二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: ガンダムGジェネレーション〜六人の迷い人〜 ( No.7 )
日時: 2013/06/07 22:45
名前: ノヴァ (ID: FX8aUA2f)

第2話「新たな翼、交わる剣」


「ハイネ専用……デスティニー?」
「ああ。本来出来るはずだった、デスティニー部隊の隊長機として開発された、ハイネの専用機。しかし、ハイネが死んだ事で機体はザフトの保管庫に保存されていた」
レンの質問に、アスランは何故か寂しげな表情で答えた。思い返して見れば、ハイネとアスランは共に戦場を戦ってきた戦友だったはずだ。その戦友の死を思い出すのが辛いのだろうか。
「じゃあ、なんでそれがこんなコロニーに? 普通なら保管庫に置きっぱなしにしててもよかったんじゃ……」
「いや、奴等が常に見据えている軍事施設よりも、それらと関係ないコロニーの方が奪取されにくくなる。それを考えての事だろう」
と、レンはアスランが話した会話の中にふと気になる単語があった。
「……奴等?」
「ああ、お前には話してなかったな。俺達の敵は、『レクイエム・ハザード』。それが奴等の組織の名だ」
「レクイエム・ハザード……じゃあ、さっきのヴェイガンの奴等は……?」
「レクイエム・ハザードは様々な組織が合わさってできた巨大な組織だ。俺達は奴等を呼称するときはそれぞれの組織名で呼んでいる」
「そうなんだ……」
「あ、お取り込み中にごめんだけど、来てくれるかなレン君」
「えっ、はい……いいですけど」
キラに呼ばれ、レンはその後をついていった。窓の外を見ると、先の見えない宇宙が広がっていた。どうやらまだコロニーには入港していないらしい。
キラにしばらくついていくと、エレベーターのような扉が現れた。キラが扉の横のボタンを押すと、下降音のような音が聞こえ扉が開く。
「さぁ、入って」
キラに背中を押されるようにして、レンはエレベーターの中に入った。キラは扉を閉めると、最上階に向かうとおぼしきボタンを押す。直ぐ様エレベーターが上昇していくのを身体で感じた。
数十秒程経ったとき、エレベーターの扉が音を立てて開かれた。
「レン君、ついてきて」
「あ、はい……」
レンはキラの後についていき、奥の扉に入った。どうやらそこは艦橋のようで、オペレーターや操縦士などの人達がそれぞれの椅子に腰掛け、仕事をこなしているようだった。
「マリューさん、例の少年を連れてきました」
キラは艦長席と思われる場所に座っている女性に話しかけた。すると、女性はこちらを向き話し始めた。
「ありがとう、キラ。えっと……貴方だったわね、シンのデスティニーを使って私達に協力してくれた少年というのは。……名前は?」
「あ、はいっ! リンドウ・レンと言います!」
レンは背筋を限界まで伸ばし、少々あがり気味で答えた。さすがに艦長が相手となると、緊張が隠せない。
「レン……いい名前ね。私はアークエンジェルの艦長、マリュー・ラミアス。早速だけど、さっきはキラ達に協力してくれてありがとう」
「あ、はい! 光栄です!」
「そんなに緊張しなくてもいいわ。……それにしても、量産機ならまだしもデスティニーを動かすなんて、よほどの操縦センスがあるみたいね」
「いや、モビルスーツを動かすのは初めてだったんですけど……」
「は、初めてって……。じゃあなんであんなに戦えたんだ?」
キラが驚いたように、いや実際驚いて質問を投げ掛けた。
「なんていうか……身体が無意識に動いたって感覚で。動かし方が何故か分かったんです」
「そう……。突然だけど、ひとつお願いがあるの」
「なんですか?」
レンがそう言うと、マリューは確信に満ちた表情で告げた。


「私達と戦ってくれないかしら。私達……アルカディア・ノヴァの一員として」

Re: ガンダムGジェネレーション〜六人の迷い人〜 ( No.8 )
日時: 2013/07/07 13:55
名前: ノヴァ (ID: BoToiGlL)

