二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 参照1200突破*とんがり 〜ほしぞら魔法学校より〜*短編集 ( No.90 )
- 日時: 2013/06/16 00:59
- 名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: 27y4eURD)
- 参照: http://ameblo.jp/short-scuall13/
あたしと杜若は始まりと終わりの扉を潜り抜け、植物魔法学校に到着した。
さっきからずっと思ってるんだけど、菖蒲に取りに行ってこいって言われたやつ分からないまま行って大丈夫なのかなぁ……?
「よし、姉ちゃんの部屋に侵入だ!」
杜若があたしの手を引っ張って菖蒲の部屋と思われるところに連れて行き、菖蒲から借りたのか、鍵を使ってドアを開ける。ドアを開けると、部屋の中はいろいろな植物でいっぱいになっていた。観葉植物のようなものからこれは本当に植物なのか? と疑いたくなるようなものまで、本当にいろいろな種類の植物……のようなものがたくさんあった。
「あ、ショートそのへんの植物は触らない方がいいぞ」
「え、あ、うんっ……で、見つかった?」
「ああ一応な……多分これで合ってると思うんだけど……」
「それで大丈夫なの……?」
間違ってたら殴られるかもう一回行かされるかのどっちかだと思うんだけどな。
「まぁ大丈夫だろ。違ったらそれはそれでしょうがない。ってことでどっか行こうぜ!」
「ちょ、えええ!? どっかってどこ!!??」
「どっかだよ!」
再びあたしの腕を引っ張って駆け出す杜若。予定もなしに出かけようとするなんてまるで……あたしたちみたい。あたしもゆうきもりんねもてんまも割とそういうとこあったりするんだよね……。
*
「……というわけで商店街来てみた」
「ま、まぁ妥当って言えば妥当かも……でも商店街で何するの?」
「え……あ……うーん」
ノープラン万歳。でも商店街なら何か必要なものとか見つかるかも。……必要なものって何だろう。
「あ、そうだCD頼んでたんだった……ずっとほしぞら魔法学校にいたから忘れてた。ってことで取りに行っていいか?」
「別にいいよ?」
……というわけでハロゲンデパートに向かうあたしたち。それにしても平日だというのに結構人いるなぁ……。学校とか行かなくていいのかな? それとも杜若と菖蒲がいないから臨時休校……とか? それだったら羨ましいかも。
——あたしがボーッと周りを見ていたら、いつの間にか杜若がいなくなっていた。
「あ、あれ……? 杜若……?」
ど、どうしよう! 杜若とはぐれちゃった……。方向音痴な上に、人が多いから余計にどっちに行けば分からないし、杜若も見つけらんないよ……!
と、とりあえず色んなとこ歩いてれば見つかるかなぁ……?
*
「……どう、しよう……余計迷子になっちゃった……」
人ごみから抜けられる、と思って出たとこが既に真っ暗だったとこで異変を感じるべきだったんだ……! でも、ここどこなんだろう……。一応外ではないし、デパート内だとは思うんだけど。ダンボールとかよく分からない物がゴチャゴチャしてて進みづらいし……。
それより、どうやって戻ったらいいのかな……? 明るいとこなんかどこにもないし、出口っぽいとことか扉もないし。もしかして、あたしピンチ……!?
- Re: とんがりボウシ 〜ほしぞら魔法学校より〜*短編集 ( No.91 )
- 日時: 2013/06/16 02:03
- 名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: 27y4eURD)
- 参照: http://x91.peps.jp/tkmtenma/
……あれから十数分が経過した。が、出口と言えるような出口は見つからなかった。そもそもあたしはどうやってここまで来たのだろうか。
でもこれからどうしよう……これ以上ワケ分かんないとこは行きたくない……けどここにいるわけにもいかないし……それ以前に杜若はどうなったのかなぁ。
「……ショートか?」
「へ!? か、杜若!!?? な、ななな何でここにっ……!」
後ろを振り返ると、懐中電灯を持った杜若とピカードさんがいた。あたしが混乱してる間に杜若があたしに抱きついてきた。
「杜若……?」
「ショートのバカ! アホ! ドジ! 間抜け! この方向音痴! 心配したんだからな!」
「え、う、ご、ゴメン……」
何かすごく罵倒された気がするけど、それも仕方ないか……。
「何でこんなとこいるんだよ……」
「さ、さぁ……? 気付いたら暗いとこにいて……それでここに」
デパートとかにある階段かと思ってたら全然違ったっていうね。あれ? ああいうとこってもっと明るかったっけ?
