二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: ガンダムGジェネレーション〜六人の迷い人〜 ( No.1 )
日時: 2013/03/20 16:51
名前: ノヴァ (ID: uY/SLz6f)

第1話「レン、戦場を駆ける」


「……い、……おい! 大丈夫か、君!?」
「う……ん……」
レンが眼を開くと、そこはどこかの森の中だった。目の前では、黒髪の青年がこちらを心配そうな顔で見下ろしている。
「あの……ここは……?」
「ここはコロニー『ハルクス』。そこの森の中だよ」
「コ、コロニー!?」
「え、なんで君そんなに驚いてるの?」
おかしい、明らかにおかしい。コロニーなんて21世紀の現代では宇宙ステーションが限界で、こんな自然の再現など出来ていないはずだ。
それに加えて引っ掛かるのが、この青年の顔。どこかで見たような気がして仕方がない。赤を基調とした軍服らしい服、さっぱりとした黒髪。それ以外の条件が組合わさり、レンはこの青年が誰なのかがたちまち分かった。
「も、もしかしてあなたは……。『シン・アスカ』!?」
「な、なんで僕の名前を?」
どうやら、本当にシン・アスカのようだ。しかし、なぜシン・アスカが目の前にいるのだろう。彼はガンダムSEEDdestinyの主人公の一人であって、現実に存在するわけがない。
「なんで僕の名前を知ってるのかはおいといて……君はどこから来たんだ? かの辺りじゃ見かけないけど……」
「えっと、僕もよくわかんないんですけど……」
レンはシンにここに辿り着くまでの経緯を説明した。
「つまり君は別の世界から来た高校生で、僕やキラが出てくるゲームを始めたら気づけばここにいた……というわけか」
シンは少しの間考え込んでいたが、顔を上げて話始めた。
「じゃあ、アークエンジェルに来るか? もしかしたら君が元の世界に戻る方法が分かるかもしれない」
「えっ、アークエンジェルがここに来ているんですか!?」
「いや、このコロニーには来ていない。けど、あと少ししたらここに寄港するはずだ。だから僕の……」

ビーッ! ビーッ! ビーッ! ビーッ!

突然、警報のような音がコロニー内に鳴り響いた。
「まずい! 敵襲だ!」
シンのその声を聞くと同時に、コロニー内で相次いで爆発が起きた。
その方を見ると、数機のMSらしき物体がこちらに向かってきた。やがて爆音と共にレン達の上空を過ぎ去っていく。
「あ、あれは……ガフラン!?」
あの青い機体色、ドラゴンのようなフォルム、そして羽の光波スラスター。間違いなく、ガンダムAEGに出てきたMS、ガフランだ。
「君はあのMSを知ってるのか?」
「はい、ある程度は……」
「なら、奴等について教えてくれ。僕は奴等と戦った事がない」
「つまりオペレーターをしろってことですか?」
「……できるか?」
「やってみます!」
レンがそう言うと、シンは手招きしながら走り出した。恐らくついてこいという意味だろう。
そうしてシンについていくと、一つの倉庫に辿り着いた。どうやらこの辺りは倉庫が密集しているらしく、同じような倉庫が周りに見える。
「中に入ってくれ。通信機はここの地下にある」
レンがシンに言われ倉庫の中に入ると、目の前に一つのMSの姿があった。
「これって……デスティニーガンダム!」
「そう、僕の愛機さ。さぁ、早く地下に……」
ドカァンッ!
シンの言葉を遮るように、倉庫の天井が爆発した。爆風で二人は吹き飛ばされる。
「ぐっ……。あっ、シンさん!」
身体を起こすと、離れたところでシンが倒れている。すかさず駆け寄ると、足から血を流している。
「大丈夫だ、このくらい……ぐっ!」
「これじゃあデスティニーの操縦なんて無理ですよ!」
「じゃあ、誰が奴等を倒す? アークエンジェルが来るのを待っていたら、その前にここは墜ちる!」
こうなると、選択肢は2つ。怪我をしたシンを乗せてデスティニーを出撃させるか、アークエンジェルが来るまで耐えるかだ。前者は相手に対して満足に戦えないうえに、シンの容態が心配だ。後者は今シンが言った通りだ。
しかし、レンにはもう一つの答えがあった。