「アルカディア……ノヴァ?」
「そう、それが私達が結成した組織の名前。レクイエム・ハザードの野望を食い止め、彼等を倒すために作られた組織よ」
「じゃあ、僕にアルカディア・ノヴァと共に戦ってって言うのは……?」
レンの質問にマリューは諭すような表情で答えた。
「アルカディア・ノヴァはレクイエム・ハザードに対抗するため、一人でも多く人材を集める必要があって……。協力をお願い出来るかしら」
「……一つ聞きたいんですけど、レクイエム・ハザードの目的ってなんですか?」
「地球圏の制圧、及び全コロニーの掌握、と彼等は宣言しているわ」
それを聞いて、レンの意思は決まった。
「マリューさん、僕……戦います! そんな暴挙は許しておけません!」
レンの言葉を聞いて、マリューは安心したように微笑んだ。
「ありがとう……。貴方ならそう言ってくれると信じてたわ。それではリンドウ・レン。貴方にはハイネのデスティニーガンダムを受領します」
「デスティニーガンダムを!?」
「そうよ。所望するなら、カラーリングの変更も可能よ。何か希望は?」
レンはしばらく考えていたが、ふと顔を上げて答えた。
「じゃあ、青と白を基調とした青・赤・白のトリコロールを所望します」
「わかったわ。では搬入作業終了後、カラーリングを変えてリンドウ・レン専用機としてロールアウトします」
「はいっ!」
そうレンが言葉を返した時だった。
「艦長! 左舷よりアークエンジェルに接近する機体を確認!」
突然、CICの一人が声を上げた。その一声で艦橋に緊張が走る。
「敵機の数は?」
「一機だけです! モニター出します!」
すると、前方のモニターに一機のモビルスーツが写し出された。青と白を基調とした機体色、独特の機体のディティール。その機体をレンは見たことがあった。
「あれは……。ブルーフレームセカンドL?」
「となると、乗っているのはサーペントテール、叢雲劾か……」
「通信が来ました!」
「繋げて」
「了解、通信繋ぎます!」
すると、面前のモニターにブルーフレームの物と思われるコックピットが写し出された。
『聞こえるか、アークエンジェル。俺はサーペントテール、叢雲劾』
「用件はなんですか」
『そちらに「リンドウ・レン」という名の少年は居るか?』
「えっ、僕がリンドウ・レンですけど……」
レンはそう言うとモニターの前に歩み出た。
『お前がリンドウ・レンか。こちらでお前の親友と名乗る少女を保護した。その受け渡しをしたい』
「僕の……親友?」

Re: ガンダムGジェネレーション〜六人の迷い人〜 ( No.9 )
日時: 2013/06/08 10:42
名前: Dr.クロ ◆m1RYkHhkGM (ID: /PtQL6mp)
参照: http://www.pixiv.net/member.php?id

バトスピの方もできますか?

Re: ガンダムGジェネレーション〜六人の迷い人〜 ( No.10 )
日時: 2013/07/07 16:11
名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode



アークエンジェルがハルクスに着艦すると、直ぐ様レンはブルーフレームの所へ向かった。無論、自分の親友の受け渡しの為だ。本当に自分の親友なのか。もしそうだとして、一体誰なのか。それを自分自身でしる為でもある。
アークエンジェルを降りると、昇降口の目前にブルーフレームが待っており、抱えていた一つのカプセルを地面に降ろした。
『この中に、お前の親友が入っている。後は任せた』
そう言い残すと、ブルーフレームは早々と飛び去っていった。スラスターによる爆風が過ぎ去ると、ブルーフレームの姿は影も形も無かった。
「……誰なんだ。僕の親友って……」
そう疑問に思いつつ、レンはカプセルに近づいた。カプセルをオープンするためのスイッチ等が無いかと探してみると、側面に回転式のレバーが備わっていた。
レンがそれを力を込めて回すと、カプセルのカバーの境目から白い煙が噴出し、それが開いていく。

