二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:   玉響懐中時計 ( 雑食 ) ( No.62 )
日時: 2013/11/01 21:12
名前: 黒依 ◆kuB5mqYaRs (ID: IQFPLn6c)




 冷たくて、心の中に穴が開いた様な、そんな感覚に陥って。自分の一生を支えていたといっても過言ではない、大切な人を失うというのはこれ程までにダメージを喰らうとは想像していなかった。自分が付けてしまったあの切り傷を、忠義の証だと膝を着いたアイツの姿はそれこそ正しく竜の様で。自分よりも雄々しく立派だったアイツがとても羨ましかった。どう足掻いても届かない、のにどうしてオレの下に就くのか分からない。血統の問題だとかよりも、関係あるのは実力・実績・信頼、そして天性のはずだ。もしもアイツがこの国を担っていたのであれば、どれ程平和だっただろうか。それを血統が邪魔したとなると、オレは未だに自分の体の中を巡り流れ続ける紅血が許せない。もしもこれが一本の紐だったら、いとも容易く断ち切れたのに。だがもう遅い。今更この血を恨んだって、この世を憎んだって、この運命を呪ったって、何かが変われる訳が無い。死んだ部下は葬り、生きた俺は結局その分の命を背負ってこの世を統べる以外に道は無いのだ。自害も何も許されない、ただオレは生きて統べなければならない。それが、オレに対する罰。数々の命を切り捨て、手離し、失った、ろくでなしなオレに対する、罰。止めろ、独眼竜だなんてそんな大それた名前で呼ばないでくれよ。俺は独眼ではあろうとも竜じゃねえんだ。

「決着つけようぜ、真田幸村」

 そんな罰を受けるなら、いっそのことその紅い槍で殺してくれないか。そうしたらずっと楽になれる気がするんだ。地獄へ逝くことが楽に感じる自分はもうどうかしているのかもしれないが、それでもこんなみっともない自分が居ても、意味は無いんだ。例え残された道が良い方向に進めたとしても、結局は開いた穴は塞がらない。ただ体は冷たくて、半分に戻った視界はゼロになり閉ざされる。そうなるのは御免だ。だから、







 正しく今の彼の姿は廃人というべきものだった。あんなにまでも覇気の——それ以前に生気の無い彼など今まで見たことが無い。報せは確かに入っていたが、支えを失うと人はこれ程までに脆くなってしまうのか。残された一つの目に生きる為の光は無い。殺してくれと、ただひたすらに自分に訴えていた。あんな台詞を言っておきながら、実際はそんな気など全く無い事も分かり切っている。か細い声と姿勢が何よりの証。某が闘いたいのはそのような貴殿では無い。竜の様に雄々しく立派な貴殿と闘いたいのだ。蛻の殻である貴殿と決着を付けたところで、それには何の意味も持たぬではないか。そんな現実に直面した途端に、握っていたはずの手の力はするりと抜けて。結局俺は、目を伏せてこの惨状から逃避するしか無かった。そんな自分が、歯痒い。

「まさ、む、ね、どの、」







 小十郎を始めとした大切な部下達が死んで病んだ政宗というか。ベーコンレタス臭が漂うのは気のせいじゃない。
 病んでる表現ってイマイチ分からないんだよね。狂う方ならまだ分かる方なんだけど。