「杜若さん、ご友人が見つかってよかったですね」
「あ、は、はい! すいません!」
「あっ……あたしもすいませんでしたッ!!」
あたしと杜若は勢いよく立って、ピカードさんに謝罪する。こんな客が入ったらいけないようなとこに入ってしまったというのに、ピカードさんは笑って許してくれた。
「そういえばショートの服めちゃめちゃ汚れてるけど、お前何してたんだよ」
「く、暗くていろんなとこにぶつかっちゃって……」
てへへ、と舌を出して笑った。すると、杜若が汚れを叩いて落としながら言った。
「んー、これはちゃんと洗濯しないと落ちないかも……ってことでショートこれ脱いだ方がいいと思うぞ」
「ちょっと待ってここ外だよ!?」
確かにすごく汚れてるし、洗濯するべきかもしれないけど……いくら何でもここでは脱げないよ!? 大体ここほしぞら魔法学校でもないのにッ……!
「んー、だから新しい服買ってその服洗濯しよ」
「あ、成程そういうこと————って、えぇぇっ!!??」
わざわざ新しい服買うの!!?? ていうか、あたしファッションセンス無いし、基本制服かジャージしか着ないし……。それに、今金欠なのに……服なんか高くて買えないよっ!!
「か、杜若……あの、あたし今お金無くて……ふ、服なんか買えないんだけど……」
「? 別に俺が払うからいいよ」
「え!!?? 何言ってるのそんなのダメだよッ! た、ただでさえ迷惑かけてるのに……そんなこと、ダメだよ……!」
お友達の間でお金の貸し借りはよくないって言うし……!
「大丈夫、大丈夫。ってことで行くぞー」
「ちょ、待ってよ杜若っ!」
*
————結局杜若につれられてスマイル・ビビにやってきたあたしたち。なんていうか、はっきり言ってあたしここにいるべき人間じゃないんじゃなかろうか。
だって何かこんな……流行の最先端取り入れてそうな人が来るとこだよここ……。あたしなんか制服とジャージで十分な女だというのに。しかも今思い切り汚れてるし。
うう、何だかいたたまれないよう……!
=====作者より=====
参照にHPのURL貼ってみました・・・よかったら・・・(/ω・\)チラッ
- Re: とんがりボウシ 〜ほしぞら魔法学校より〜*短編集 ( No.92 )
- 日時: 2013/06/16 11:32
- 名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: 27y4eURD)
- 参照: http://x91.peps.jp/tkmtenma/
「ショート、これとかどうだ?」
「ちょ、ちょっと待ってってば……さっきも言ったけど、あたしお金無いんだってば……!」
「だーかーら、俺が払うから平気だってば。いいからこれ着てみてよ」
杜若があたしに服を押し付ける。
……しょうがない。とりあえず着るだけ着てみよう……。それであたしに似合わなけりゃ買うなんて言わないよね……多分こんなシャレたとこにあたしに似合う服なんか無いはずだし! きっと大丈夫!
「……杜若、着たのはいいんだけど……なんなのこれスカート短すぎだよッ……!」
「うん、普段ショートの着てる制服のスカート長いから新鮮だな」
「そうじゃないよっ! こんなの恥ずかしすぎるよ! こんなカッコで外出れないよー!」
杜若はどこでこんな短いスカート見つけたんだろう。それ以前にこんなスカート作った奴誰だよ! 殴りたい!
スカートはもっと長くていいんですっ!
「うーん……すごい似合ってるけど……そうだな……こんな可愛いショート、ほかの奴らに見せたくないし……」
「? 何ブツブツ言ってるの? ねぇねぇ他のにしようよ〜〜! お願いだからぁ!」
「え、あ、そ、そうだな。じゃあ他のに……って、ん? あ、あそこに置いてある服着てみてよ」
「へ? う、うん……」
杜若はあたしの代わりにその置いてある服を持ってくる。そしてあたしは試着室でなるべく早めに着替えをする。
……この服そのものはすごく可愛いけど、はっきり言ってあたしには似合わないと思うんだけど……。こんな派手で可愛い服、地味なあたしが着たって、服が霞んで見えるだけだね。
「ショート、着替え終わった?」
「う、うん……でも、似合ってないというか……その……」
あたしが言いよどんでいると、杜若が試着室のドアを思い切り開けてきた。
「ちょ、ちょちょちょっと杜若っ……!?」
さっきまでドアに手をついていたせいで、引っ張られた衝撃とともに前に倒れる。転ぶ、と思ったけど、前にいた杜若に抱きかかえられていた。
「あ、の……杜若……?」
「………………可愛い」
「……え? って、あ、あぁっ! ふ、服は可愛いよね……!」
「そういうわけじゃねーよ。……似合ってる。可愛いよショート」
「…………ッ!!??」
顔が一気に火照ったのが自分でも分かった。顔どころか、体全体が火照っているような気さえする。
普段、可愛いなんて言われたりしないから……。だから、その分余計にドキドキしちゃう。
「……ショート、顔真っ赤だけど大丈夫?」
「! だ、だって……杜若が、真面目な顔で可愛い……とか、言うから……。そんなこと、あんまり言われたことないもん……」
「そうなのか? まぁ俺はいつもショートのこと可愛いと思ってるけどな!」
「は!? なっ、ななな何言って……!」
「そんなことよりそれ着ていくからさっさと汚れた服まとめてこい」
無視!? それにしても、ホントにいいのかなぁ……いや、やっぱりよくないよね! 後でちゃんとお金返さなきゃ……! でもこれいくらなんだろう?
