二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: とんがりボウシ 〜ほしぞら魔法学校より〜*短編集 ( No.85 )
- 日時: 2013/06/11 20:59
- 名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: 27y4eURD)
————あれから十数日が過ぎた。
最初こそ噛みまくりの下手くそ演技だったあたしとてんまだが、今ではそれなりに演技できるようになったし、ちょっとずつセリフも覚えてきていた。けど、今日はその劇の練習は無い。理由は簡単、今日は衣装合わせがあるからだ。それはいいのだが、何故か演劇祭について説明された時と同様、皆に講堂に集まるように言われた。何でだろう。
すると、あの時みたいに校長先生がステージに現れた。
「皆さん静かにしてください。ご存知かと思いますが、今日は劇の衣装合わせがあります。先日の身体測定の時のデータを元に衣装を作りましたが、もし問題があれば言ってください。因みにデザインは私です」
……またお前かよ、と心の中で突っ込んでみる。
それにしてもあの好調に衣装のデザインなんて任せて大丈夫なんだろうか。段々不安になってきた……。まぁでもあまりにも変な衣装だったら他の先生とか裏方の人たちに止められるよね……とりあえず先生のことを信じよう。
「えーと……王子役とアリス役のショートとてんま、俺のとこ来てくれー」
黒ちゃんがあたしとてんまの名前を呼ぶ。もしかして役ごとに裏方一人ずつ……みたいな感じなのかなぁ? あ、でも裏方六人に対して役七つか……それであたしとてんま一まとめにされたのかな……。
「フフ……小人役の女子は俺のトコに来るんだ」
「うげっ……なるみかよ」
なるみが言った瞬間不満気な声を漏らしたのは勿論ゆうき。相変わらずなるみのことが嫌いみたいだね。あたしも好きじゃないけど……。
「はーい、王妃役のあさひくん私のとこに来てくださーい」
「わーい」
王妃役は千春かぁ……ていうかあの二人見てるとほのぼのするなぁ……。
「えーっと……アリスのお姉さん役の……誰だっけ、その人あたしのとこ来て!」
「杜若だっ! テメェ俺の名前いい加減覚えろや!」
千冬と杜若って何か同レベル……って感じする。同い年だから別にいいか。でも流石に名前くらい覚えてあげなよ千冬……。
「白雪姫役のコハネくーん、ボクが可愛い衣装着せてあげるからおいで〜」
「うぅ……あんまり行きたくないよう……」
「ほら早く〜」
チョコがコハネを催促する。結局今でも嫌がってるんだね……コハネ……。
「あー……隣の国のお姫様役のイトって人、オレが衣装くれてやるからさっさと来—い」
「貴様ボクに命令するな!」
ゴスペルとイトもあんまり仲良くないんだね……ていうか、あれは命令なのだろうか。
「……おい」
「はわっ、ななな何!?」
「お前さっきからよそ見しすぎ」
「ご、ゴメン……」
他人のこと気にしてる場合じゃなかった……! あたしも衣装合わせがあったんだった……。
「んで、これがてんまでこっちがショートのだ。後ろに仮の試着室みたいなもんがあるからそこ使って着替えてくれ」
「仮の試着室って?」
「なんていうか俺らで手作りした殴ったら壊れそうな危ない試着室だ」
そんなとこで着替えさせるってすごいね! いや別にいいけどさぁ!
まぁ殴ったりしなきゃ壊れないんだろうし、慎重に使ってれば大丈夫だよね。
「折角だから試着室殴って壊れるかちょっと試してみるか」
「試さなくていいよ!」
黒ちゃんってたまに恐ろしいこと言うよね。しかも不思議そうな顔してるし……壊しちゃったら作った意味ないでしょーが!
*
——なんとか着替えを終えて、仮の試着室から出る。すると、小人役の人たちは皆着替え終わったらしく、きゃいきゃい騒いでいた。男子の中でも着替え終わってる人が少しだけいたけど、やはり恥ずかしがっているようだった。
「おい、おい黒さん……」
「何だよ」
「お前……これマジかよ……こんなの着て出れるか……!」
「ん? 何だ着替え終わってるじゃねーか。ほらさっさと出ろ!」
バシッという音とともに女の子……いや、アリスの格好をしたてんまが出てくる。
おお……すごい似合ってる! あの格好で普段の口調で喋られると変な感じするよ! それくらい超似合ってる! 女の子だ!
「て、てんまスゴいよ! まさかここまで似合うなんて思わなかった! 可愛いよ!」
「全然嬉しくねぇんだけ……ブフッ」
「な、なな何……?」
「おっまえ超似合ってねーな! 何だそれ! ここまで男らしくねぇ王子様見たことねーよ!」
「う、うるさいな! あたしは女なんだ!」
てんまみたいに異性の着るような服着たことないからしょうがないじゃん! 女装常連者に敵うわけないもん!
「いやでも、お前のそれはヒドいぞ……」
「……別に似合ってなくてもいいもん。そもそも普通性別違うんだから似合わなくて当たり前なんだもん!」
…………いや、でも他の男子普通に似合ってる! しかも小人役の皆もそれなりに似合ってるというか、デザインが両性が着てもオッケーみたいな感じだから何とも言えない! え、じゃあ似合ってないのあたしだけっ!?
「あははっ、ショートってば小さい子が背伸びして大人っぽい服装してるみたいだよ」
「あ、あさひまで……そ、そんなに似合ってないの……?」
ていうか、これはあれだよ……デザインした校長先生に文句言うべきなんだよ! あの人あたしがこの役やるって知ってるはずだよね!?
「ショート、ショート」
「か、杜若? 何……?」
「髪の毛、後ろで下の方に一つで結んでみたら?」
「へ? う、うん……」
あたしは二つに結んでた髪の毛をほどいて、杜若に言われたよう下の方で一つ結びにしてみた。
……これで何か変わるのかなぁ……?
「うんうん、さっきよりはマシになったと思うよ! まぁまだ可愛いけど……」
「ふえっ!?」
「そこ、いちゃいちゃしてんじゃないわよ」
ゆうきがあたしの頭をはたいてきた。別にいちゃいちゃしてたわけじゃないんだけど……。
まぁ、さっきよりマシになったならいい……かなぁ?
=====作者より======
前回短かったので今回無駄に長くしてみました。小説だけで2300文字こえてしまったwww