「んっ……!ああ〜よく寝た……」

不意に、その煙の中から一人の少女が起き上がった。微風に靡く赤いツインテール、活発さを感じさせる半袖と太股までしかないジーンズ、それに相反するように輝く健康的な白い肌。
レンの記憶の中で、この条件に合う人物はたった一人だけ。
「ミサト、ミサトじゃないか!」
「あっ、レンッ!!」
そう、この少女は紛れもなく、レンの親友の一人であるホムラ・ミサトに間違いは無かった。
ミサトは、レンが幼い時からの親友であり、それ故信頼関係も他の親友に比べ段違いだ。もちろん大のガンダム好きであり、彼女はインパルスやストライク等のバックパック換装を主としたMSにうるさい。
「お前もこっちの世界に来てたんだな」
「なんかそうみたいだね。……てかなんでアークエンジェルが!?」
ミサトはレンの背後のアークエンジェルを見て驚愕した。気づくのが遅すぎるような気がする。
「今アークエンジェルに匿われているんだ。それと、僕はアルカディア・ノヴァの一員として戦うことにしたよ」
「……クスッ……やっぱりね」
「なんだよ、そんな変に笑って」
何故かミサトは不敵な笑みを浮かべる。
「実はこの世界に来たとき、劾さんから事情は聞いて、私もアルカディア・ノヴァで戦うことにした」
「本当!?」
「ほんとに本当」
ミサトは確信に迫った表情でレンに話す。やはりこの感情は本当だろう。
「それで、マリュー艦長の所に案内してくれないかな? 直に話さないと正式に入れないらしいから……」
「わかった、案内するよ。着いてきて」
そう言うと、レンはミサトの手を引っ張って歩き始めた。

Re: ガンダムGジェネレーション〜六人の迷い人〜 ( No.11 )
日時: 2013/07/21 08:40
名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode

それから3日。アークエンジェルはクルーにレン、ミサトを加え、ある場所へと向かっていた。
その場所とは、アルカディア・ノヴァ軍事兵器開発第1基地アルデバロン。
アークエンジェルは、人類の故郷、地球のオーストラリアにあるその基地に向かって進んでいるのだ。そこでレン達はアークエンジェルを降り、そこで新造された新型艦所属のパイロットとして戦うことになるという。
いよいよ自分が戦争の真っ只中に放り込まれるということを再認識し、レンは窓の外に広がる宇宙を眺め、拳を握り締めた。
「何硬い顔してんのよ、レン」
後方の壁にもたれ掛かっているミサトが、レンの顔を見て話しかける。
「だってさ、つい3日前まで普通の高校生だった僕達がモビルスーツのパイロットなんてさ……。戦争で戦って、死んだらそこで終わり。その為にも覚悟を決めないとと思って」
「ま、確かにね。けど、緊迫しすぎて空回りなんてしたら元も子もないでしょ?」
「……うん! ならその為にも、ミサトは早く自分の機体をもって加勢してよ。一人だと流石に厳しいし」
レンがこう言うのは、ミサトのアルカディア・ノヴァへの加盟をマリュー艦長に報告した際、ミサトはまだ自分専用の機体を持てないと言われたことに起因する。
理由は単純明快。ミサトがまだ戦果を挙げていないからだ。レンが専用のデスティニーを受領出来たのは、ハルクス内に攻めいった敵を全て単機で殲滅したこと。そしてキラ・ヤマトらと共にヴェイガン部隊を撃退した功績によるところが大きい。
それに反してミサトは実戦の参加すらしていない。受領できないのも当然だ。
「ま、レンくらい戦果が挙がるまで地道にザクウォーリアで頑張るよ」
「頑張ってね、応援するから!」

ドゴォォォォォォォン……ッ!!

その瞬間、突如巨大な揺れがアークエンジェル全体を揺らした。レンとミサトはそのショックで体勢を崩してしまう。
『総員、各自戦闘配備! 繰り返す、総員、各自戦闘配備!』
レンが身体を起こすと同時に、敵の襲来を告げるアナウンスとアラートが鳴り響く。
「よし、行くぞミサト!」
「言われなくても分かってる!」
そう言葉を交わした二人はそれぞれの自室へと移動し、パイロットスーツに着替える。この3日の内に、アークエンジェルが用意してくれた物で、これを着ての戦闘は初めての経験となる。
ミサトより先に着替え終えたレンは、即座にモビルスーツ格納庫へと向かった。
そして、ある機体の面前で歩みを止めた。
そこにあるのは、機体色をレンオリジナルの物に変更されたデスティニーガンダムだ。シンの物とは違い、両肩を白と青、胴体部を赤を基調に青と白、両足の下部を深紅に塗装されている。つい先日、機体のカラーリング変更が終わると同時にロールアウト可能になったのだ。
「僕の機体での、初めての戦い……。絶対いい結果を残そう!」
そう宣言したレンは、デスティニーのコクピットに乗り込み、機体を始動させた。コンソールに光が灯り、目の前のモニターに格納庫が映し出される。
ガコン!
そんな音と共に、景色が前方から後方にずれていく。恐らく射出カタパルトへの移動を開始したのだろう。いよいよ戦いが始まるのだと思うと胸の動悸が止まらない。レンは深い深呼吸でそれを落ち着かせると、再びモニターに向き直った。
そしてついにデスティニーのカタパルト射出口への移動が完了した。
『デスティニー、発進してください!』
オペレーターからの通信が入り、レンはデスティニーを発射体形にした。