服に付いていたタグを見てみると、そこには「50,000リッチ」と表記されていた。
……五万? え? いや、ゼロが四つあったら……次は、万……で合ってるよね? へ!? これ五万!?
「かっ、かかかか杜若! いーよ! あたし向こうにある千円くらいのシャツ着ていくから……!」
「は? いいって言ってるだろ」
「で、でもこんな高いお洋服……」
「いいって言ってるだろ! いいからさっさと服まとめてこいっての!」
「ひえええええ!!」
半ば強制的に試着室に戻される。
で、ででででもやっぱりこんなの悪いよね……五万だよ? あたしそんなに貯金してあったかな……? いや、貯金が無かったら稼ぐしか無いよね……!
- Re: とんがりボウシ 〜ほしぞら魔法学校より〜*短編集 ( No.93 )
- 日時: 2013/06/16 14:25
- 名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: 27y4eURD)
- 参照: http://x91.peps.jp/tkmtenma/
杜若が会計を済ませ、あたしたちは店の外に出る。
「ふっ、ふふふ服のお金……借金してでも返すからっ……!」
「ハァ!? だから、さっきからいいって言ってるだろ!」
「でもだって、こんな……!」
「いいっつの。俺がお前のために買った服なんだから、いいんだよ」
「…………う、ん……。あ、ありがとう……」
——そういえば、杜若と二人でどっか行くなんて、あんまり無いよなぁ……。学校が違うっていうのもあるけど。大抵、他に誰かがいたり出かけるとかじゃなくてちょっとした用事とかだったりするし……。
な、何か急に緊張してきたッ……! アアア、平常心、平常心を保つんだ、あたしっ!
「おいショート……顔が面白いことになってるけど大丈夫か?」
「ふえっ!!?? あ、う、うん全然大丈夫何の問題もないよ!」
「そうか……?」
だ、ダメだっ……上手く表情が作れない。どうしても顔が引きつってしまう。このままじゃ変な子だと思われちゃうよ……!
でも、でも……何かあたしおかしいよ! さっきから、あたし変だよー!
「ショート、ホントに平気か? 熱でもあるんじゃないか?」
「ひゃっ……」
コツン、と額と額がくっつく。それとともに再びあたしの体温が急上昇する。
「な、な、なっ……!?」
「んー、熱はないみてぇだけど……」
ちょ、ま、ええっ……!? か、杜若は一体何を……? て、いうか……顔、近いよっ……! こ、こんなの恥ずかしいよぉ!
「あ、の……杜若……顔、近……」
「おお……悪い」
何だろ……あたしはこんなにドキドキしてるというのに、杜若は平然としてて、ズルい……! あたしばっかりドキドキさせて、ズルいよ杜若……!
あたしだって、いつもだったら平気なのに……何で今日はこんなにドキドキしちゃうんだろう。だったら、今日はいつもと何か違うの? でも、だとしたら何が違うの? 分かんない、分かんないよ……。
「うう……やっぱ今日のあたし、変……」
「……? どうした? 気分悪いのか?」
杜若があたしの顔を覗き込んでくる。少し落ち着いてきたと思った心臓が、まだ大きく鼓動を打つ。
「………………いよ……」
「え?」
「か、杜若ばっか……ずるいよっ……!」
真っ赤な顔のまま、叫んだ。
「あ、あたしのこと……こんなにドキドキさせて……なのに杜若はいつも通りでっ……! 〜〜〜〜……バカ! 杜若のバカァ〜〜〜!」
先程まで思っていたことを全て口に出す。そして、口に出してから思った。あたしは何て恥ずかしいことを言ってしまったんだろう、と。けど、時すでに遅し……言ってしまったことはもう取り消せない!