「シンさん。……僕がデスティニーに乗ります」

「な……駄目だ! 君みたいな一般人が乗りこなせる代物じゃない!」
「じゃあ、シンさんが僕を通信でサポートしてください!」
レンは急いでシンを地下室に運び込むと、即座にデスティニーに乗り込んだ。こう見えてレンはMSの操縦ゲームではトップクラスの腕前を誇っているのだ。
「えっと、これで機体を起動させるみたいだな……」
コックピットにあったマニュアルを読みながら、デスティニー起動の手筈をふんでいく。
全ての過程を終えると、目の前の画面に周りの風景が写りだした。


「リンドウ・レン、デスティニーガンダム、出ます!」


レンはそう叫ぶと、スラスターを点火させ倉庫の屋根を突き破り、飛び出した。

Re: ガンダムGジェネレーション〜六人の迷い人〜 ( No.2 )
日時: 2013/03/24 15:28
名前: ノヴァ (ID: 6.Nua64i)


飛び出すと同時に、レンを加速による衝撃が襲う。パイロットスーツを来ていない状態であるため、尚更だ。
「こ、このくらいっ!」
レンはデスティニーの体勢を安定させると、先程のガフランの集団を探した。案の定、コロニーの端の街で爆発が起きている。
「あそこだな!」
そう言うとレンは真っ先に街に向けて翔んだ。

『全く、君みたいな強引な人間は初めてだ』

通信用モニターにシンの顔がポップアップで表示された。恐らく地下の通信機でこちらに連絡を入れているのだろう。
「すいません、シンさん。けど、こうするしかありません」
『いや、いいんだ。君の行動は正しかったのかもしれない。……そういえば』
「なんですか?」
『君の名前を聞いていなかったな』
確かにシンに自分の名前を教えるのを忘れていた。実際話そうとしてなかっただけだが。

「僕はレン。リンドウ・レンです!」

『わかった。……レン。僕のデスティニーに乗ったからには……』
シンは顔を伏せて話していたが、ゆっくりと顔を上げて言った。

『絶対に奴等を倒せ!』

「わかりました、シンさん!」
それを聞くと、レンは機体をさらに加速させた。Gが更に強く押し付けるが、そんなことはもう気にしない。
やがて目指す街が見えてきた。所々で黒煙と炎が上がっている。
ピピッ。
「見つけた!」
外景表示モニターが、ガフランの一機を捉えた。
捕捉されたガフランもこちらに気づいた様子で、こちらに向けビームバルカンを乱射してくる。
レンはそれを交わすと、デスティニーを地上に降ろしアロンダイトビームソードを構えた。それに対しガフランはビームサーベルを出してこちらに突っ込んできた。
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
レンもデスティニーを突っ込ませ、ガフランの斬撃を交わし、擦れ違い様にアロンダイトを横から振り抜き、ガフランを両断した。
背後で爆発が起こるやいなや、すぐに他のガフランが上空から攻めいる。
レンは透かさず背部のビームランチャーを変形させ構え、標準を合わせた。
「ロック……オン!」
レンはガフランに標準が合わさったのを確認し、トリガーを引いた。ビームランチャーから放たれた一撃は、外すことなくガフランに直撃。ガフランの機体は焼きつくされ、爆発四散した。
『レン、聞こえるか!?』
突然、通信用モニターにシンの顔が表示された。
「どうしたんですか?」
『まずい、敵の増援が来た。恐らく数十機はいるだろう」
「す、数十機って……もうコロニーの中に!?」
『ああ。なんとか食い止められるか?』
「アークエンジェルはあとどのくらいでここに?」
『あと15分はかかる……。奴等の増援は間もなくそっちについてしまう。それまで持ちこたえてくれ!』
「言われなくても、わかってます!」
レンは背後から接近していたガフランを振り向き様にアロンダイトで両断した。デスティニーが距離をとると、即座にガフランは四散した。
ピーピーピー!
センサーが敵機を感知したらしく、アラームが鳴り響いた。それと同時に、ビームバルカンの弾幕が空から降り注いだ。
レンが視点を上空に向けると、何十機ものガフラン、ドラドがこちらに向かっていた。
「ビームランチャーは連射しにくいから……。パルマフィオキーナとビームライフルで……」
レンはデスティニーの右手にビームライフルを構え、左手は掌を開いて敵に向けた。
「いっけぇぇぇぇっ!!」
そのままパルマフィオキーナとビームライフルを乱射し始めた。両手の武器の一撃を、それぞれ違う機体にロックオンし、確実に撃ち抜く。もはや自分でもこんな芸当ができるとは思っていなかった。自分はこれほど空間認識能力が高かっただろうか。
「うおぉぉぉぉぉっ!!」
デスティニーが放つビームの先で、ガフランとドラドが次々と四散していく。もはや空は機体の爆発で埋め尽くされていた。
そして爆風が過ぎ去ると、後にはガフランやドラドの姿はなかった。
「おかしいな……増援が少ない。もう少し来てもおかしくないんだけど……」
『おい、レン! 敵は殲滅したか!?』
シンの顔がポップアップで表示された。しかし、なぜか慌てた表情をしている。
「はい、なんとか!」
『なら、早くコロニーの外に! アークエンジェルが奴等の母艦と交戦しているらしい!』
「そうか、だから増援が少なかったんだ!」
『お前も行ってくれ! キラやアスランもいるはずだが、お前の助けも必要かもしれない!』
「わかりました! シンさんは後で迎えに来ます!」
そう言い残すと、レンはデスティニーのスラスターをフル加速でコロニーの出入り口へ向かった。

