二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:第六十四話 ( No.104 )
日時: 2013/06/12 21:57
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
参照: 友達に戻れたらそれ以上はもう望まないさ


「ソレ、頂戴? ダメなら君を貰って行くよ?」
「あげます。いや寧ろ貴方のために持ってきましたので。」

 ルピナスを指差しながらウインクしたシトリーに僕がスケルトンの標本を渡す。……まさかこれが良い物!?
 「スケさん」の名前はは多分「助さん」だと思う。ありがとう、おかげで先に進めるよ。


                        * * *


「わあ、レバー発見。」
「何だろう、助さん以外に苦戦した者存在しかった。」
「お前に至っては苦戦の欠片すらなかったがな。」
「……シトリーに狙われてたっけね、ルピナス。」
「嫌だ女子に間違えられたとか凄く!」

「……僕、男子に間違えられることすらあるけどね。」

 ボソッと呟くと、ルピナスが無言でレバーを引き上げた。いや、今何か爆音的なのが聞こえた気がする……。

「よし、帰るぞ。」
「う、うん。」

 恐ろしく暗いオーラを放っているルピナス。僕は勿論迫力負けだった。で、ちょっと下にはシトリーいますけど。どうするんですか? ルピナスさん。

「これを使ってここを下る。頑張れよ?」

 ニヤリと笑うルピナスはこれ——蔓(つる)をレバーに引っ掛けてから下りて行った。

「……シトリーよりはマシだよね。多分。」

 レバーが上にガクンと上がると同時に僕は蔓に掴まった。


「酔った。」
「酔うなよ。千切れなかっただけマシだろ。」

 そう言いながらルピナスは蔓を勢い良く振り回して回収した。シトリー来そうだからかな。
 まあとりあえず、回収されてる蔓を見ているうちに体調も良くなってきた。

「よし、サッサと戻ろう。」
「そうだな——っと、これで早く行ける。」

 と、僕の目の前の彼岸花だらけの景色が、一瞬にして薄い青一色に染まる。持ち上げられている事に気付くのは、多分相当の時間が掛かっただろう。

「うわあああぁああぁあぁああぁぁぁ!?」
「落ち着け、てか耳元で叫ぶな五月蠅い。」

 そう、薄い青一色と言うのは、……多分、ルピナスの髪。うん、僕って運がない。耳元で叫んだことは全力で土下座して謝りたい。
 しかも髪が当たるってことは後ろ向きでしょ? つまり、僕はこの人に抱えられてることになる訳だ。すぐにでも降ろして欲しい。
 ルピナスは普通に歩いてるし。

「走れないの?」
「じゃあ、走って良い……?」
「え、えー……。」

 訊くんじゃなかった……。このパターンって基本嫌なことしか起こらないよね。

「——じゃあ行く。気を付けとかないと落ちるからな。」

 と同時に僕の髪の毛が僕の目の前にバサッと被さって来る。地面に咲き乱れている彼岸花も、僕とルピナスの下だけは抉れて茶色の土に変わっている。
 ……あー、落ちないようにってこう言うことか。納得だね。落ちたらダメだこれは。
 僕はルピナスの肩をしっかり掴んだ。