二次創作小説(映像)※倉庫ログ

 inzm? いいえ、RPGっぽいものです ( No.41 )
日時: 2013/12/13 22:28
名前: 黒依 ◆kuB5mqYaRs (ID: IQFPLn6c)




「A+ランク、人型タイプ・ヒューマン〈ロート・リッター〉。属性は火焔、数は三体、いずれも正常。——どうする? 奇跡」
「決まってんだろ、倒すんだよ」

 第九世界ムスペルヘイムのとある火山。元々この世界は灼熱地獄と形容されるほどの暑さを持っているが、やはり火山故にむさ苦しい。どろどろとしたマグマが川を作っているお陰で足場は殆どと言っていい程なく、今彼女ら二人がいる場所が一番広く、同時に身を隠すにはもってこいだった。

 情報屋として活動している少女——天翔奇跡——と少年——水縛神羅——のコンビは、第二世界アルフヘイムに住む有名な鍛冶職人から情報を貰う目的のため、此処へやってきた。
 二人の額には、此処の暑さを物語る汗がびっしりと流れている。それでも顔は涼しげなのだから、このような場所に慣れていることを無言で教えてくれるのだ。

「実力を知りたいがために此処に行かせるとか、馬鹿だろ」
「……まあ、最深部の此処は魔物達も段違いに強いから、打って付けと言えば打って付けなんだけどね」

 苦笑いする青髪の少女——のような顔立ちの少年、神羅。しかし、魔物のデータが載っている魔法陣を休めることはない。
 黄色の長髪を持つ奇跡は、岩の後ろから様子を伺う。全身を赤で纏った騎士の姿は悠然としており、ちょっとやそっとじゃ壊れそうにない鎧を身に着けていても軽々しく見えるから不思議だ。右手にはランスを、左手には盾を、躰には鎧を。重装備、とはまさしくこのことだろう。

「サイズは大に近い中。軍師並の知識を持った〈ロート・リッター〉は、見た目に似合わず相手を翻弄させる戦法を取る、って書いてあるけど」
「知ってる。それならこっちが翻弄すりゃあ良い話でしょ」

 奇跡の言い分に反論が出来ず、大きな溜息を一つ吐いた。そうこうしている内にも、魔物達はこちらに大分近づいている。
 二人の目は一層真剣なものになり、こくりと神羅は唾液を飲み込んだ。

 次の瞬間。

「《奪目の刹那閃光モーメント・ブラインド》」
「《水縛ウォーターバインド》!」

 世界を眩い光が一瞬だけ包み、どんな生物でさえも目を奪われる。敵勢が狼狽えているうちに、設置された青い魔法陣から潤う鎖が全身を拘束した。
 奇跡はすかさず背負った機械大剣を手に取りつつ大地を蹴る。そのスピードは音を超え、光を超え、一瞬で相手の懐へと突っ込んだ。

「《神速一閃》!」

 三つの躰を閃光が貫いた。



「早く終わったね……まあ、今回は属性の相性が良かったから何とも言えないけど」
「どうでもいいけど、それよりこれであってんの?」

 速やかに戦闘を終わらせた奇跡の手には、赤色のバッヂが三つ。不死鳥をメインにしたそれは〔朱焔の紋章イグニス・コートオブアームズ〕と呼ばれる物で、武器を作る際に調合すると炎属性と火傷の効果が追加されるのランク4のアイテムだ。これを手に入れるには、〈ロート・リッター〉を十秒以内に倒す以外に方法がない。相性上水属性が有利とされているが、何せあの重装備だ。そう簡単に突破できるものではない。
 神羅はバッヂに目を凝らし、こくりと頷いた。

「んで? 次は何処行くの」

 つまらなさそうな顔をする奇跡は、手に持ったレアアイテムを神羅へ投げ飛ばす。慌ててそれをキャッチすると、安堵の表情を浮かべた。
 片手で懐に入れつつ、もう片方の手で依頼の内容を確認する。手慣れたもので、開くや否や五秒足らずで奇跡の質問に答えた。

「このまま第八世界のヘルヘイムに向かって〔紋章〕シリーズを集めていこう。ランクはどれも同じみたいだから今の調子でいけるかも」

 とうの本人は「あっそ」と簡潔に答え、緑色の魔法陣を足下に展開した。丁度二人が入るそれは、全種族共通の移動用魔法陣である。

 猛暑と熱気が支配する此処から二人の人間が消え去った。






 速さを感じられる戦闘描写ってどういう風にすれば良いんだろう。