二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- リクエスト話1・凄惨な過去(前) ( No.36 )
- 日時: 2013/11/28 21:12
- 名前: エスト ◆yExe7MqAhc (ID: 62e0Birk)
(代・ω・)アンケートに答えてくださった方のリクエスト話を展開します。1作目はグレイディアさんのリクエストで、最近脇役に流れ気味な(←)妹オリキャラ・リコリスの話
リコリス「脇役ってなんで!?」
(代・ω・)あまり話してないからね、ちかたないね」
リコリス「orz」
(代・ω・)この話は妹が5歳だった時……つまり11年前の回想話です。そして、一部がリコリスの視点で話が進んでいきますのでそこはご理解ください
今日もいい天気。部屋の中にまで日光が差して暖かい。
お兄ちゃんは一人で剣の稽古をするとか言って、また近くの川辺まで出かけていた。
わたしは……まぁ、両親のお手伝いをしながら、家の中で過ごしていた。
こう見えても、5歳でも簡単な料理くらいなら作れてたの。お兄ちゃんが帰ってきたら晩御飯はお母さんと一緒に作るカレーライスにしましょ♪
そう、何気ない一日がまた過ぎようとしていた……。
……あの悲劇が起こるまでは。
—ドンドン!!
急に、家のドアを叩く音が聞こえた。それも、かなり強い。
母「何かしら?リコリス、あなたは待ってなさい」
リコリス「はーい」
わたしはお母さんの言うとおりに、自分の部屋で待つことにした。
—玄関前—
母「なんですか、あなた達は」
お母さんの目の前に現れたのは、村の村長さんをはじめとする、5人の男性だった。
村長「本当に違うのかね。そこの家から強い魔力を感じるのだ」
母「だからなんですか。私も、夫も、息子も、そして娘も……何の関係もありません!!」
村長「本当かね……色々探し回ったのだが、どうもここにしか反応しないのだよ」
母「出ていって!!」
……わたし達が暮らしている村には、ある一つの掟があった。それは……
—魔力を持つ者、村に入れるべからず—
当時のわたしには意味が分からなかった。だって、自分に魔力があるなんて思っていなかったから。
でも、もしそれが本当だとしたら……?
村長「止むを得んな。強行捜索だ!」
下っ端’s『イェッサー』
母「きゃあっ!!」
父「お前ら、やめるんだ!!」
村長「心配はいらぬ。見つからなかったらそれでいい。見つけた場合は……」
母「やめてっ!!リコリス、逃げてっ!!」
リコリス「……おかあ、さん……?」
自室で待っていたわたしは、お母さんの声を聴いた。逃げて……?どうして?
だから、気になって……来てしまった。
母「……っ!!」
リコリス「お母さん……お父さん……?」
次の瞬間、村長たちの目の色が変わった……ように見えた。
村長「ま、間違いない!この小娘だ!この小娘から強大な魔力を感じる……!!」
下っ端A「間違いありませんでしたね、村長」
下っ端B「これで褒めてもらえますぜヒャッハー!」
村長「と、いうわけだ……お前ら、この村から出てってもらおうか!」
リコリス「————」
わたしの頭は真っ白になった。
出てけ?生まれて間もないというのに、この村を?
わたしは何も悪くないのに。
ただこの世に生を受けただけなのに。
タダシズカニスゴシタイダケナノニ。
でも、村長達の無責任な発言で皮肉にも分かってしまったことは。
『わたしに強大な魔力が宿っていること』……ただそれだけ、しかし村追放には十分すぎる理由だった。
母「そ、そんな……娘が……!?」
村長「そういうわけだ。嫌なら娘だけでもこちらに渡してくれればお前たちは助けてやってもいいぞ」
父「そう言って助けなかったことくらい知っている!お前たちが村を治めるようになってから村に何一つ貢献していないってことを!」
村長「何を言っているのかね。村をよくするのは長ではない、お前ら村人の方だ」
母「だからって……!!」
わたしには、皆の声が遠くに聞こえる。ううん、聞こえない。
わたしは……ここにいちゃいけない……
わたしがいたら……いけない……
だから……
リコリス「————」
母「リコリス……!?」
リコリス「……みんな、きらい……!!」
父「リコリス、落ち着け!何を言って……」
リコリス「……みんな……みんな……きえちゃえばいいんだっ!!」
わたしがそう叫んだ瞬間。
わたしが暴発させた魔力で、生まれ育った村は一瞬で灰になった。
- リクエスト話1・凄惨な過去(後) ( No.37 )
- 日時: 2013/12/03 16:16
- 名前: エスト ◆yExe7MqAhc (ID: wf9BiJaf)
—どぉぉぉぉぉぉん
ダブルイ「な、なんだ!?」
川辺で剣の稽古をしていた当時8歳のダブルイが、爆発音に気づいた。
ダブルイ「あっちは、村の方……いったい何が!?」
ダブルイは胸騒ぎを感じ、急いで村へと戻っていく。
いや……正確に言えば、そこはもう村ではなく、
ただの廃墟だった。
ダブルイ「……そ、そんなばかな……!!」
彼は荒廃した村の惨状を見て絶句した。
ダブルイ「父さん!母さん!!……リコリスっ!!」
せめて家族の安否だけでも確認すべく、村跡の中心部へと歩を進める。
その中心部に、ワンピースが焦げてしまった少女はいた。
ダブルイ「リコリス!無事だったのか!いったいどうし……!?」
