二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: とんがりボウシ 〜ほしぞら魔法学校より〜*短編集 ( No.153 )
日時: 2013/08/06 15:04
名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: QlSid/7F)

まだ始まって間もないであろうお祭り会場は既に人にあふれていた。今からこの中に交じるのかと思うと少し嫌になるけれど、きっとそれだけ人気があるのだろう。

「ねぇ、最初どこから行く?」
「んー……とりあえず回ってみましょ。いいのがあったらそこ行けばいいじゃない」

それもそうか。いろいろ買ったりしたらすぐお金無くなっちゃうもんね。それにしても何で屋台ってあんなにお金かかるんだろう……でもこういうとこで買った焼きそばとかって、異常なまでに美味しく感じるんだよね。何でだろう?
って、ああ! もうゆうきたち先に進んじゃってる! 追いかけなきゃ……!

「ショート、あそこに女児向けアニメのお面が売ってるわよ」
「…………だから?」
「あれ付けたらアンタきっと幼女になれるわよ」
「なれるわけないでしょ!」

追いついて早々になんでこんなことを言われなきゃならないんだろう。というか……た、確かに見た目は年齢より……幼く見えるかもしれないけど! いくら何でも幼女にはなれないから! こんなに身長ある幼女がこの世のどこにいるんだ!

「あ、輪投げとかあるわよ! 射的もある! ヨーヨーつりもあるじゃない! 全部やる!」
「ゆうき! ちょっ……」

やりたいものを見つけてしまったらしいゆうきが全力疾走でそちらへ向かってしまう。しかも人が多いせいか、もう見失ってしまった。最悪なことに、ゆうきの前を歩いていたりんねもどこにいるのか分からない。

「どうしよう、完全に一人だ……」
「おい、こらテメェ。オレを忘れんじゃねぇ」
「…………ん?」

後ろを振り向くと、なんとてんまが。……そういえば、てんまもいたんだっけ! 完全に忘れてた!
ということは、あたしとてんまだけかぁ。うわー、つまらなそう……。

「ねぇてんま」
「何だよ」
「てんまと一緒にいても面白くなさそうだからあたしも一人で行きた……みぎゃっ! 痛い! 何で殴るの!!??」
「何で殴られないって思えたの?」

うぐぐ……女の子殴るなんてヒドイよ! ……って言えるほど女らしくないけどね、あたし……。
それにしても今からあの二人探すなんて無理だよねぇ……。ここ来たの初めてな上にあたしは超がつくほどの方向音痴……。それに、きっとこれからどんどん人も増えていくだろうしなぁ……。どうしよう?

「もうこうなっちまったもんはしょうがねぇから、とりあえずどっか行こうぜ」
「う、うん……でもどこ行く?」

どこの屋台も人たくさんいるし……。食べ物系の屋台とかすっごい行列できてる。これ並んで待つのはちょっとやだなぁ……。

「……あ、あそこの陰にベンチある。とりあえずあそこのベンチ行こう。そこでいろいろ考えてから行動しよう」
「そ、そうだね……」

なんだか初っ端から大変なことになってるような……。まぁでもこうなってしまったものは仕方ない。ここはあたしたちだけでも楽しまなくては!

Re: とんがりボウシ 〜ほしぞら魔法学校より〜*短編集 ( No.154 )
日時: 2013/08/07 12:26
名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: QlSid/7F)

——そんなこんなであたしとてんまは陰のベンチまで行き、そこに座る。まだ夕方で日もでているのだが、このベンチは屋台の後ろにあるため非常に暗い。本音を言えば懐中電灯が欲しい……そんなレベルの暗さである。無いものねだりしたって仕方ないんだけど。

「……で、どこ行くんだ?」
「う、うーん……まず何があるかも分からないんだよね……。てんまはどこ行きたい?」
「オレは……別にどこでもいいけど」

うわー、一番めんどくさいパターンの返事だよこれ……。どこでもいいというのが一番困る……って言ってもまず何があるのか分からないし、何とも言えないよね! しかも超方向音痴なあたしというお荷物がいるし……ああなんか自分で言ってて悲しくなってきたよ……。

「あー、でもなんかお腹減ったなぁ……」
「じゃあ食い物探すか? 動けるうちに探さねーとそのうち腹減って動けなくなるぞ」
「それもそうだね……じゃあ行こっか」

お腹減ったし、探すの大変そうだし……一番最初に見つけた屋台で買おうかなぁ。こんなとこで好き嫌い言ったっててんまに迷惑かけるだけだし。ただ、本当に嫌いなものだったら変えてもらおう……。
そんなことを考えながら、てんまの後ろを歩いていると、どこからともなく風に乗っていい匂いが……。うわああ、余計お腹減っちゃうよ……!