恥ずかしさと、さっきから無駄な考え事をしてた上に大きな声で叫んでしまったせいか、腰が抜けて地面に座り込んでしまった。そして、何故か目からとめどなく涙があふれてきた。
「う、うぅ……」
あたしが座り込んだまま涙を拭っていると、杜若があたしの近くに来た。そしてその場にかがんであたしの頬をつねってきた。
……って、えぇ!!?? 何で!?
- Re: とんがりボウシ 〜ほしぞら魔法学校より〜*短編集 ( No.94 )
- 日時: 2013/06/17 21:04
- 名前: ショート ◆RNBm3A/DrQ (ID: 27y4eURD)
- 参照: http://x91.peps.jp/tkmtenma/
「い、痛いよ杜若ぁ〜……」
あたしがボロボロ涙をこぼしながら訴えると、杜若はようやく頬をつねる手を離してくれた。そして、ゆっくりと口を開く。
「…………いつも通りでいられるわけ、ないだろ」
「え?」
みるみるうちに杜若の頬が紅潮していく。まるで、ポストのように。
「ホントは、お前を誘った時からずっとドキドキしてたんだよ……!」
「………………へ?」
「〜〜〜〜〜ッ!! お前人の言ったこと忘れるの早すぎッ!」
え、えええ? 何であたし怒られてるの? 思考が全然追いつかないよ……!
「……何回言わせる気だよ。俺はお前が好きなんだよ! 少なくとも俺は、好きな奴と……お前と一緒にいたら、ドキドキするんだよ! 悪いか!」
「……わ、悪く、ない……です」
その後、沈黙が続いた。きっと周りから見ればなんてことない時間だったんだろうけど、あたしは数時間くらい時間が経ってしまったかのように感じる。
……そして、話しかけるキッカケが、見つからない。言葉が、見つからない。
「………………まぁ、その……いろんな意味でお前のこと困らせるようなことして、悪かった……。別にショートを困らせたかったわけじゃなくて……あの……えーと」
「……ううん、あ、あたしこそごめんね。突然泣いたりして」
再び沈黙する。けれど、今度はどちらからともなく吹き出して、すぐにまた明るい雰囲気に戻る。
「ショート、お前涙の筋残ってるぞ」
「へ? え、あ、あはは……」
————結局、何故か近いから海に行こうという話になって、海に行くことになった。しかも、ついでにそこで顔を洗えと言われ海水で顔を洗ったら少し顔がベタベタになってしまった。何だかいろいろ悔しかったので海水を手ですくって、杜若にかけてやった。そしたら何だかんだで二人して靴と靴下まで脱いで海ではしゃいでしまった。
「はー、また服が汚れちゃった……」
「天気もいいし、海水だったらそのうち乾くだろ。まだ日も出てるしさ。そのかわり蒸発して水分飛んで塩が現れるかもしれねーけどな」
「現れるって……生き物じゃないんだから」
「ははは!」
あたしと杜若が海から出ようとしたところで、あたしはハッとした。
濡れた足で砂浜歩いたら、足の裏に砂がついちゃう……! そしてそのまま靴下なんか履いたら、泥だらけになってしまう! でも、周りに草とかないし……どうしよう?
「……? ショート、どうかしたのか? 深刻そうな顔して……」
「え、あ、や、大したことじゃないの! 気にしないで!」
「その割にはかなり神妙な顔してたけど……」
「え? ほ、ホントに大したことじゃないよ。足が濡れたまま砂浜歩いたら砂がくっついちゃうから、どうしようかなって……それだけ!」
あたしがそう言うと、杜若があたしのいるところに近付いて来て、あたしのことを何故かお姫様抱っこしてきた。
「ちょ、ちょっと杜若ッ……!? 何するの、降ろしてよーっ!」
「やーだよっ! だってそのまま歩きたくないんだろ? だったらこうするしかねーじゃん?」
「い、いいよ! 普通に歩いてくからぁーっ!」
「丁重にお断りさせていただきます」
「何で!!??」
意味がわからないよ! ていうか前に階段から派手に落ちた時もこんなことがあったよね! あの時はてんまだったけど!
「んー……本音言えばあの時、てんまに嫉妬したから? かな?」
「何それ意味分かんないよいいから降ろしてーっ!」
「……これだからこの超鈍感女は……。じゃあ分かるまで降ろさない」
「何でぇーっ!!??」
その後、最終的に杜若に草むらまでつれていってもらって、ハンカチで足を拭いてから靴下と靴を履き、ほしぞら魔法学校に帰った。勿論、杜若からしたら帰ったとは言わないのだろうけど。
そして、あたしが、この日の夜杜若とてんまが大喧嘩したことを知るのは、少し先の話です————。