Re: ガンダムGジェネレーション〜六人の迷い人〜 ( No.3 )
日時: 2013/04/06 19:10
名前: Laevatain (ID: VHURwkNj)

失礼致します。

ご拝読させていただきました。

非常にインスピレーションに満ち溢れ、新しい可能性が
見える作品であると感じました。

お互いに、ガンダムの世界を切磋琢磨して
盛り上げていければと思います。

ちなみに、私ツイッターなどをやっておりますので
見かけた際にはお気軽にお声をかけてくださいますよう
御願いいたします。

Laevatain(レヴァンテイン)

Re: ガンダムGジェネレーション〜六人の迷い人〜 ( No.4 )
日時: 2013/04/12 22:20
名前: ノヴァ (ID: HDoKOx/N)


強襲起動特装艦、アークエンジェル。今、アークエンジェルはヴェイガンの戦艦が繰り出すMS部隊との戦闘が開始されていた。
その艦首の先では、二つの機体がMSの大群を蹴散らしていた。
一つはキラ・ヤマトが駆ける、ストライクフリーダムガンダム。
もう一つは、アスラン・ザラが駆けるインフィニットジャスティスガンダム。
二つの機体は、迫り来るMSをアークエンジェルに寄せ付けることなく撃墜していく。
「くっ、なんて数だ!」
「このままじゃ埒が明かないぞキラ!」
キラはストライクフリーダムのスーパードラグーンを展開し、ハイマット・フルバーストを放つ。しかし、それで複数の敵を撃墜しても、それを補う程のMSが現れる。
と、不意に敵機の内の一機が、思わぬ方向からのビームを喰らい撃墜されたのだ。
「お前か、アスラン?」
「いや、俺じゃない……」
「あれか!……デスティニー……シンか!」
ピピッ。
すると、デスティニーのパイロットから通信が入った。しかし、ポップアップに映るのは、黒髪の少年だった。
『キラさんにアスランさんですか?』
「君は……? シンはどうした!?」
『シンさんは先ほどの襲撃で負傷して、コロニーの中に。今、僕がシンさんからデスティニーを借りて戦っています!』
「お前のようなやつにデスティニーが使いこなせる訳がない。アークエンジェルに行け!」
「できません! 僕も戦います!」
レンはアスランの指示に反抗すると、振り向き様にバクトをアロンダイトで両断する。
『そいつの言う通りだ、アスラン』
アスランの通信ディスプレイに、シンの顔が表示される。
「何故だ、シン! 何故こんなやつをデスティニーに乗せたんだ!」
『俺だって止めたよ。けど、仕方なくそのまま戦わせてみたらコロニー内の敵を全滅させた。たった一人でだ』
「こいつが……だと?」
アスランは暫く沈黙すると、再び話始めた。
「お前、名前は?」
「……リンドウ・レンです!」
「レンか……。なら一つ言わせてもらう。コロニーの敵を全滅させた実力、見せてみろっ!!」
「はいっ!」
アスランとキラ、そしてレンは、それぞれの機体のスラスターを点火し、敵の大群に飛び込んだ。
アスランはインフィニットジャスティスのビームサーベルを振るい、敵機を次々に切り裂き、キラはハイマット・フルバーストで複数の敵を撃墜していく。レンは縦横無尽に高速移動しながら、パルマフィオキーナを乱射し、確実に敵を葬っていく。
その状態で戦い続けること数分。敵MSの数は先程に比べて激減していた。恐らくはもう少しで殲滅出来るかもしれない。
「(いける! このまま攻めれば、奴らを倒せ……)」
ピーピーピー!
突然、センサーが鳴り響いた。
レンが振り向くと、すぐ目前に見慣れぬ機体が二本の短剣を振りかざし迫っていた。
「くっ!!」
すぐさま両肩のビームブーメランをサーベル状にして、その斬撃を受け止める。
「レン、大丈夫か!?」
「こいつは僕に任せて……っ、キラさん達は他の敵の殲滅を!」
「……わかった。やられるなよ!」
そう言うと、キラとアスランはそれぞれの方向に飛び去った。
「(なんなんだ、こいつは……)」
レンは相手の短剣を弾くと、即座に間合いを離す。そこで初めて相手の姿を細かく目視することができた。
外観はゼダスその物と言っても過言ではないが、所々に改修が施されていた。通常、腰の背面にマウントされているゼダスソードが、刃の部分を短くして両腕に固定されているのだ。加えて、胸部のコーン部分もドラゴンの顔に変更されていた。
と、相手が急にゼダスソードを構えた。当然こちらもビームサーベルを構える。

