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Re: とんがりボウシ 〜ほしぞら魔法学校より〜【短編集】 ( No.399 )
日時: 2015/09/05 12:38
名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: WWouN6/z)

……行っちゃった。あの3人はホントにすごいなぁ。素直に好きって気持ちを伝えられて……。羨ましい、かもしれない。

「……あれ?」

誰もいなくなった千夏の部屋を見回すと、アルバムらしきものが置いてある。それも、けっこう昔のものであろうアルバムが。
……千夏がここに来た時に持ってきたのかな。

「千夏たちと、てんまの、小さい頃の写真がいっぱい……」

そういえば、千夏はこの頃からてんまのことが好きだったんだっけ。……千夏と比べたら、あたしがてんまのことが好きだってことを自覚したのなんて、最近のことなんだなって思っちゃう。

「なんかてんまが女装してる写真多いなぁ。千夏たちが言ってたこと、ホントなんだな……」

女装の写真は、嫌そうな顔で写ってるのばかり。でもホントにすごく似合ってる。てんま可愛いなぁ……。あたしも、この頃のてんまを見てみたかったな……。きっと写真で見るよりもすっごく可愛いんだろうなー。
そんなことを思いながら、あたしは千夏のアルバムを元の位置に戻した。そして、何故かゆうきにもらったてんまの写真をカバンから出してみた。

「……よく10年でこんな憎たらしい表情ができるようになったなぁ」

てんまに何か言われてムカつくことなんていくらでもある。そもそもそれが原因で最初はてんまのことなんか大嫌いだった。……大嫌いだったはずなのに、こんなに好きになっちゃった。
だって、ホントはすごく優しくて、可愛いとこもあって……だから……

「大好きだよ、てんま……」

そう呟きながら、あたしは手に持っていたてんまの写真にキスをした。

「————やっぱり、ここにいた……」

突然ドアが開き、声がしたので慌てて写真をカバンにしまって、声のした方に振り返ってみると、てんまがいた。

「なっ、なななんでてんまがここにっ……!?」

あまりの恥ずかしさに身体全身が火を吹くかのように火照った。
さっきの、聞かれてないよねっ……!?

「なんでって……お前がここに来ようって言ったのにいなかったから……具合でも悪いのか?」
「べ、別に具合悪くなんて、ないよ……」
「ふーん、ならいいけど……具合悪くないならなんでこんなとこにいたんだよ」
「い、いやその……千夏の部屋にアルバムあったからつい……」
「はぁ?」

恥ずかしすぎててんまのことが直視できない。あたしのこと、わざわざ探しに来てくれたこと、すっごく嬉しいけどでもやっぱり恥ずかしいっ……いっそ消えてしまいたい!

「まぁいいや。具合悪くないなら外行くぞ。ほら」
「う、うん……」

てんまと一緒に外に出ると、とても賑やかで、その場にいるだけで楽しい気持ちになれそうな雰囲気だった。それに、不思議とさっきまでの死ぬほど恥ずかしかった気持ちがどこかへいってしまったような気がした。

「そういえば、千夏とあすかとジュディは?」
「あぁ……なんか3人とも金魚すくいをガチでやり始めて放置された……」

それはそれでちょっとカワイソウ……3人は一体何のためにあたしにてんまを連れてこさせたんだよ。

「……あっ! 輪投げとかあるよ! あたしあれやりたい!」
「お前そういうのヘタクソそうだよな……」
「うるさいっ! ヘタクソでも楽しけりゃいいんだよ!」

さっきまで恥ずかしくて死にそうだったけど……なんかもうそんな気持ちもどっかいっちゃったし、きっとてんまにはあのセリフは聞こえてないと信じて創立祭楽しもーっと!