二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 玉響懐中時計 ( No.13 )
- 日時: 2013/04/03 23:52
- 名前: 黒依 ◆kuB5mqYaRs (ID: IhV1PiHJ)
某月某日、青天白日。
運動場では生徒が声を交わし、校舎内では黙々と勉強を図る子供達。そんな数々の夢ある希望を相手にする教師達は、言わずもがな熱心に指導する訳である。
————だがしかし、全員が全員、それに当てはまる訳ではない。
柔らかな陽光が身を包むと、一つ気力ない欠伸をする。
此処は、某学園の屋上。数ある校舎の中でも、生徒は愚か教師陣でさえも立ち入り禁止にしている屋上だ。
そんな禁じられた場所に横になっているのは————女。生徒を導き、間違いを犯した際には補導するという役目も受け持つ彼女は、瞼を閉じてゆっくりと息をする。隣には、彼女の相棒も言えるべき存在の日本刀が鞘に仕舞われたまま寝転んでいる。
腰まで伸びた黒い髪を下で結い、同色のスーツとスラックスを身に纏う彼女はまさに黒色そのもの。更にはネクタイも黒色である。
そして彼女の相棒は、柄と鞘は黒色に漆を塗った、いわゆる漆黒という色だった。
ごろりと寝返りをを打ちつつ、懐から艶ある黒の携帯電話を取り出す。ワンタッチで携帯を開くと、適当にページを開く。
ページには、女にとっては見覚えがあるどころか、毎日目にしている名前がズラリと並んでいる。教師陣はともかく、生徒全員、更には学園長まで——まるで全知していると言わんばかりの量と名前を、流すように見る。
と、その時。
「黒依ぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!! テメェ、何処に居やがる!」
さっさと出てこい、と爆音以上の声が女の鼓膜を突き刺した。
開いた左手で左耳を塞ぐが、きぃんと音が残る。勿論、そのお陰で常時無表情の顔が少しだけ歪んだのは気の所為ではない。そして舌打ちをしたのも気の所為ではない。
女にも何かスイッチが入ったのか、携帯を仕舞いつつ体を起こす。そしてすかさず刀を手に取れば、彼女は駆け出し——
「————誰がガキ相手に教えるかっての。つか、護衛目的で私を此処に雇わせるとか、イカれてるにも程がある」
校舎から、飛び降りた。
: 異なる端で黒色は嗤う