二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: とんがりボウシ 〜ほしぞら魔法学校より〜*短編集 ( No.151 )
- 日時: 2013/08/05 22:07
- 名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: QlSid/7F)
————時は流れ、現在時刻は午後四時十五分。あと十五分後には学生寮の玄関前に行かなくてはならない。そんなわけで準備をしているわけなのだが——……。
「ああもうっ! 浴衣の着付けなんかできないよぉー!」
一人の日本人女性としてすごく恥ずかしいことではあるが、和服を一人で着ることが不可能。というか一応調べてみたものの、順番……というかどうやってやればよいのかいまいち分からない。最後に浴衣を着たのなんて小学校低学年くらいだろう。そしてその時も祖母に着付けをしてもらったため一人でできるわけがないのだ。
……どうしよう。
「と、とりあえず帯を巻き付ければいいのかな……?」
はっきり言ってあたしそろそろ日本人やめた方がいいね、これ。それにしても昔の人はこんな着方の難しいものを毎日着ていたのか……平成の世に生まれてよかった。そして洋服のありがたみがなんとなく分かった気がする……。
「ええいっ、もうテキトーでいいや! もう時間もないし……!」
あたしは手に持っていた帯をグルグルと巻きつけ、適当に結び、荷物をまとめてお昼に浴衣と一緒にりんねから借りた下駄を履いて部屋を飛び出る。
カランコロン、という小気味いい音がせわしなく鳴り響く。玄関に着くと、あたし以外の三人が既に揃っていた。
「ショート遅い……というか、何なのその格好」
「えへへ、ごめん……いやはや、浴衣一人で着られないこと忘れてて! テキトーに済ませた!」
「まったくもう……ちょっとこっち来なさい」
りんねに腕を引っ張られて陰につれていかれる。やっぱりこれじゃダメか……。
一度浴衣全てを脱がされ、その時にりんねに「うわっホントに無い」とか言われたけど浴衣やってもらってるしショートさん超寛大だから許す……許してあげる……!
と、一人で悶々と考えているといつの間にか着付けが終わったらしく、先程までぐちゃぐちゃだった浴衣がきちんとしていた。
「あはは……ごめんね、ありがとう」
「別にいいわよ、これくらい。とりあえずさっさと行くわよ」
あたしとりんねは小走りで玄関に行き、学生寮を出る。玄関前でゆうきとてんまが軽い口喧嘩をしていて、それをりんねが食い止める。そして四人で祭り会場へと向かう。
それにしても……丈が短い割に歩きづらいなぁこの浴衣……。浴衣ってこんなに歩きづらいものだったっけ?
「あっ、そういえばこのお祭り、大規模ではないけど花火もやるらしいわよ」
「えっ!!?? 花火もやるの?」
花火……花火かぁ。花火って会場すごく混むんだよねぇ。人ゴミ嫌いだからいっつも会場まで行かないんだよなぁ。まぁでも祭り会場も十分人いるだろうし……どっちこっちいわないか。
お祭りなんだし、混んでて当然、むしろ人がいない方が虚しいよね。それに久しぶりのお祭りなんだから人ゴミが……とか言ってる場合じゃない! 楽しまなきゃダメだよねっ!
……と、んん? あのへんすっごい人がいる……もしかして、あそこかな?
「——さ、着いたわよ。ここがお祭り会場。はぐれたり迷子にならないように気を付けてね」