二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 永遠の記憶を、空に捧ぐ。__ドラゴンクエストⅨ ( No.466 )
- 日時: 2013/10/04 18:55
- 名前: 漆千音 ◆1OlDeM14xY (ID: V4iGFt6a)
「まず、空と海の話」神様が創ったものの話みたい。「空に星を浮かべ、海に大地を浮かべた」
あ、確かにつまらなさそう。
鳥や魚や獣…ありとあらゆる生命を創り出し、そして神様が最後に創ったのが人間だった、という話。
…えーと、そのあとに天使も作っているのよね? …何で書かれてないのかしら。
私たち竜族はともかく(だって神様が創ったんじゃなくて、天使からの流れで生まれた種族なんだし)。
続いて、人間と、人間でない生き物の話。
曰く、人間より先に創られた生命は皆『正しい心』を持っていたけど、人間はもう一つ、
『悪しい心』を持った奴がいる…って話。ちょっと偏見混ざってない? って思って、少しだけむっとしたけど。
じゃあ魔物は何なのよ。確か魔物だって、人間滅ぼすために創ったんでしょ? そこんとこどうなのよって
思ってたらセリアスがちょっと身を引いてきた。「シェナ…何か妖気が背後から」あら迂闊。
続きに、正しい人間はごくわずかで、悪い人間ばかり栄えて、次第にほかの生命まで
支配するようになった、的なことが書いてある。
…ちょっと胸が痛いなぁ。確かに私たちは生きるために動物を狩ることがある。
けど、それを生命の支配、って言われると、どうしようもなくなっちゃうじゃない。
そりゃ、私たちは正しい! なんて声高に言えないのは分かってるけど…。
「で…最後」それはある意味、神様の意思表示。
そして、とてもこの世界全てを統べる者の言葉とは思えない、言葉。
『——神とは生きとし生けるものすべてを等しく守り導く。
すべて正しき心を持つ者を。
正しきものを守るため 悪しきものは滅ぼさねばならぬ』
——以上、と静かに言って、チェルスは立ち上がった。…重苦しいほどの空気が、空気を支配していた。
「な…」マルヴィナが、少しだけ後退った。キルガも眉間にしわを寄せて、読めない石碑を睨んでる。
「ちょ、ちょっと待って。…嘘でしょ?」何でだろう、何故かは分からないけど、私はついそう言ってた。
別に神様を信じていたとかそういうわけじゃないけど。あまりに身勝手で偏りすぎたその言葉に、
思わず反応せずにはいられなかったんだ。
「まぁ、わたしが言っちゃあ信憑性に欠けるかもしれないな」チェルスは肩をすくめて
右手をはらりと振った。「どーかな? 生憎この文字が読めるのはわたし一人だ」口元が皮肉に歪んでいる。
誰がどう見ても、真実をどこか隠しているような表情だった。けれど、嘘をついているようには思えなかった。
…私たちは聞いてしまった。知ってしまった。神様がどれほど人間嫌いなのかを。
実際に行動したということだって知ってる。…神様の言葉だって言われて、全否定なんて今更できなかった。
ゴツン、と鈍い音を立てて、マイレナがチェルスの頭を撲った。
「いって、何すんだ!?」
「何すんだじゃないでしょがこのど阿呆。この状況でふざけてる場合か。何カッコつけてんの」
「…別に嘘なんかついてないしな」
「はいはい、拗ねないの。ガキかアンタは」
「お前には言われたかねぇ!」
ぎゃーぎゃーと騒ぐ二人を前に、私はちょっとだけ後ろめたい気分になる。
…しまった。余計なこと言っちゃった。気まずかった溝がさらにめりめり音を立てて深くなったような気がして、
目をそらさずにはいられない。あぁ、私の馬鹿。
「…気にすんなよ」ぽん、といきなり、頭を軽くたたかれる。一時停止。
「…そりゃいきなりそんなこと聞かされて動揺しない方がおかしい」左に視線を転じると、
そこにいるのはこんな状況なのに陰一つもなくはにかむセリアス。
…それはそうかもだけど。そういうことじゃなくて、なんて言うか…。
「…てか、シェナが言わなかったら俺が言ってるとこだったしな」
…再停止した。
な、何でこういう時に本当に気が利くのこの男は。
不意打ちで来る、この謎の『いきなり頼れる人』感(…あ、天使だった。ぽくないけど)は本当に困る。
困るというか、そう、不意打ちすぎて、不意打ちで、えっとだからそうつまり何なのよあんた一体!
気を使ってくれたのは感謝しよう、けどこの状況…まるで子供をあやすみたいな行動…が腹立たしい…
というか恥ずかしい…結局後者の気持ちが勝っちゃって、気付けばセリアスの腹に
横チョップを一発叩き込んでいた。