二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 永遠の記憶を、空に捧ぐ。__ドラゴンクエストⅨ ( No.463 )
- 日時: 2013/09/29 20:33
- 名前: 漆千音 ◆1OlDeM14xY (ID: V4iGFt6a)
7.<シェナ>
私の中に天使の血が流れているからなのか。
天使界は懐かしさを、神の国は荘厳さを、これでもかというほど感じた。
流石にマルヴィナたちほどは固まらなかったけど、アギロとかサンディちゃんほど余裕があったわけじゃない。
…神の国。
足もとがふわふわとして、一見おぼつかなさそうなのに、絶対的な安心感が足もとから全身に伝わる。
言葉にならないくらいすっごく綺麗なのに、なんだかちょっぴり物悲しいなと思った。
星空の守り人、と呼ばれる琥珀色の天使像を後にして次に向かったのは向かいの小島。
遠目からも分かるほどの三つの石碑は、天使像よりは少々暗みのかかっている
相変わらずの不思議な色だけど、やっぱり息を呑むほど綺麗に思える。
…あぁもう、セリアスじゃないけど、綺麗って言葉しか思いつかない「オイどーゆー意味だ」
その石碑は正面から見ると三つに分かれていることがセリアスにでもわかる「イヤだからどーゆー意味だ」
…ふっ、私のスルースキルを舐めないことね、セリアス「心の中ですっごいツッコんでるけどな」
とりあえずチョップで黙らせました。てか何で人の心の中読めんのよアンタは。超能力者か。
…話を戻しましょうか。
…そう、石碑があって、そこにも文字が刻みこまれていた。
でも、その文字はさっきの『星空の守り人』の言葉と同じみたいで、私たちじゃ何にも読めない。
というわけで、またまたチェルスの登場。…何気にあれから、警戒されてるのかどうなのか
よく分からない関係になっているし、ちょっぴり気まずいんだけど…まぁ、そうも言ってられないかしらね。
チェルスが踏み出して、しゃがみこむ。
ざっと目を通して、顔をしかめて、「ただの世界の成り立ちだ」興味なさそうに頭を振って立ち上がった。
「成り立ち」キルガが顔を上げたところから見ると、チェルスとは対照的にすっごい興味あるみたい。
この手の歴史とかそういうの、好きだもんねキルガ。人のこと言えないけど。あ、天使のこと言えないけど。
「読んでよ」マルヴィナがしゃがんで、子供みたいに膝に手を置いて笑った。
最近になって成長した笑顔…っていうのかな、ちょっと大人びた表情が多かったから、
こんな無邪気な笑顔は久しぶりに見た気がする。まぁ実際、私の方が年下なんだけどね。…え、初耳?
「面倒だなマッタク」毒づきながらも、何だかんだでマルヴィナの意見に従うのよね。
チェルスが嘆息して、マイレナが肩を叩いた。後ろから見れば労わったように見えるけど、
前から見たらマイレナが凄く笑いを堪えているから(一体何がツボにはまったのかは知らないけど)
この人も若干黒いところがあるのかもしれない。
「——…」読もうと唇を開いたチェルスは、一度止まった。軽く振り返って、(多分)マルヴィナを見る。
「…初めに言っとくが」いや、散々色んなこと言ってましたよね? 「…後半は胸糞悪くなるかもしれないぞ」
とても神様の住む領域にいる、あるいはあるものの言葉とは思えない単語が飛び出てきて、
そこにいる全員が(サンディちゃんはマルヴィナのフードの中だったから分かんないけど)、
ほぼ同時に眉を動かした。
けど、そんなこと言われると逆に訊きたくなるじゃない。
結果として、だったらいい、なんて言葉は誰ひとり言わなかった。
チェルスは目を細めて、あまり好感情的ではない溜息を一つつくと、また石碑に向き直って、軽く息を吸った。