二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:   永遠の記憶を、空に捧ぐ。__ドラゴンクエストⅨ ( No.121 )
日時: 2013/01/24 23:12
名前: 漆千音 ◆1OlDeM14xY (ID: 7K.EniuH)

 デグマやクルトを残して、四人はさらに奥へと足を進めた。
一行を待ち受けていたのは、魔物の大群である。
侵入者発見用の機械メタルハンターや、水中の殺し屋オーシャンクロー、
闇の呪文使いメーダロードに、その師、邪に祈る祈祷師。感想は。
「多すぎだろっ」
 当然これである。
「あ〜、うっとうしい。そこを退きな——さそうね。これは」
 人間相手ならともかくさすがに魔物相手にシェナの脅しが効くはずもなく。皆散って、戦闘開始。
 魔法戦士となって、敵の弱点を見極められるようになったマルヴィナは、
ざっと見積もって光に弱い敵が多いことに気付く。
(光…ライトフォースか、…って)
 一番難しい奴じゃないか!! とマルヴィナは心の叫びを漏らす。
ダーマ神官と戦った時はたまたま発動したものの、常時で使うのはかなり厳しい。
こう考えると、あのとき涼しい顔をしてライトフォースを発動させた嫌味男が
少し、微妙に、ほんのちょっと、凄い奴なのかもしれないと思ってしまう。
——名前は腹が立つので出さない。
 まぁそれはいいとしてと、変人男の浮かびかけた顔を黒板消しでさっさと消して、
マルヴィナは脳裏に複雑な文様を描いてゆく。魔法文字を完成させ、
意識をオーシャンクローを相手に闘うキルガに向けた。ダークフォースが宿る。
ダークフォースはある程度経験を積んだ魔法戦士しか使ってはいけないと言われている。
だが、ライトフォースのように難しいからと言うわけではない。ダークフォースの持つ力は、土と闇。
使い方を間違えれば、宿った者はその闇の力にむしばまれる。
宿す者の力量を判断する力がないと扱えない——それが、経験豊富な魔法戦士しか扱えない理由である。
 もっともマルヴィナは仲間の力量を信頼しているし、闇に食われるわけがないと知っているので、
初めから使えるようになっていたのだが。
(さて、と…次は、シェナだな)
 先ほどとは違う、今度は比べればやや簡単な模様を思い浮かべる。
魔力を温存するべく弓を使うシェナは、同じ弓使いメタルハンターと戦っている。
そんな彼女に、マルヴィナはストームフォースを送った。
(…よし、次はセリ)
「っうっ、わっ、わっ、わわわわわぁがっ!?」
 セリアスには援護ができなかった。
しようとはしたのだが、その前にメーダロードに見つかったのである。
(や、や、やっば、見つかった、ゴメンセリアス頑張れ!)
 文様の代わりにかなり無責任なことを思い、マルヴィナは大股で三歩跳び、魔物と距離をとった。
「む…」
 そして、リッカからもらった剣——    プラチナソード
この前の石の番人戦で刃こぼれの目立ち始めた白金剣を油断なく構え、一気に踏み込んだ。
「せぇぇぇぇえいっ!!」
 が、相手は浮遊体、ふぅわりとやけに優雅にかわされる——優雅のくだりで少し腹が立った。
「このぉっ…」
 悪態をついて、もう一度踏み込もうとした時、
「気をつけろ、マルヴィナ!」
 セリアスからの叱責がかかる。
「攻撃は捨身と同じだ! 相手に近付けば、逆に相手からの攻撃も受けやすくなることを忘れるな!」
「おっと…了解!」
 叫び返しながら、さすがセリアス、と思う。戦いの猛者の名は伊達ではなかった。

 が、マルヴィナはその後、メーダロードによってその言葉すら意識できない状況に陥るのである——。