二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:   永遠の記憶を、空に捧ぐ。__ドラゴンクエストⅨ ( No.384 )
日時: 2013/06/06 20:15
名前: 漆千音 ◆1OlDeM14xY (ID: 9ikOhcXm)

       6.<セリアス>



 ようやく来たぜ俺のターン。「何馬鹿なこと言ってんの?」朝からいきなり毒舌だなオイ!
「おはよ。セリアス」
「おう、おはよう。…また凄い髪だな」もちろん目の前にいるのはまだ髪の毛を束ねていないシェナだ。
「あんたこそ寝ぐせひどいわよ…いつもの事か…」待て、俺はボサボサ頭であって常時寝ぐせ男じゃないぞ。
 とは言いつつも、適当にわしわしと整えておくとする。流石に今日はきっちりしとかないとな。
なんせ今日は神の国へ行く日だ。流石にいつもの調子じゃあまずいだろ。…追い出されたらかなわん。
「むぅー…」いやぁ、珍しく今日は寝られなかった。
「ふぅあ…」だって神の国だぞ。誰ひとり見たことないんだぞ。
「んー、…」俺が自分で言っちゃあ世話無いけど、今日はキルガの
あの百烈叩き起こしを喰らわずに起きたんだからな、そりゃあ気「むぅーん…」
「…その気の抜けた単語を連発すんのはやめろシェナ!」
「んあ」
 半眼で睨まれた。スンマセン俺が悪かったですハイ。
「これは敢えて言うなら感動詞の類よ」…………えーと要するに単語じゃないぞって意味な。はいはい。
 本来なら朝の外の空気を吸うところだが今は建物の中だ。外に行きゃいい話だけど、
シェナを置いていくと多分とんでもないことになる。こいつの寝起きは本当に凄いからな、
ほっとくと髪の毛だらりんって垂らしてふらふらと糸の切れた凧より心配になるような足取りで
あちこち歩きやがる。冗談抜きで朝からホラーだ「チョップ何発がいい?」何でもアリマセン。
 いつもはマルヴィナが軽く朝食を作ってくれる間にシェナの寝起きモードは終わるんだが、
今は人間界じゃないしな。…腹減った。

 …まぁ、まともに機能するまで筋トレでもやるか。
…それにしても本当に普段と起きたての様子は恐ろしく違うな。
…昨日の会話を思い出しながら、俺は思わずそう考えた。





——「…どうしたのいきなり?」
 マジで驚いた。まさかキルガの口からそんな言葉が出てくるとは。俺はシェナみたいに声には出さなかったが、
内心どうした何があったお前突然変異かあれ突然変異ってこういう時に使う言葉だっけみたいな感じの考えで
頭ん中征服されきっていたしな。
 おっと、中途半端なところから説明しちまった。
昨日キルガが、いきなり神妙な顔してシェナに訊ねたその言葉——「マルヴィナに好きな人がいると思うか?」
 いやマジで、石化するかと思った。俺が。
 今更何言ってんだお前って肩で息を吐いて、んなわけねぇだろと言ってやろうと思ったらシェナに先を越された。

「…そっかー。進歩したわねキルガ」

 はい?
「…ようやく、そこまで見られるようになったんだ」
 …。
 ………。
 …ちょっと待てぇい!!
 何だそれ!? それ何だ!? ちょっと待てどういうこった!!? 何で俺が混乱してんだ!?
「…気付いて、いたのか?」
「当たり前でしょ」ちょっと待て何の話だ!?
「…僕が気付いたわけじゃない」キルガも明らかに驚いてるな。表情が全然違う。
「え…あぁ、じゃあもしかして、チェルス?」
「マイレナさん」
「あぁ…」納得?「それはそれで鋭いわね」
 …ちょっと待ってクダサイ。どういうことか教えてクダサイ。
「んー。多分、二人とも気づいてなかったと思うんだけどね」はい。
「マルヴィナ、好きな人はいると思うわよ。…二つ目の意味の、ね」
 二つ目の意味、の意味が分からん。
「要は、親友感覚じゃない…異性としての好感…恋ってことよ」
 間。
「大声禁止!」やっべ叫ぶとこだった!!
「…知っていたのか…」キルガが茫然とした声を出す。あ、折れそう。
「まね。っていっても、つい最近だけどね。多分、本当に好きな人がいるんだけど、
マルヴィナ自身それに気づいていないんだと思うわ。気になるお相手だけど、
多分彼女自身が気づけていないということはかつて出会った人であるのはもちろんだけど
遠距離である可能性が非常に高くそこから推測するにあのド変態魔法戦士とかまさかのナムジンくんとか
いやいやまさかデュリオの盗賊団なんてことは」
「イヤちょっと止まれ」とりあえず止めておく。
「何よ?」
 イヤこれ以上キルガを地面にめり込ませるな。…気分を。
「あくまでこれは第一案。第二案は…あまりに近すぎて気づいていない場合」…キルガの顔が今若干上がったぞ。
「だれもその相手がキルガだなんて言ってないわよ」だからこれ以上めり込ませるな! 気分を!
「…ん? キルガじゃないってことは…まさかアギロか!?」
 ひっぱたかれました。
「どう考えても釣り合わない。まずもって——ねぇ、アギロさんって、いくつなのかしら?」
 間。再び。
 見た目3500ちょい位—あ、人間界に置き換えりゃ50代中盤—って感じもするが…
イヤあの人、正体何? 天使じゃあないよな、光輪ないし、翼無いし、あ、第一、人間に姿見えてたし、…何者!?
 悩む俺。俺悩む。そして思う。ワカリマセン。
「…まぁ、多分年齢差が凄いはずだし。…となると残る可能性は」
 可能性は? …シェナはそこで止めて、何も言わなくなった。目が合う。え、何?
「うすのろ鈍感のすけ! あんたかもしれないって言ってんのよ」腰に手、ズビシと右手を突き付けられて、
なんか凄い罵られた。
 …って、いや、イヤイヤ、それはねぇ! さすがにそれはねぇ、それくらいわかる。
それに、そんな状態にはなりたくない。
 確かに俺はマルヴィナが好きだ。けど、それは、ひとりの親友として、だ。
だからキルガのことを応援できるんだ。そんな微妙な関係にはなりたくないしな。
「…まぁ、あくまで可能性だけどね。…もしキルガが自分で気づけたなら、
もう問題ないかなって思ってたんだけど…まだまだ面倒を見る必要がありそうね」
 …お前はキルガの保護者か?