「……ちょっとショートさん、すごい勢いでよだれ垂らすのやめてもらえませんか」
「だ、だだだって……あっちからすっごいいい匂いが……!」

これは何の匂いなんだろう。よく分からないけどすごいいい匂い。

「ったく……あ、そこでフランクフルト売ってんぞ」
「えっ、ホント!? あっ、人もそこまで並んでない……! よしっ、買おう!」
「あっ! ちょっと待て!」

 *

そんなこんなであたし……と、てんまは各々食べたいものを買って、今現在はテキトーに歩いている。それなりに時間も経ち始めているため、先程よりも人が増えてきて、騒がしくなっている。中には小さな子などもいて、うっかり踏み……じゃなくて蹴っ飛ば……でもなくぶつかりそうになってしまう。

「あ、金魚すくいだ……」
「何だ? やりたいのか?」
「えー……いや、やったことないしやってみたいなぁと思うけど、仮にすくえたとしても飼えるのかな……」

やっぱり生き物を扱うって大変なことだよね。無責任なことをするのはよくないもん。一時の感情ですくってそのあとほったらかしにして死なせてしまうくらいなら、ほかの飼ってくれそうな人にすくってもらうのが金魚のためかもしれないし……。

「どうせなら生きてないのがいいなぁ……そういえば昔、縁日でスーパーボールとかすくってた気がする」
「あー、オレもやったな……縁日帰りに飛ばしてなくしたりしてな……」

てんまもそこまでやったか。勿論あたしもやったけど。スーパーボールいっぱいすくって、はしゃいでると一個くらいなくすんだよね……あれは何でなんだろう。そんなのあたしとてんまくらいしか経験したことないのだろうか……。

「あ! スーパーボールすくいあるし……」
「折角だしやってくか?」
「そうだね……じゃあ勝負しようよ!」
「は? 勝負?」
「そう! いっぱい取れたほうが勝ち!」
「まあいいけど……」
「やったー! あたしが買ったらなんか奢って!」
「は!? 何だよそれっ」

よーし、絶対に勝つぞー!


=====作者より=====

皆さんは縁日とかでスーパーボールすくいやったことありますか?
わたしはかなり昔ですけど結構やってましたwww

弟も一緒にやってたんですけど姉弟揃って1個か2個スーパーボールおっことしてたんですよ。アホな姉弟です。
そんなんわたしと弟だけだよね、うん・・・www
なんであんなに落としてたんだ・・・

Re: とんがりボウシ 〜ほしぞら魔法学校より〜*短編集 ( No.155 )
日時: 2013/08/08 09:54
名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: QlSid/7F)

屋台のおじさんにお金を支払い、スーパーボールをすくうためのポイを受け取る。あたしとてんまは向かい側にしゃがみ込む。

「あたしが買ったら絶対何か奢ってよ!」
「ふん、お前こそオレが買ったら何か奢れよ!」

そう、このスーパーボールすくいは微妙にかけをしているのだ! ……かけって言うのかな? ま、まぁとにかく負けたら何か奢らなきゃいけないわけで……絶対に勝ちたいんだ!
そんで、何か高価なものを奢ってもらいたい!

「よーし、じゃあスタートッ!」

あたしは慎重にポイを水槽の中にいれて、スーパーボールを一つすくいあげる。一応穴はあかなかったから良しとしよう。ポイに負担をかけないように、小さいものを取っていく。
それなりに取れてきたところで、ポイに大きな穴があいてスーパーボールが取れなくなってしまった。

「ありゃりゃ……終わりかあ」
「オレももう無理だ……」

あたしとてんまはすくい上げたスーパーボールの数を数える。
あたしは……えーと、七個かぁ。ラッキーセブンだ!

