二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: とんがりボウシ 〜ほしぞら魔法学校より〜【短編集】 ( No.4 )
- 日時: 2013/03/23 11:05
- 名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: R/ygAqMb)
- 参照: オールてんま視点の予定です。
**ソラちゃんとショートちゃん**
「おぉっ! てんま可愛いよ! そのへんの女の子よりよっぽど可愛いよ! 犯罪級で可愛いよ!」
「う、嬉しくねーよ、バカ!」
————女の子の格好をしたオレと、それを見て「可愛い」と連呼してくるゆうき。
それにはワケがある。
数十分ほど前の出来事だ。
「……ねぇ、てんま。女装してみない?」
「…………!!?? はぁ!? お前何言ってるのついに頭湧いたのか!?」
「違うわよ! ……女装して、女の子のフリしてさ、ショートの好きな人とか、探ってみたら?」
——————!? ってそれ、ある意味自滅ではなかろうか。
こいつ、散々オレのこと「応援してる!」とか言っておきながら、アイツの好きな人のことを知って諦めろとでも言いたいのだろうか。
「いいじゃない。いつまでもそのことでモヤモヤしなくても済むと思うわよ?」
「そ、りゃそうかもしれないけど……つか何で女装しなきゃいけないんだよ。そのまま聞けばいいじゃねーか」
「……いや、ショートのこともそうだけど、アンタそんなこと聞けないでしょ」
……ぐうの音も出なかった。
うん、きっとオレにそんな度胸はないし、知ったところで落ち込むだけだ。
落ち込むところに関しては女装してようがしてなかろうがするような気がするが。
「————というわけで、れっつ女装!」
「お前絶対楽しんでるだろー!」
——————と、いうわけなのだ。
そのおかげでオレは今、盛大にフリルをあしらった、日常生活では見たことのないようなドレス風の、パステル調の服を着せられて————……。
「って、アホゆうき! こんなの普通の女子着ないだろ! 逆に目立つし怪しまれる!
せめて普通の服にしてくれよ! これじゃどこぞのアイドルみたいじゃねーか!」
「ちっ、てんまのくせに文句言わないでよね。まぁでもしょうがない。
普通のにしてあげるわよ」
できることなら最初からそうしてほしかった。
そんなこと言ってもコイツは聞き入れなかっただろうけどな。
「————これでよし、っと……」
先ほどの服とは一変、普通の女子中学生が着てそうな淡い水色のパーカーに、白のプリーツスカートを貸してもらった。
それにしても、どうして男のオレが女のゆうきの服が普通に着れるのだろうか。
そろそろ泣いていいんじゃないかとか思えてくる。
「——あ、名前……」
「え? 名前?」
「そうよ。流石に「てんま」なんて名前で行ったらバレちゃうでしょ」
……まぁ確かにそうかもしれないけど。
だったら名前出さなきゃ……って、普通名前くらい聞くか……。
「そうだ! ソラちゃんにしましょ!」
「そ、ソラちゃん……?」
「アンタの苗字が「空野」だからソラ! 流石に男の子だと思われるような名前でもないと思うし!」
そ、ソラちゃん……。なんか複雑だ……。
でも、まぁそうするしかないんだろうな……断ったら殴られる。
というかオレはゆうきより弱いのか……やっぱりそろそろ泣いていいんじゃなかろうか。
「というわけで、行ってらっしゃいソラちゃん!」
「えっ、何、オレ一人で行くの!? 怪しまれるし、最初くらい一緒に行ってくれよ……ほら、お前の昔の友達としてとか!」
「え? あー……そっか。流石に見知らぬ女の子が一人でいたら怪しまれるかも。
じゃあそれで行こう! ショートの部屋行くわよー!」
……なんていうか、不安しかないんだけど。
ていうか、女装しても話せる自信があまりないのだが。
——でもやっぱり、知りたいっつう気持ちが……ない、わけじゃない。
ま、まぁバレなきゃなんとか……なる、よな……?