二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:   玉響懐中時計 ( 雑食 ) ( No.38 )
日時: 2013/12/13 22:29
名前: 黒依 ◆kuB5mqYaRs (ID: IQFPLn6c)




「——そこを退いて下さい、基山ヒロト」

 第一世界アースガルズの『英霊集う宮殿ヴァルハラ』。第零世界ユグドラシルへ向かう為には避けては通れない場所であり、同時にそこはギルド界最強の名を冠する内の一つ“宙誓なる騎士団スペイス・シベルリックオーダー”の拠点でもある。
 『パンドラ』を止める為に一刻も早く第零世界へ向かわなければならないのだが、やはり彼は——彼の率いるギルドは黙って見過ごさない。ギルドであるにもかかわらず「政府オフィシャル」のお墨付きで、更にはギルド側も協力している、異端の存在。何が異端なのかというと、そのお陰で強大な「力」が備わっていること。一人一人の実力が大半を占めるが、この力が無ければ最強とは言えないだろう。故に、彼らは。政府の命令には絶対の、ただの犬だ。

 赤髪翠眼の少年が、階段の上から見下す。彼こそがギルドリーダーの、基山ヒロト。軍服のような白い衣装を身に纏ったその姿は、自分からしてみればただの“成り下がり”だ。
 この階段を登れば災厄の元へ辿り着けるというのに——あまりにも読め易い先の展開に、嫌悪の感情を抱かざるを得なかった。

「此処から先へは行かせないよ、十夜」

 するりと腰に刺さったレイピアを抜く。神聖な雰囲気漂うこの場所では、銀閃がよく馴染む。

「やはり、ですか」

 自分も愛刀二振りの片割れ『月詠』に手を掛け、構えを取る。

「しかし貴方に構う暇などありません。首を刎ねられたくなければ大人しく引くのが無難です」
「キミならそう言うと思ったよ。でもね、——」

 ヒロトは言葉を一旦切ると、レイピアをその場で薙ぐ。瞬間、景色が一転した。あれだけ神を崇めるには相応しい場所が、限りを知らない宇宙空間へと変わったのだ。
 彼のお得意の魔法、空間移動。そして此処は彼のホームグラウンド《疑似宇宙コズミック・ドッペル》。息が出来る事以外はまさに宇宙そのものである空間に自分達が移ったとなると、考えられる事はただ一つ。

「本気、ですか」
「勿論さ。逃げるのなら今のうちだよ、帰してあげる」
「成り下がりの犬にそのような事を言われるとは、自分も随分と嘗められたものですね」
「酷い言い様だね」

 儚げに微笑むヒロト。まるで、自分とは戦いたくなかった、と言わんばかりの、とびきりのものを私に向けた。だからといって容赦する気など全く無い。寧ろあるのは、闘争心だ。

「政府の代わり言わせてもらうけど、——邪魔立ては許さない」
「奇遇ですね。自分も同じセリフを言おうとしていたんですよ」
「気が合うね」
「そうとは思いませんが」

 柄を強く握り、足に力を込める。
 相手の様子を確認する。見たところ、自分と同じ、といったところか。
 握る右手に魔力を注ぐ。これで準備万端、いつでもいける。

 ——“白銀流剣法・一ノ閃《一軌凍閃》”——

 威勢ある声を上げながら、流星の懐に踏み込んだ。



     ■ 腐れ縁デストラクション



 inzmRPGパロ。ヒロトは敵サイドということで。
 状況に関しては、災厄の詰まった箱パンドラを政府側が開けた為に反逆兼ねて止める、といった感じ。未来主人公のオリキャラ勢は反逆サイドです。

 尚、十夜が本日より男になりました。つきましては、一人称が「自分」に、他容姿が若干変化。それでも未来の後輩ポジションは変わらないという。だから何だって話なんですけど。

 という訳で>>001変更しておきます。