「オレ九個。お前は?」
「えっ!? あ、あたしは……七個」
「よっしゃ、オレの勝ちだな! あとで何か奢れよ!」
「うう……分かったよー」

負けちゃった……うううう、悔しいっ! ……こいつのことだから何か高めの値段のもの奢らされそう……嫌だなー。とか言ってあたしが狙ってた事なんだけど。
それにしてもあっついなぁ……浴衣ってこんなに暑いものだったのか。それとも外の気温が暑すぎるだけとか? 普段エアコンのきいた部屋にいることモロバレだね。

「さてと……次どこ行く?」
「そうだなぁ、うーんと……あ、暑いから冷たいもの食べたいなぁ」
「お前さっきも食ってたじゃねぇか……腹壊すぞ」
「だ、大丈夫だよっ!」

でも本当にお腹壊したらやだな……浴衣でトイレ行くの大変そう……もし着崩したりしても、りんねいないから直せないし……! でも、冷たいもの食べたいなぁ。

「あっ、ねぇかき氷売ってないかな?」
「あぁ……さっき見かけたけど……」
「よし、それ行こう!」

やっぱりお祭りって言ったらかき氷だよねっ! 普段食べないし……! かき氷って見てるだけでも涼しくなれるし、シロップの色もキレイだし……すごい好きなんだよね!
えへへ、超楽しみっ!

「お、あそこだな……」
「ホントだ! 並ぼ並ぼ!」
「あっ、コラ、勝手に行くんじゃねぇっ!」

駆け足でかき氷の屋台の行列の最後尾まで行き、数分並んだ後にようやく買うことができた。あたしはイチゴ、てんまはブルーハワイを購入。なんというか自分たちの色のまんまっていうか……あはは。でもあたしブルーハワイも好きなんだよね! あとでもらっちゃお!

「んーっ! 美味しい! 冷たい!」
「分かったから落ち着いて食ってくれ……」

やっぱりイチゴのかき氷超美味しい……。なんでこんなに美味しいんだろ……なんかもういくらでも食べれそうってくらい美味しい……! まぁホントにたくさん食べたらさっきてんまに言われたようにお腹壊しちゃうけどね……。

Re: とんがりボウシ 〜ほしぞら魔法学校より〜*短編集 ( No.156 )
日時: 2013/08/09 09:23
名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: QlSid/7F)
参照: 突然のてんまSIDE

オレたちはスーパーボールすくいを終えてかき氷を買い、今はそれを食べている。
コイツ全身ピンクのくせにかき氷までイチゴ味買うとかどんだけピンク好きなんだよ。まぁイチゴ美味しいけど……。というかさっきから結構な速度で食ってる割に全然減ってねぇな……何でだ?

「!? ちょ、え、てんま食べるの早っ!!?? え、え、早くない!?」
「そんなことないだろ……むしろお前は何でそんなに遅いんだ」

そして何故そこまで慌てる必要があるんだ……。別にゆっくり食えばいいじゃねぇか……。そしてかき氷はあんまり一気に食わない方がいいと思うんだけど。

「え、ええーいっ! こうなりゃ実力行使だぁぁっ!」
「は!!??」

このアホは何を思ったのか、かき氷をすくったスプーンを持ってるオレの腕を、無理矢理自分の口まで持っていき、スプーンにのっていたかき氷を食べてしまう。

「なっ、おま……!」
「えへへー、あたしもブルーハワイ好きだもん! 味見だよ、味見!」

どんだけ食い意地張ってるんだ……。というかコイツはその……いろいろ気にしなさすぎじゃなかろうか。
とか考えていると、ふと目の前に濃いピンク色の何かがあらわれる。すぐにアイツの持ってるかき氷ということが分かった。それは分かったのだが行動の意味が分からない……何がしたいんだ、こいつは。

「ほらほらっ、あたしのイチゴのかき氷も食べてみて! 美味しいよ!!」

………………!!??
え、いや、コイツ何言ってんの!? というか自分が何言ってるのか分かってんのか……!?

「い、いいよ……別に」
「なっ……イチゴ美味しいんだよ!!?? 嫌いなの!!??」
「そっ、そういうわけじゃねぇけど……!」
「じゃあ食べてよ!」

なんだろう、どこから突っ込めばいいんだ。
イチゴ味のかき氷が美味しいのはオレも知ってる。知ってるけど……食えるか! ホントにコイツは何なんだよ! というか……さっきのもそうだけど、これってどう考えても、か、間接キス……だよな?

