二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 参照900突破*とんがり 〜ほしぞら魔法学校より〜*短編集 ( No.75 )
日時: 2013/06/01 16:05
名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: 27y4eURD)
参照: http://ameblo.jp/short-scuall13/

千秋と別れて、数分が経ち、あたしたちはもう学生寮に到着していた。と言ってもあたしは一歩も歩いてないんだけど……。

「て、てんま……あのさ、なるべく人に見つからないように行こう……」
「……できることならそうしてぇけど、まず誰かにココ開けてもらわなきゃいけないだろ」

てんまは目の前にある学生寮の玄関を見つめた。
そ、そういえばそうだ……あたしは手動かせないし、てんまはあたしのこと抱っこしてて開けられないし……誰か呼ぶしか、ないよね……。ってことは最低でも一人には見られちゃうんだ……最悪だ! さっき千秋に会ったばっかりだというのに。ああ、お願いだからゆうきとか出てこないで!

「おーい、誰かいないか? 玄関開けてくれー!」

てんまが学生寮に向かって叫ぶと、中から誰か出てきた。それは、あたしが一番出てきて欲しくないと思っていた人……ゆうきだった。

「何よ、てんま。玄関くらい自分で開けなさ——……い、よ?」

文句を言いながら玄関を開けたゆうきは、あたしのことを見るなり吹き出した。こうなるから嫌だったんだ!

「ぎゃはははは! 何、何でアンタらそうなってるの! アハハハハハ!!!!」
「ゆ、ゆうきうるさい! あたしだって好きでこうなったわけじゃない!」
「全面的にこのバカが悪いだけだ!」

何だろう、てんまに全ての罪を擦り付けられた気がする! 確かにあたしが悪いんだけど!

「はー……お腹痛い。で、何でそうなったの? てんまが何かやらかしたの?」
「違うっての。さっきコイツが悪いって言っただろ」
「……? ショートが何かしたの?」

……まぁ色々あったのは事実なんだけど、どうしてゆうきはどちらかが悪いことをしたかのように聞くんだろうか。悪いことっちゃあ悪いことなんだけど。

「コイツが学校の階段から落ちて怪我したからだよ……」
「え、それだけでわざわざお姫様抱っこして帰ってくる必要ある!?」
「それだけって言うにはあまりにもヒドすぎる状態だった気がするけどな……手すら動かせないらしいし」

てんまが呆れたようにあたしのことを見下ろした。
うるさいな……別に頼んだわけじゃないもん! まぁ学校に居続けるのもいけない気がするけど。

「え……っ、じゃあ劇の練習どうするのよ」
「今菖蒲いるんだろ? 菖蒲に薬もらえばいいだろ」
「あー……それもそうね。……ショート、アンタこれからは気をつけなさいよ……」
「わ、分かってるよ!」

自分から手を動かせないくらい派手な転び方できる人ってどんな人さ……。あたしそんな器用じゃないし、痛いのやだし! そこまでして王子役降りたかったわけでもないし……多分。

「つまり、ショートが階段から落ちる事故が起きて、てんまがどさくさに紛れてショートをお姫様抱っこしたってことね?」
「おい何か間違えてんぞお前」
「まぁまぁ、いいじゃない! 結局てんまはいろんな意味で得したってことじゃない!」
「違うわ! 何言ってんだお前!」

喧嘩するのはいいけど、あたしのいないとこでしてよ……。しかも喧嘩してる真ん中にいるとか居心地悪いし……。
——と、二人が大声で喧嘩していると、その声を聞きつけたのか、皆が玄関にやって来た。

「あ、ショートとてんま帰ってきたんだ……ってええぇぇ!!??」
「何なに……えぇっ!? て、ててててんまっ、何してるの!?」
「ぎゃあああ何でお前らいるんだよ!」

ぞろぞろと人が集まってきて、皆があたしたちのことをジロジロと見てくる。
正直言って超逃げたいけど逃げられるなら今あたしはてんまにお姫様抱っこなんかされてないと思うんだ。

「それはね、てんまがイロイロと我慢できなくなって、やることやってそのままこうなっちゃったのよ」
「大嘘をつくな! というかそれネタとして危ないぞ!?」

……? やること、ってなんだろ……? って、いいからさっさと降ろせーっ!


