちは人間界から帰ると長老に報告するのが掟だった。
「よくぞかえった、ウォルロ村の守護天使、ナインよ。初めてのつとめ、ご苦労じゃった。」
慈愛に満ち溢れた声でオムイは言った。
「何も言わずとも、おぬしの顔を見ればしっかりとやってきたことが分かる。」
さすがは長老。ベテランがなせる業である。
「ありがとうございます。」
ナインは深々と頭を下げた。
「それでじゃ。星のオーラはいくつ手に入ったのじゃ?」
「1つ手に入れることができました。」
1つという言葉を実際に発したナインは正直少し悲しくなった。
星のオーラを手に入れることは簡単なことではないことは分かっているのだが、改めて1つだったとおもうと、申し訳なかった。
しかし、
「おお、初めてのつとめとしては大変優秀だ。
ナイン、おぬしは立派な守護天使になるであろう。」
ナインはぽかんとした。
「…はい、ありがとうございます。」
「それではナインよ。その星のオーラを世界樹に捧げてくるのじゃ。」
「はい。」
さすがに長の前なので大声は出さなかったが、星のオーラの数を言った時よりとはくらべものにならないほどの、溢れんばかりの自信を乗せて、ナインは返事をした。
ナインは天使界の外側を巻きつけるかのようにある階段を走っていった。
軽快な足音から、喜びが溢れていた。
途中、イザヤールととても仲の良いラフェットという天使に会った。
彼女は文学的に大変優秀で、それでも学ぶことをやめなかった。
眼鏡をはめており、片手には必ず本を持っている愛読家だった。
彼女の仕事はこの世界のあらゆる出来事を整理する事だ。
いつもは書物庫にいるのだが、気休めだろうか、外に出てぼんやりと空を眺めていた。
「やぁナイン。お仕事お疲れさま。」
「ありがとう、ラフェットさん。」
「師がイザヤールだなんて、ナインくんは神に選ばれし天使だよ。
イザヤールは弟子をとらない主義なのに、ナインを見るなり、
『この少年は私が責任を持ってしっかりと一人前の天使に育て上げます。』っていうんだよ?
私もイザヤールさんの弟子になりたかったなぁ・・・
・・・といってもイザヤールとは同期なんだけどね。」
ラフェットはイザヤールの弟子であるナインをとてもかわいがっていた。
「そうだ、星のオーラをささげるって仕事が残ってたのよね?
もうそろそろ女神の果実ができるっていうし、この仕事ももうすぐ終わりかもね。
最後の最後まで一緒に頑張ろう!」
「はい!」
ラフェットに別れを告げると、ナインは再び階段を軽快に上っていった。