振り返った妹を見てダブルイは言葉を失ってしまった。
妹は……何も喋らず、無表情で虚空を見つめていた。
まるで、『全てに絶望した』ように……。
ダブルイ「リコリス!リコリスっ、しっかりしろ!!」
リコリス「……わ、たし……わたし……」
ダブルイ「……ここを離れないと……」
それでも、なんとか生き残ってくれた妹にホッとしつつ、ひとまずは村を後にした。
これは少し後で知ったことなのだけれど。
実はお兄ちゃん、わたしに魔力が宿っていることを幼い頃から知っていたらしいの。
隠し通すことで、村の掟からわたしを護ってくれてたの……。
でも、あの時に幼いわたしの心は完全に壊れて……すべてに絶望した。
せっかくお兄ちゃんが、わたしを護ってくれてたのに……。
わたしがすべてを台無しにしちゃったんだ……。
村から離れて数分。ダブルイ達は近くの公園にいた。
ダブルイ「……話せるか?」
リコリス「……どうして、どうし……て……」
ダブルイ「……なぁ」
リコリス「……」
廃人状態のわたしに、お兄ちゃんが必死に言葉を選び、話しかけようとしている。
ダブルイ「オレは……お前に、死んでほしくない」
リコリス「しんじゃえば……よかったのに……」
ダブルイ「それは違う!死んだらそこで終わりなんだ!!」
反論するお兄ちゃんの語気は、8歳なのに強かった。
ダブルイ「生きていれば確かに今のようなことだって起きるさ!でも、楽しいことだってきっといっぱいある!それに、お前が死んだら……」
リコリス「……?」
ダブルイ「オレが……ひとりぼっちになってしまうんだ……」
リコリス「————」
そうだ。
お兄ちゃんだって、決して強い人間なんかじゃない。
剣を振ろうとしたのも、弱い自分を変えたくて始めたんだろうし。
こう見えてお兄ちゃん、寂しがり屋だもの……。
ダブルイ「オレには、お前がいないとだめなんだ……お互い、一人ぼっちはいやだろ……?」
リコリス「……うん……」
なんとか、お兄ちゃんの意見に肯定することはできた。
ダブルイ「だから、とはいえないけど……一緒に、生き抜こうよ。父さんと母さんは亡くなってしまったけれど……まだ、オレ達がいるんだ」
こんな時でもお兄ちゃんはわたしのことを気遣ってくれる。
現に両親を殺したも同然なのはわたしなのに。
どうしてそんなにわたしに優しくしてくれるんだろう……?
答えは決まっていた。『大事な妹であり家族』ただそれだけ。
そんな単純な理由なのに、お兄ちゃんはまっすぐで……
ダブルイ「大丈夫……いざとなったら、オレがお前を護るから」
リコリス「おにい……ちゃん……」
ダブルイ「だから、生きてくれ……死なないでくれ……!!」
お兄ちゃんの必死の説得に、わたしの目に光が宿りはじめ……涙が浮かび上がる。
リコリス「おにいちゃあああああん!!!」
思いっきり泣いちゃった。お兄ちゃんの目の前で。
ダブルイ「……泣いていいんだ。お互い、辛かったもんな……」
リコリス「うわあああああああん!!!」
泣きじゃくるわたしを、お兄ちゃんは優しくあやしていた……。
—6年後—
ここは、とある学園の正門前。
リコリス「ここ、どこ……?;」
ダブルイ「オレが知るか……;;」
散歩中に偶然引っかかった魔法陣により、わたし達は異世界へと転送されてしまったらしい。
というか、異世界と一口に言うけれど、異世界って自分たちの住む世界じゃなければ、そこはもう異世界なのよね。
???「あら、入学を希望ですか?」
現れたのは、水色の長髪をした、容姿端麗な女性。
ダブルイ「えっと……その、ちょっとした手違いでここに来てしまって;」
リコリス「それで、戻ろうと思ったんですけれど……」
女性は一呼吸置き、こう提案した。
???「よければ、ここで一緒に勉強していきませんか?」
……勉強。
確かに奥に見えるのはいかにも学校らしき建物だ。女性が言うには、この学園は普通の学校とちょっと違う。それは……『魔法』。
この学園は、『賢者』の育成を目的としているとか。
リコリス「あ、あの……!」
???「はい、なんでしょう?」
リコリス「わたし『達』を、この学園の生徒にしてください!」
ダブルイ「た、達って、オレもか!?オレに魔力なんてないぞ!!;」
???「ええ、大丈夫ですよ。それに魔力の有無なんて関係ありません。元は魔力を持たない生徒だっていましたから」
リコリス「はい、よろしくお願いします!」
ダブルイ「あっさり決めたー!?というか強引だー!!」
決して自分の魔力で村を滅ぼしてしまった罪を忘れたわけではない。
だから、正しい形で魔力を扱えるようにならなければいけない。
そして、お兄ちゃんがわたしを護ってくれたように、今度はわたしがお兄ちゃんを護りたい。
それに、わたしが押さないとお兄ちゃんが折れてくれないもの、ふふ♪
ダブルイ「……はぁ;オレも生徒として学んでもいいですか?」
???「ええ、大歓迎ですよ」
リコリス「それで、あなたの名前は……?」
サツキ「私の名前はサツキ。マジックアカデミーへようこそ」
(代・ω・)以上、グレイディアさんの1−2について書かせていただきました
リコリス「ずいぶん端折ったわね;」
(代・ω・)3については、以下マジックアカデミーの生徒達との交友関係を記していこうと思ってます
ダブルイ「さすがに次の話はそこまで暗い話にはならないから大丈夫……だと思いたい」
(代・ω・)ということで一区切り。感想おk