「……リンドウ・レン、デスティニーガンダム、出ますっ!!」

カタパルトの四隅にを光の点が走り、デスティニーが発進した。

Re: ガンダムGジェネレーション〜六人の迷い人〜 ( No.12 )
日時: 2013/07/23 20:36
名前: ノヴァ (ID: FX8aUA2f)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode


「ぐうぅぉっ!!」
デスティニーの射出によるGにより、コクピットのレンは急激にシートに押さえつけられる。
しかしそれも束の間。すぐにそれから解放され、レンはデスティニーのスラスターで機体を加速させた。
「戦闘宙域は…………。あそこか!」
コンソールに拡大表示された宙域の位置を確認したレンは、真っ先にそこへデスティニーを加速させる。そこではビームの光が幾度となく飛び交い、爆発による光の球が幾つも出来ていた。
と、その時、一機のザクウォーリアがこちらに向かって来るのをセンサーが捉えた。機体色は通常の緑、武装はガナーウィザードを装備している。
もしやと思いレンは機体の識別を確認した。やはりミサトの機体だ。
「遅いぞミサト!」
「レンが早いのがいけないんじゃん! 置いてけぼりなんて酷いよ!」
通信を繋いで呼び掛けると、拗ねた様子のミサトの声が返ってきた。
「時間は無いんだ、先に行くぞ!」
「あっ、ちょっと待ってよ!」
ミサトの声を尻目に、レンは再びデスティニーを加速させた。


遠くから猟犬の様に獲物を待つ銃口が二人を狙っているとも知らないで。
「ほぉ……今度の獲物は、美味そうだ……」


そして数分後、レンとミサトは戦闘宙域へ到達した。ここからは生きるか死ぬかの戦場、油断など出来ない。
ピーピーピーッ!
「早速来たか……」
警報音と共に数機の機体がコンソールに映し出される。細かく確認すると接近してくるのは三機、レクイエム・ハザードの主力量産型MS スルトだった。間髪入れず、スルト三機はこちらに向かって手にしたビームライフルを乱射してくる。それをレンは左腕ビームシールドで、ミサトは左肩のシールドで全弾防ぎきる。
「今度はこっちの番よ!」
そう叫ぶとミサトはガナーウィザードを展開し、スルトの一機に向けて一撃を見舞う。その一撃は見事命中、スルトは爆発四散する。
「やったぁ! 命中、命中♪」
「油断するな! まだ来るぞ!」
その言葉が示す通り、残ったスルト二機は左右に別れて回り込んだ。恐らく挟み撃ちにするつもりだろう。しかし、ここは360度行動可能な宇宙だ。二方向からの攻撃では逃げ場を奪うことは出来ない。
「ミサト、お前は左の奴を討て! 僕は右の奴を倒す!」
「オッケー!」
そうこうしているうちに、二機のスルトはビームサーベルを構え目前まで迫っていた。レンとミサトは互いにシールドを構え迎え撃つ姿勢を取る。
「…………今だ!」
レンの声を引き金に、デスティニーとザクウォーリアは上下に離脱した。ぎりぎりまで引き付けたこともあって、二機のスルトは対応できずに激突する。その好機を見逃さず、レンはビームランチャー、ミサトはガナーウィザードでスルトに向かってトリガーを引く。状況が飲み込めぬまま、二機のスルトは爆発する。
「よし! この調子でいけば……」

ズギュアァァァァン!!

