二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: ガンダムGジェネレーション〜六人の迷い人〜 ( No.21 )
- 日時: 2013/11/23 14:57
- 名前: ノヴァ (ID: uY/SLz6f)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode
〜第4話「飛び立つ艦、月のMS」〜
人の往来が少ないヴァルハランス内の通路をシャウアーに連れられ、レンとミサトはとある部屋へと案内された。扉には「ヴァルハランスレギオン新人隊員控え室及びシュミレーションルーム」と書かれたカード。
「既に他の隊員は待機している。もう少しすれば新人隊員の入隊式がMSドックで行われるから、それまで中のシュミレーション訓練を受けてくれ。それで得た結果で乗機を選ぶことになる。終わったら他の隊員と親睦を深めるといい。……では失礼する」
そう言い残すと、悠然とした立ち振舞いでシャウアーは立ち去った。残された二人はただ呆然とその後ろ姿が通路の向こうに消えるのを眺めているだけであった。
「…………あの人、隊長だったんだ……」
「……そうだね」
その状態が続くこと数秒、気を取り直した二人は扉の取っ手に手を掛けた。
そして扉を開くと、部屋の中にいたのはレンやミサトと変わらない年頃の少年少女。大雑把に数えて10数人といったところだろう。
ひとまずレンとミサトはそれぞれは空いている席に座り込んだ。
「よぅ、お前も新入りか?」
座り込んだ途端、左隣に座っていた少年が話し掛けてきた。体格はレンとさほど変わらないが、全身の筋肉の量が比較的多い。いわゆる細マッチョだ。
「うん、そうだけど……」
「へっ、そうかそうか! 俺は『リーク・レイハルド』。リークって呼んでくれ!」
「僕はリンドウ・レン。……ところでシュミレーションシステムってどこ?」
「シュミレーションシステム? ああ、ほれあそこ」
リークが指差した方向を見ると、そこにはMSのコックピットを模したシュミレーションシステムが2機設置されていた。入ってきたドアが壁の真ん中辺りに付いていた為、入ってきた時には見えなかったようだ。
「俺は総判定Bランクだったぜ。ちなみにランクはSS、S、A、B、C、Dの順に悪くなってくからな」
「うん、色々教えてくれてありがとう!」
レンはそう言うと真っ先にシュミレーションシステムに駆け出した。どうやら他の面々は既に終わらせてしまったようで、システムはがらんどう状態で使ってくださいと言わんばかりだ。
早速シュミレーションを開始し、データ内の敵を倒していく。どうやら射撃と白兵格闘のデータを同時に取っているらしい。
やがてシュミレーションも終わり、操縦データが保存、隊長の下へ転送される。そしてシステムから排出された総判定の結果が記されたカードを受けとり、再びリークの下へ戻る。システムの説明によるとこのカードは軍での身分証明書代わりになるため、無くすのは厳禁らしい。
「で、結果はどうだった?」
「え、まだ見てないけど……。あ、裏面か」
リークがまじまじと覗き込む中、レンはカードを表裏ひっくり返す。
その瞬間、リークの顔が凍りつく。
「お、おい…………嘘だろ…………っ!? こいつ…………SS判定取りやがったぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
驚愕の表情のリークの叫び声が引き金となり、控え室にいた全員の視線がレンに降り注ぐ。
『お、おいマジかよ……!?』
『あいつ一体何者だ?』
それと同時にざわつき始める控え室。突然のことにレンは動揺を隠せない。
「ちょっとまて…………? まさかお前、コロニー『ハルクス』でレクイエム・ハザードのヴェイガン部隊を蹴散らしたっていう『レン』なのか……?」
「う、うん…………そうだけど……」
レンがそう答えると、リークは右手をレンの肩に乗せた。
「すげぇ……すげえよレン! お前みたいな凄腕パイロットがいれば、俺達は百人力だ! だろう、みんな!?」
『おぉーーーーっ!!』
リークの呼び掛けに応じ、控え室の人間が一斉に歓声を上げる。何か英雄のように扱われているような気がしてたまらない。
と、その時。レンが使っていなかった方のシュミレーションシステムからミサトが出てきた。
「レン〜、私もSSランクだったよ〜!!」
『なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!?』
ミサトを除く混声大合唱が控え室に響き渡った。
- Re: ガンダムGジェネレーション〜六人の迷い人〜 ( No.22 )
- 日時: 2013/12/07 14:35
- 名前: ノヴァ (ID: HDoKOx/N)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode
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『ヴァルハランスレギオン新人隊員全員に告ぐ! 各自にMSの支給をするため、早急にMSドックに集結せよ! 繰り返す!』
レンやミサト達が仲間達と交流を深める中、突然待合室に放送が鳴り響く。
「おっ、やっと自分の機体に御対面か……。ならさっさと行くか!」
そう言って立ち上がったリークに続き、室内のメンバーが続々と部屋を出ていく。
「ほら、レン! 私達も行くよ!」
「あっ、ちょっと待てよミサト!」
ミサトに気付け代わりにか背中を叩かれたレンは、その後を追ってMSドックへと急いだ。
やがてMSドックに着いた面々は、ボリス・シャウアー隊長の目前に集結する。
しかし辺りを見ると四方でMSが整備を受けているのが確認できた。パッと見だけでも数十機はありそうだ。それ故種類も豊富で、大量にある量産機と思わしき機体から、それ以外に見当たらないワンオフ機のような物もある。
