二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:番外編 ( No.114 )
日時: 2013/06/24 20:29
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
参照: 更新できた!


 やってしまった。いくら緊急事態だったとは言え、自分の家に異性を連れて来たなんて誰にも言えない……!!
 あの後、アルバは案の定? 倒れた。で、あたしは傘持ちながらその倒れたアルバをおぶって帰って来た。と、言う訳で。
 言うまでもなく、すれ違う人全員に白い目で見られた。

「でも……、納得かな。」

 何かあったら困る、多分さっきみたいなことが度々起こるんだろう。そう考えるとアルバも大変だと思う。

「……ここどこ?」
「えぁ!? えっと、あたしの家だよ? おはよう、大丈夫?」

 いつの間にか起きていたアルバに驚きながらも、あたしはギリギリ話ができた。

「ありがとう。多分大丈夫だと思う。……いや、大丈夫じゃない!!」
「大丈夫じゃないの!? なんで?」
「初めて他人の家に来たし女だし————……。」

 あたしの部屋で徐々に小さくして行き、結果的にほとんど何も聞こえなくなったアルバの声。何が言いたかったんだろ。
 今まで他人の家に来たことがないみたいだし……。どんな生活してたんだ、この人。

「——あ、ありがとう。俺帰るね?」
「ねえ、アルバってここに来る前何してたの?」

 あたしは思い切って聞いてみた。

「病院生活と……虐待?」
「ふーん……はいぃ!?」

 布団から勢いよく起き上がりながら言った言葉に、自分で聞いといて軽く流しそうになる。
 病院生活はさっきの様子を見たら納得できるけど、虐待ってどういうことだろう。

「まあ、俺が勝手にそう思ってただけだけど。本人がいじめと思えばいじめなのと同じ理屈だよ。大丈夫。」
「いや、大丈夫じゃないだろ!!」

 あたしは反射的にそう叫び、部屋から出ようとしていたアルバの腕を引っ張り椅子に座らせ——

「詰問ターイム!!!」
「き、詰問!? ふざけるな!!」


                        * * *


「……疲れた。なんで三十分もこんな目に遭うんだよ。」
「元はと言えばアンタの生活態度がどう見ても悪いからだよ! 実際悪いし!」

 今、詰問(きつもん)タイムは終了した。
 あたしも疲れたけど、友達のためだ。手伝えることは手伝わないとね!

「とりあえず運動が足りないね。サフランの兄弟にでも相談したら良いかな。」
「まあ、この体であんだけ走れば疲れるな……。サフランって花の名前だよな?」

 アルバが苦笑いをしながら言う。
 サフランって花の名前だったんだ。初めて知った……。

「あたしも友達増やしたいし一緒に頑張るよ! じゃあ行こうか!!」
「お、俺帰りたいんだけど!?」
「今日中に予約しとこう? あの二人、常に町走りまわってんだから家の前で待っとかないと!」

 あたしがニッコリ笑って言うと、アルバは背負っていた荷物をズザザッと引きずりながら着いてきた。
 窓を見ると、雨は既に止んでいて、空には今まで見た中で一番綺麗な虹が出ていた。