二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 聖剣伝説 レジェンド・オブ・マナ ( No.8 )
- 日時: 2013/01/26 20:52
- 名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: KZXdVVzS)
ファディールは今日もマナに満ち、大気はマナのクリスタルのように濁り一つなく澄みきっていた。ガトの神殿のテラスからは、ファディール随一と言われる絶景を眺めることができた。だが、この眺望は気慰みのために用意されたものではない。聖剣の守護を担い、信仰の無二の象徴であるこの神殿が、いつ押し寄せるともしれぬ異教徒の動きをいち早く察知するためのものであるのだ。そのため、頻繁にこのテラスには神殿の要人が訪れるのであった。
今日のテラスはは珍しく閑散としており、テラスの柵にもたれかかるようにして、白い僧衣に身をつつむ尼僧の姿が一人あるだけであった。
「なんだ、この忙しい時に俺に用ってのは誰だ」テラスの入り口の奥から、苛立ちを隠そうともせず、階段を叩くようにしてあがってくる男がいた。
「来たわね、エスカデ」
尼僧が、つと顔を少し右に向けると、純白のローブの奥で険しさに双眸を釣り上げた獣人の顔が見えた。
「だ、ダナエ。お前なのか?どうしたんだ、その格好は」
大股で尼僧に近付いていた男の足が止まっていた。尼僧に扮したダナエが舌を鳴らす。
「どうしたもこうしたもないわ。これを見て」
ダナエが視線を落したまま、右手で一枚の古びた紙を脇に持ち上げて見せた。テラスを通り抜ける冷涼な風に紙があおられ、バタバタと音を立てる。紙面はびっしりと細かな文字で埋められていた。エスカデが急いでダナエのそばにいき、紙を手にとり目を通す。
「ある男がマナの名を勝手に使い、でたらめな物語を書こうとしているのよ。その紙にはさきの物語の冒頭部分が書いてあるわ」
エスカデの目線が左から右に素早く流れる。途中で何度か男の目線が止まった。尼僧のダナエが体をエスカデの正面に向ける。
「その文章、なにかおかしくない?」
「ああ、確かに史実とは大きくかけ離れたことが書かれているな。こんなものが出回ったら大問題だ」エスカデが亢進する感情にまかせ、紙を乱暴に握りしめた。
「ちがう!そこじゃない!」
ダナエが犬歯をむき出しにして声を荒げる。男が思わず眉を眉間に寄せた。
「わたしのことよ!」刹那エスカデが唖然としたのち、すぐさま紙面を開いて読み直した。そして、さらに呆然とし、目を開いたまま立ち尽くした。冷たい風に顔をなでられ、はっとして彼女の顔を見つめ、改めてそれを覆う白いベールと帽子に目をやった。
「そういうことか」
「そうよ。何てことなの。<尼僧>と<僧兵>を間違えるなんて。あたしは四六時中寺院に籠ってお祈りをするために神に身をささげたんじゃないわ!なによ、こんなだぼだぼの衣。衣の裾が足に絡まって走れないじゃない!だいだい、ヌンチャクをどこにしまえばいいの?!」
見る見るうちに男の目が皿のようにまるくなると、言葉尻をまたずにエスカデがダナエに耳打ちした。
「おい、言葉を選べ。階下の僧侶たちに聞こえたらどうするんだ」
「だって、あたしは尼僧じゃなくて僧兵——」
高ぶる感情が怒りを通り越して、悔しさがこみ上げてくる。俯いた僧兵の大きな瞳に、ひとつ、ふたつと特大の煌めきが浮かび、瞳と地面のわずかな空間をゆっくりと落ちていった。
「落ち着け!ところでなんでお前がそんな恰好する必要があるんだ」
僧兵の顔を覆う純白のベールを見つめながら、エスカデが小さな声でゆっくりと、子供に言い聞かせるように話しかけた。
「訴えてるのよ、こうして空に向かって。あたしは尼僧じゃない、どうみてもこれはいつものわたしじゃないでしょうって」
ダナエの小さくうめく声が、テラスを通る風に吹き散らされ、消えていく。エスカデがしばしその様子をなんとも言えない様子で見つめていた。
ふいに、入口の奥から杖をつく音がする。そしてすぐに、入口に鮮やかなローブに身を包んだ、聖女マチルダが姿を現した。
「あら、なんてことなの。エスカデ、今日はここのかたとでデートなの?」
「ちがう!」
マチルダが満面の笑みで問いかけると、咄嗟にエスカデが発した否定の言葉を遮るように、ダナエの槍のようなどなり声が寺院の壁に響き渡る。
「あらなんてことなの。これは驚きだわ!ダナエ、あなた尼さんになったのね。うれしいわ、フフフ」
「ちがう!!」
すみません、前置きが非常に長くなりました(汗)
あろうことか、僧兵と尼僧を混同してまして、、、、、なんでアップ前に気付かなかったんだろう。。。。。。
おかげでダナエが体を張って間違いを指摘する破目になってしまいました。本当にすみません、読者の皆様、そしてダナエ(笑)
いまは、ダナエの表現を全て「僧兵」に修正済みです。ぜひご確認ください。
そして何か致命的な間違いがありましたら、気兼ねなく知らせください。気が向いたら、またくだらないSS付けて修正しようと思います。
じゃ、また〜〜〜!!