「……これで全員揃ったな」
シャウアー隊長は新人隊員全員に眼をやり、全員の集合を確認する。
「改めて自己紹介をさせてもらう。私は諸君の部隊の隊長を務めさせてさせてもらう、ボリス・シャウアー。階級は大佐だ。では、早速機体の支給を始める。DランクCランク、前へ!」
はい! という返事と共に、8人の少年少女が前に出てくる。
「君達は右側で整備されているMS、『ジーアス』に搭乗してもらう」
そう告げると、シャウアー大佐はレン達の右側を指差した。その先にあったのは、ジェガンを彷彿とさせる外観の機体だった。しかしあくまでもそれはシルエットだけで、全体的には全く異なる機体であることが分かる。頭部はガンダム系にの形状だが、アイカメラにはバイザーのような物がされている。武装もビームライフルとビームサーベル、アンチビームシールドと平凡だ。
「続いて、BランクAランク!」
先程呼ばれた面々と入れ替わりに、今度は6人が前に出る。無論、その中にはリークの姿もある。
「君達はジーアスの後方で整備されているMS、『エクゼルク』に乗ってもらう」
ジーアスの後方を見ると、確かにそこには機体があった。その機体の外見はほとんどガンダムと言っても差し支えない程だ。しかしこの機体も頭部のアイカメラにバイザーが装着されている。どうやらバックパックの換装を前提としているらしく、本体に装備されている武器はビームライフルと腰サイドに装備されたアーマーシュナイダー、ビームシールドのみらしい。これはこれでミサトがうるさそうだ。
「では最後に、SランクSSランク!」
リーク達と入れ替わりに今度はレンとミサトを含む5人が前に並ぶ。
「君達のほとんどは専用の機体を持っていると聞いている。専用機を持っている者はそのまま乗り継いで……」
「あ、あの…………」
大佐が説明を続ける中、ミサトが恐る恐る手を上げる。
「どうした?」
「私、専用機持ってないんですけど……」
はっ、とレンは気づいた。確かにミサトは専用機を持っていない。戦闘は経験しているが、あの時はアークエンジェル内にあったザクウォーリアを拝借したと後日言っていた。となると、ミサトはそのままザクウォーリアで戦う事になるのだろうか。
しかし、そんなレンの思いとは裏腹に大佐は口に僅かな笑みを見せた。
「安心したまえ。君の専用機もちゃんと用意してある」
そう言うと大佐は、自らの後方を親指で指し示した。
「あれが君の専用機、『ルミナガンダム』だ」
そこにあったのは、全身を純白に染めた機体。まるで闇夜を照らす月を象徴するようなガンダムだった。
- Re: ガンダムGジェネレーション〜六人の迷い人〜 ( No.23 )
- 日時: 2013/12/16 21:44
- 名前: ノヴァ (ID: 8uCE87u6)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode
「ルミナ……ガンダム……」
その神々しい機体の風貌に、ミサトは心奪われていた。ベースはインパルスガンダムであろうか。機体の各所にその名残が見てとれる。
「では、機体の受領は以上だ。各自、船内で自由行動を取ってよし。部屋は各自の身分証明パスに書かれた番号の部屋に入るように。では……解散!」
メンバーにそう告げると、大佐は悠然とした振舞いで立ち去っていった。残された面々はほっと安堵の息を漏らす。
「ねぇ、レン。私達一緒の部屋にならない? いっしょなら楽しいよ!」
「えっ、けど部屋は一人用らしいぞ。ほら」
先程支給されたタブレット端末を操作し船内のマップを表示させると、確かに部屋は一人用らしかった。
「ええっ、そうなの!? なら仕方ないか……」
そう呟き、女子メンバーの方へとぼとぼ歩いていくミサト。何か悪いような事をした罪悪感が身を苛む。しかし規則には逆らえない。こちらもこちらで早く部屋に行かなければ。
「よっ、SSランク」
突然背後から肩を叩かれ振り向くと、そこにいたのはレンよりも大人びた青年。察するに年齢は19〜20といったところか。確か先程BランクAランクの時に前に出てきていたはず。
「えっと……あなたは?」
「かしこまんなよ。これからは同じ屋根の下の仲間なんだからよ。俺は『ダルデ・ウィーンズ』」
「僕はリンドウ・レン。で、どうかしたの?」
「いや、時間あるなら一緒に飯食わねぇかなと思ってよ。なんなら、俺のダチ紹介すっから」
「あ……うん。別にいいけど」
「なら決まりだな。先に行っててくれ、ダチを連れてくっからよ!」
そう言い残しダルデは足早に去っていった。確かに腹も空いていたし、何よりも仲間との交遊関係を深めるいい機会だ。逃さないでおいて損はない。
──一方ミサトは。
「さて、じゃあ早速部屋に行きますか。えっと部屋番号は……」
身分証明パスの裏側を見ると、部屋番号は325だった。そうと決まれば、まずは腹ごしらえだ。そろそろお昼が近いので胃も食物を求めている頃合いだろう。そう思い立ったミサトは真っ先に食堂を目指す。待っていろ昼飯。
「ねぇ、ちょっといい?」
「あわわっ!?」
不意に視界の端から目の前に躍り出た少女に、驚いたミサトはバランスを崩し派手にすっ転んだ。
「ご、ごめんなさい……大丈夫ですか?」
気弱に感じる小さな声で謝罪しながら、少女はこちらを覗き込む。どうやら、自分と1〜2歳下らしい。
「いいよ、平気平気。ところで私に何か用?」
「あ……あの……私と友達になってもらえませんか? 私、引っ込み思案で中々言い出せなくって……」
「と、友達?」
「や……やっぱり駄目ですか?」
「全然!!」
その少女の言葉を否定するように、ミサトは少女の手を両手で掴んだ。
「私もこっちで女の子の友達、作ってなかったんだ! こっちからもお願いするよ!」
「あ、ありがとうございます! あっ、申し遅れました、『サーシャ・アスノ』と言います!」
「私はホムラ・ミサト! これからよろしくね、サーシャ!」
こうして、ここに新たな友情が1つ生まれるのであった。