=====作者より=====

参照1000突破する前に演劇祭のお話終わらせるの、無理そうですね……。
よくよく考えたら、参照800突破してから2レスで900突破していたようです……恐ろしい(゜д゜)!

でも嬉しいですヽ(;▽;)ノ

Re: とんがりボウシ 〜ほしぞら魔法学校より〜*短編集 ( No.77 )
日時: 2013/06/02 12:23
名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: 27y4eURD)
参照: http://ameblo.jp/short-scuall13/

てんまが部屋を出て行って少ししてから、菖蒲が部屋に入ってきた。そしてそれとほぼ同時に部屋の外から「ぎゃあああああ!」という叫び声が聞こえてきた。あの声は多分てんまだったと思うんだけど、てんまは何かやらかしたんだろうか……。

「さて、と……私、菖蒲特製のお薬を持ってきましてよ」
「ヒィッ!?」

菖蒲が何やら怪しげな色をした物体を出す。なんというか、あたしが前に作ったチャーハンイン魔女のツメより見た目がひどい気がする。いや……あたしが作ったものはホントに食べれないものだと思うけど。こっちは一応……薬、だもんね。
ただでさえ菖蒲の薬は苦くて不味いんだから、もう少しビジュアルにこだわって欲しい……見た目がもう少し苦く見えなかったら、マシだったと思うんだ。この外見で見た目通りの味なんて嫌すぎるよ!

「飲むのが嫌なのでしたら、この時期にそんな怪我なさらなければよろしいのですわ」
「ごもっともだけど……」
「さぁさぁ、早く飲むのですわ!」

菖蒲に怪しい薬をグイグイと押し付けられて、渋々それを飲むあたし。
……これは苦いとかそういう次元じゃないかもしれない。語彙力のないあたしにはとうてい説明できない味————だ……。

 *

「————あ、れ……あたし……」

ハッ、と目を覚ますと、窓から明るい日差しが差し込んでいた。
……? あたし、あれからどうしたんだっけ……。確か、てんまに部屋につれてきてもらって、それから菖蒲の苦い薬を飲んで……それから、記憶がない……。
——! あ……体、痛くないかも。すっごく不味かったけど、一応効き目はあるんだね……そこに関しては菖蒲に感謝しなきゃ。

「……よ、っと!」

ストン、とベッドから降りて少しだけ体を動かしてみる。多少は痛みがあるものの、日常生活に影響があるほどの痛みではなかった。
これなら、劇の練習もできるかな……。
と、あたしが嬉々としているとガチャリと音がして、誰かが部屋に入ってきた。

「あ、ショート起きたのね」
「ゆうき……おはよ。って、あ、そうだ菖蒲は?」
「あぁ、杜若と一緒に……えーと、そのへんにいた気がするわ」

……つくづくゆうきは使えないなぁ。もう少し記憶力どうにかした方がいいと思う。
そのへんじゃまったく分からないよ!

「ま、まぁ探してくるよ……」
「あ、ちょっと待ちなさいよ! アンタ、パジャマでどっか行く気なわけ!?」

ゆうきに静止されて初めて気付く。
そういや、パジャマのまま————……って、えぇっ!? 何であたし着替えてるの!? 薬飲んだとき制服のままだった気がするんだけど……もしかして、途中で起きて着替えたのかな? ま、いっか……とりあえず着替えよう……。

「って、何でゆうきまだいるの? あたし今から着替えるからどっかいってよ……」
「いいじゃない、女同士なんだから。それ以前にアンタに隠すものなんかないでしょ」
「それどう意味かなぁ!!??」
「そのままよ。て、いうか————……」

ゆうきがニヤニヤしながらあたしのことを見る。

「昨日、見たし」
「————へっ!!??」

え、ちょ、何……見たってどういう意味!?

「いやあ、着痩せとかそういうんじゃなくてホントに無いのねって思ったわよ」
「うるさーいっ! って、そうじゃなくて何それどういうこと!!??」
「は? アンタまだ気付かないわけ? だから、アンタが今パジャマな理由は、それよ。あたしが着替えさせてあげたのよ」

な、ななな何ですとぉーっ!? あぁ、それで着替えた記憶も無いのにパジャマになってたんだね……理由は分かったけど全然嬉しくない……。この際、男子でも良かったからゆうき以外の人に着替えさせて欲しかったっ……!