「ほらっ!」
「!?」

オレがボーッとしていると、アイツが勝手にオレの口にイチゴのかき氷を突っ込んできた。

「ねっ、美味しいでしょ?」
「そりゃ……美味いけど……お前なんなの」
「えっ、何どういう意味!!??」

ホントに分かってないのか……。って、あれ? よくよく考えたらさっきアイツにオレのかき氷食われた……ような……。もうこれ食えねぇ! いや正確には食いたくても食えない……。

「……? てんまどうしたの? 顔真っ赤だよ? 大丈夫? もしかして熱中症?」
「いや……熱中症じゃなくて、お前のせい……」
「な、何で? あたし何かした……?」

もうやだコイツ……。お前は好きな子と間接キスできて嬉しくないのか!? って聞かれたら嬉しいですって即答できるけど……。なんかオレばっか気にしててバカみたいじゃないか。
せめてもう少し気にしてくれてもいいと思うんだけど。

「えへへ……美味しいなぁ」

……でも、コイツのアホ面見てるとそれはそれでいいのかな、とも思える。コイツが幸せそうならそれでいいか……。


=====作者より=====

このあとはてんまサイドだけになりますタブン。
くっそこのリア充め・・・!←

Re: とんがりボウシ 〜ほしぞら魔法学校より〜*短編集 ( No.157 )
日時: 2013/08/09 18:13
名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: QlSid/7F)

かき氷を食べ終え、次に何をするか話しながら歩く。段々日も沈み始め、空が暗くなっていく。

「次は何しようか……」
「んー、どこもかしこも人がいっぱいだしな……」

さっきいろいろ食ったから何か食おうとも思えねぇし……さて、どうするか。
そういやゆうきがヨーヨーつりがあるとか言ってたっけ……そのせいで見失ったんだけど。……ん? あれっ? 今度はアイツがいねぇ! どこ行きやがったんだ! まさかこの数分でいなくなるなんて思わなかった……。

「皆して何なんだよ……」

まぁほっといてもいいかな……流石に変なとこに行くわけ……。うん、アイツなら行くな。絶対に。アイツの方向音痴は舐めちゃいけなかったわ。っつってもこんな人ゴミでどうやって探せばいいんだ……。そして既に変なところに行っていたらどうしよう。

「ったく……! ホンットめんどくせぇ奴だな……!」

できることならどさくさに紛れて帰ってしまいところだが、アイツが変なとこ行ってたら大変だし……。それに、まずアイツ一人にしたとこでここから帰れるワケがないし。そう、しょうがないからやってるだけで、他に理由なんかない! ……はず。

 *

あれから数十分、あのバカのことを探しているのだが、一向に見つからない。ピンクのツインテールっぽいのも、幼女っぽい浴衣着た奴もいねぇ。ホントにどこ行ったんだ……?

「うひゃあっ……!」

突然、後ろの方からあのアホの声が。もしかして、今の……アイツか?
声のした方に向かってみると、案の定あのアホが。しかも転んだようで、地面に座り込んでいた。

「……おい」
「えっ? て、てんまっ……!?」

まるで何でコイツがいるんだ、というような顔をするショート。なんていうか失礼なやつだな……こっちはお前を探すのに必死だったというのに。

「ほ、ホントにてんまだよね? 別人じゃないよね?」
「ホントのホントにてんまですけど。つかお前何してたの? 探すのめっちゃ苦労したんですけど……」
「えうっ!? あ、あたしだっててんまのこと探してたのにっ……! な、何かにつまずいてよろけちゃって、そのあと周り見たらてんまいないんだもんっ!」

思い切り涙ぐみながら言う。
……これもしかして泣いちゃうフラグ? オレが泣かせちゃう的なアレ?

「だ、だかっ、だからあたし……っ、てんまのこと探しっ……うえええん!」

うあああっ!!?? 泣いた!? 何これオレのせい!!?? オレのせいなのか!!?? っていうか明らかにいろんな人の視線集まってきてる! しかもオレが悪いみたいな感じで見られてる! ど、どうしたらっ……!

「わ、分かったから! オレが悪かった! 泣くな!」
「う、うぅっ……もう一生帰れないかと思った……ぐずっ……」

一向に泣き止む気配がしない……。このままじゃ無駄な視線集まる上にオレが悪者扱いされるし、祭りの雰囲気が悪くなるかもしれない。
——仕方ない、ちょっと別のとこに移動しよう。

「こっち来い!」
「ひゃあっ……!?」


=====作者より=====

わたしもてんまみたいな彼氏ほしい
何が言いたいかっていうとてんまに彼氏になってもらいたry