突如、全く予想だにしない方向からビームの一閃がデスティニーを襲う。しかし、ぎりぎりでそれに気づいたレンはビームシールドを展開しそれを防いだ。
「今の一撃……どこから撃ってきた……?」
レンはセンサーを確認するも、辺りにそれらしき機体の反応は無い。


「ちっ! 流石に一発じゃ無理か……。まぁいい、どうせ奴等は俺の場所を知ることなく死んでいくんだからな……」
MSのパイロットはそう呟くと、再びロングレンジライフルを構えた。

Re: ガンダムGジェネレーション〜六人の迷い人〜 ( No.13 )
日時: 2013/07/30 22:05
名前: ノヴァ (ID: .1vW5oTT)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode

「レン、今のビーム……」
「あぁ分かってる。ビームを発射した機体がセンサーに見当たらない……」
再びセンサーに眼を落とすも、それらしき機体はやはり感知されていない。
では、今デスティニーを狙ったビームは何処から放たれたのか。
「……っ! また来る!」
ズギュゥゥゥンッ!
今度は先程とは正反対からの狙撃。レンはそれをデスティニーのパルマフィオキーナで撃ち落とす。
「いつまでも狙われっぱなしでいるかよっ!!」
レンはビームランチャーの照準をビームが飛来してきた方に合わせ、放った。が、手応えはない。
「撃った後は即回避ってわけか……」
「どうするのレン? このままじゃ私達ただの的代わりだよ!」
「大丈夫、狙撃手の手の内は分かった。ミサト、少しデスティニーから離れて」
「えっ……わ、わかった!」
ミサトは直ぐ様ザクウォーリアをデスティニーから遠ざけた。すると、デスティニーは背中のウイングを展開し、光の翼を放出し始めた。

「(もし相手が『アレ』で姿を隠してるなら、ヴォワチュール・リュミエールで策敵出来る……。そして、デスティニーのウイングはヴォワチュール・リュミエールのシステムを応用しているから、恐らく……)」

レンはただひたすらにセンサーを凝視する。デスティニーの放った網に獲物が掛かれば、真っ先にセンサーに反応があるはずだ。
そして、レンのそれは確信へと変わった。

ピピッ!
突如、今まで反応が無かった場所に一機のモビルスーツの反応が現れた。

「そこかぁっ!!」
レンは即座にビームランチャーを構え、反応があった場所に向けて放つ。
そのビームが向かう先には小惑星しかない。いや、厳密には「見えない」だけだ。小惑星がビームの直撃を受け、爆発を起こす。
すると、その爆煙の中から一機のモビルスーツが姿を現した。
「あ、あれってブリッツガンダム!?」
「いや、あれは……」
レンはミサトの発現した機体と、目の前の機体が全く別物というのを直観で感じ取った。確かに外見はブリッツガンダムに似てはいるが、明らかに違うのは武装だ。
本来ブリッツの左腕に装備されている、ピアサーロックは先端が三叉に分かれるクロー状なのだが、この機体はそれが熊手状に変更されている。それに加え、左腰に装備された二振りの剣。あれはブリッツには装備されていないはずだ。
そして機体色。ブリッツは黒色なのに対し、この機体は暗緑色。
これらの条件を踏まえレンは一機のモビルスーツを導き出した。
「……NダガーN」
だが、それでもレンにとって相容れない物があった。右腕で抱えるロングレンジライフルだ。あれはブリッツにもNダガーNにも装備されていないはずだ。となると、NダガーNのカスタム機か。

『よく見破ったと褒めてやりたいな』

突然、NダガーNから通信が入った。聞こえるのは男性、恐らく20代後半から30代といったところだろう。やたら陽気で上から目線の口調だ。聞いてていい気持ちはしない。
『俺はレクイエム・ハザードのエースパイロット、「狙撃の鷹」ことブライアン・ホーク!』
「……自分からエースパイロットを名乗るとは、腕は相当らしいな」
『分かってるじゃねぇか……。だが、貴様の相手は俺じゃねぇ……こいつだっ!』
ピーピーピーピーッ!!
突然デスティニーのセンサーが激しく反応した。デスティニーが振り向くと、一機のモビルスーツが短剣を振りかざしていた。
「な……っ!?」
不意を突かれたデスティニーにビームソードを構える余裕は無い。レンは両腕のビームシールドを即座に展開し、その一撃を受け止める。振り下ろされた短剣とビームシールドがぶつかりあい、火花を散らす。
至近距離で火花に照らされたその機体の姿に、レンは驚きを隠せなかった。

「こいつは……あの時の!!」



第2話「新たな仲間、交わる剣」完

〜第3話へ続く〜