「てか、アンタ菖蒲に用があるんじゃなかったの? 着替えなくていいの?」
「ああもう、うるさいなぁ! 着替える! ていうかホントどっかいってよー!」

朝から嫌な気分……。ああでも急がないと皆劇の練習始めちゃうよね……急いで着替えなきゃ……。

Re: とんがりボウシ 〜ほしぞら魔法学校より〜*短編集 ( No.78 )
日時: 2013/06/02 17:15
名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: 27y4eURD)
参照: http://ameblo.jp/short-scuall13/

あたしはいつまでも出て行かないゆうきを睨みつけながら早めに着替えて、さっさと菖蒲を探しに行く。
杜若と一緒にいたって言ってたよね。それならすぐ分かるかな……?

「……ん? あ、ショート! もう怪我は平気なのか?」
「え、杜若? あ、うん……もう平気だけど……菖蒲はいないの?」
「姉ちゃんなら温室行ったけど……姉ちゃんに用があるなら後でにした方がいいぞ」
「へ? 何で?」
「いや……多分、昨日ショートに飲ませたあの薬を改良してるらしいから……」
「それは近付かない方がいいね」

万が一にも実験台にされてしまったらかなわない。いや、多分ないだろうけど……とりあえず未だに少しだけ痛いだとかそういうことは誰にも言わないようにしておこう。

「そういえば、杜若はそういうことはしないの?」
「まぁたまにするけど姉ちゃんほどじゃないよ……なんかもう毒薬でも作ってるんじゃないかと錯覚するくらいだ」

菖蒲、なんて恐ろしいことをしているんだ。……毒薬がどんな感じなのかは分からないけど。

「で、姉ちゃんに何の用があるんだ?」
「あ……一応あの薬のおかげで動けるようになったし、お礼を言おうかと思って……」
「え……あ、いや、それはやめた方がいい気がする」
「な、何で? ダメなの?」

お礼言われるのが苦手……とかそういうのでもなさそうだし。何でだろう?

「え、えーっと……理由は言えないけど、やめておいた方がいいぞ」
「何それ。意味分かんないよー」

お礼を言わない方がいい理由を言えないなんて、どんな理由なんだろう。
菖蒲はまた何か企んでるのだろうか……。

「うーん……お礼もそうだけど、いつの間にか気失ってたから、それについても聞きたかったんだけどなぁ……」
「えっ、あ、いや……そ、それはきっと超絶不味かったからだよ! それだよ!」
「そ、そうなの? あ、で、でも確かに死ぬほど不味かったかも……まったく、菖蒲ってば気失うほど不味い薬なんかどうやって作ったのさ……それで今元気なんだけど」

ていうか、不味さで気絶ってのもなかなか……うーん。万が一にもまた菖蒲の薬にお世話になっちゃうことがあったらなんとかあそこまで不味くないのにしてもらおう……。
流石に気絶するほど不味いのは嫌だよっ!

「と、ところでさ……劇の練習、進んでるのか?」
「あ、うんっ、一応ね! 流石にてんまもお姉さんのこと化粧品にしなくなったよ」
「そうか……そりゃよかったな。まさかメインの二人があそこまで演技下手くそだとは思わなかったぜ」
「は、ははは……でも杜若すごく上手だったよね〜。演技とか得意なの?」
「あー……あれは、てんまをいじめたいという気持ちと、常日頃から姉ちゃんを上手く撒くために余計な演技してるからじゃないかな……」

なるほど……こんなとこで菖蒲が役に立つとは。ビックリだね。
それ以前に姉を撒かなきゃいけないって、菖蒲と杜若は一体どんな生活をしているんだろう……?

「あ、そろそろオレも劇の練習するし、行くな! じゃあな!」
「そっか、うん! 分かった、じゃあねー」

あたしから見たら十分上手い上にそこまで役無かった気もするけど……まぁいいか。練習して損はないよね。
それより、あたしも練習しないと……でも、今日はどこでやればいいんだろう。確か今日から学校開かないんだよね……どうしようかなぁ。
練習できそうなとこは皆が使ってるだろうし……うーん、どこ行こうかな。
————って、あ! てんまのことスッカリ忘れてた……よし、まずはてんま探そう!


=====作者より=====

あのネタもこのネタもやりたいと思ってるとこういう風に訳がわかめになるから気をつけたほうがいいです byショート酸