二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 永遠の記憶を、空に捧ぐ。__ドラゴンクエストⅨ ( No.139 )
- 日時: 2013/01/26 17:03
- 名前: 漆千音 ◆1OlDeM14xY (ID: vQ7cfuks)
断章Ⅰ
『…遂に現れたわね。ガナン帝国が…四人の、前に』
封印の祠と、サンマロウ北の洞窟で聞こえたあの声が…聞こえる。
『あぁ。それに、薄々気付いてるみたいだぜ? マルヴィナの奴…自分の記憶の異常さに』
『そうね』優美な声は、ため息と共にそう言った。
『そろそろ、知るべきなのかもしれないわね。
マルヴィナと、セリアスと…そしてキルガ、彼らに眠る真実を』
『だな』口調はがさつではあるが確かに女のものであるかすれ気味の声が、同意した。
『どうするんだ? キルガの“記憶の渡者”、そろそろあいつらはグビアナ城に来るかもしれない』
『ええ。でも、カルバドへ行くかもしれないわよ? セリアスの“記憶の渡者”』
からかうようなかすれ気味の声に、優美な声が便乗してそう言った。
『ま、そのときはそのとき——ありゃ。どーやら、グビアナ城に行くらしいな、あの四人』
『そう』優美な声は簡潔に呟いた。
『ええ、やはり、知るべきだわ。三人の秘されし真実を…翼無き天使の意味を…』
『一気に言うと色々混乱するだろうからな。せめて、あいつが復活するまで、アタシらで時間を稼ごう。
…とにかく、まずはマルヴィナが、あいつの“記憶の子孫”であること——それから伝えるのがいいだろな』
『ええ。任されたわ』
『ん』
かすれた声は満足げに一言発し…ふと、考える。
『…あいつの称号のことはまだ伏せる?』
『称号?』優美な声は問い返す。
『あぁ——“蒼穹嚆矢”のこと?』
『そ。…ま、どっちでもいっか』
『考えておくわ。とにかく、伝えなければならない。
…記憶の先祖の事とマルヴィナに数千年前の記憶のある理由、私たち“不人間”のことと…
そして、ガナン帝国のことをね』
『あぁ。頼んだよ、——“悠然高雅”アイリス——』
『…了解したわ。——“剛腹残照”マラミア——』
台詞めいた言葉の余韻を残し、声は聞こえなくなる——…。