互いのスラスターが加速すると同時に、二機のMSは、互いの剣から火花を散らしながらの接近戦を開始した。

Re: ガンダムGジェネレーション〜六人の迷い人〜 ( No.5 )
日時: 2013/05/04 23:37
名前: ノヴァ (ID: 6.Nua64i)

「うおぉぉぉぉぉぉっ!!」
レンはデスティニーの両手のビームソードを乱舞させ、無数のラッシュをゼダスに食らわせる。しかしそれらは軽くいなされ、ゼダスはカウンターといわんばかりにゼダスソードの振るう。だが、レンも負けじと機体を絶妙に移動させ、その斬撃を回避する。
一旦距離をとり、再びビームソードを振るうも、ゼダスはいとも容易くそれをゼダスソードで受け止めた。剣と剣がぶつかり合い激しい火花を散らす。
「(こいつ……やっぱり強い……!)」
レンは直感的にパイロットの力量を感じ取った。
少なくとも自分よりは強い。いや、自分はこの機体に順応していないだけで、本来は相手と同じくらいなのかもしれない。しかし、今は明らかに彼方が上だ。わずかな好機を逃さず、そこを一気に叩くしかない。
と、ゼダスの胸部が光を放ち始めているのがレンの眼に止まった。瞬く間にレンは背中に悪寒が走った。
「やばっ!?」
反射的にゼダスから距離をとると同時に、ゼダスの胸部が展開し、そこから中型のビームが放たれた。
距離をとっておいた事もあり、ビームはデスティニーを掠めただけだった特にダメージも無く、レンはすぐさま次の牽制として頭部のガトリングを浴びせる。
その時幸か不幸か、僅かであったがゼダスと通信が繋がった。

「……ちっ…………!」

「…………えっ?」
その時、レンはその声に何かを感じ取った。自分は何処かでこの声を聞いたことがあるのだ。
しかし考える間も与えず、尚もゼダスは斬りかかってきた。レンもデスティニーのビームソードで応戦し、それを受け止める。
すると、再びゼダスは胸部にビームを蓄積し始めたらしく、胸部が光を放っていた。
「その手はもう食うかよっ!」
レンはゼダスの胸部にデスティニーの膝蹴りを叩き込む。それが効いたのか、ゼダスの胸部ビーム砲は暴散し、ゼダスは煙に包まれた。
「や、やったか……?」
が、レンのその期待を裏切るように、ゼダスが煙を凪ぎ払って姿を表したのだ。胸部ビーム砲は見るも無惨に破壊され、火花を散らしながらその焼けただれた姿を見せていた。

「……次は勝つ」

パイロットがそう告げると、ゼダスは飛行形態へと変形し、そのまま飛び去っていった。恐らく、これ以上の戦闘は自身を危険に晒しかねないと判断したのだろう。
その直後、敵の母艦が180度方向転換し後退し始めた。母艦は船首から順に、背景に溶け込むようにして消えていった。



「よくやったね、レンくん」
「いやいや、キラさんやアスランさんの方が僕なんかよりずっと凄いですよ!」
レンは今、アークエンジェル内でキラやアスランと会話しているところだった。エターナル所属の二人が、何故アークエンジェルと共にいたのかというと、ちょうどハルクスに向かうアークエンジェルの護衛だという。そして、到着直前にあんな戦闘を繰り広げたとのことだった。
「ところで、何でアークエンジェルはこんなコロニーに?」
レンが問いただすと、アスランが答えた。
「実は、このコロニーにはある機体が隠蔽されていてな。それを今回回収に来た、という訳だ」
「その機体って…………?」
レンがそう言うと、アスランは重く閉じかけた口を開いた。

「……ハイネのデスティニーだ」



第1話「レン、戦場を駆ける」完

〜第2話に続く〜