二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re:第七十三話 ( No.119 )
- 日時: 2013/07/01 22:24
- 名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
「じゃあ、下に戻らないと!」
「……うん、その心配はないよ?」
フェイちゃんがニヤリと笑いながら言った。
「でも、これじゃあアルバ助けれないんだけど」
「——私の出番、だね」
そう呟いたと同時に、フェイちゃんは手に持っていた杖を上に掲げ、魔法語を唱え始めた。
ちょっと命の危険を感じたから、とりあえず僕は壁に体を寄せた。
丁度、魔法語を唱え終わったフェイちゃんは手紙が置いてあった台を、杖で思い切り殴った。
「ほら、コレがアルバの……魂的な物? で、こっちはよく分かんないけどリンネちゃんにあげる!!」
「ほえぇー……って僕になんで刀なの!?」
台の中からは、宝箱みたいな物と、その下にぱっと見たところ長い棒が出てきた。
宝箱みたいな物——アルバの魂的な物を両手に持って、フェイちゃんがよく分かんないと言った長い棒の正体は、刀だった。
武器は氷で間に合ってるんだけどな……。
「と、止まれ!! 動くな!!」
階段から誰かが来た。振り返ると、……ボス? 由美さんが殴り倒した雑魚がいた。
「その刀使ってみてよ、この前のお芝居凄かったもん!! 途中からのアドリブとか」
隣りでフェイちゃんが目を輝かせている。
「うん、あのアドリブは僕もある意味凄いと思った。」
「そうそう! ソレの本番みたいな感じでやってみてよ!!」
フェイちゃんが不気味なまでに良い笑顔を見せた。
まあ、僕は刀とか使ったことないからどうすれば良いか分かんないし、魔法を利用しようと思ってるんだけどね。
僕が刃の部分を凍らせて斬りかかったら、いきなり刀が光り出した。
「うわああぁあぁぁあぁあぁあああぁぁぁ————……」
断末魔みたいな声が聞こえた直後、僕の意識は完全に途切れた。
「……! ぎゃあぁ!?」
目を開いた瞬間にシレッと僕の目の前で本を読んでいるカミュさんに驚いて思わず立ち上がる。ついでに僕が座っていたっぽい椅子が転倒した。
「やっと起きた。最上階で刃物持って倒れてる女子とか初めて見た」
「フェイちゃんは? 僕の近くに誰か倒れてなかった?」
「は? お前とフェイだけだったけど? いや寧ろ他にいたのか? 馬鹿じゃねェの?」
本をバタンと閉じて、今までの厨二病っぽい印象が消える位に普通の口調で毒舌を披露するカミュさん。
失敗したのかな、斬りかかるのに。
「あぁ、んでコレがお前の持ってた刀。分かったら出て行け、もう八時回ってる」
「う、うん。ってここカミュさんの家だったの!?」
「学生寮は静かに」
「あ、うん。……ありがとう」
カミュさんがフェイちゃんから貰った刀を差し出して言った。
学生寮に住んでたんだ、この人。野宿とかしてそうなイメージがあった。いや、野宿は僕か……。
そんな馬鹿らしいことを考えながら部屋を出ると、フェイちゃんと由美さんが待ち構えていた。
「ねェ! どうだった!? どんなこと訊かれた!?」
「フェイちゃん、まずは心配しないと。えっと、リンネちゃん体に異常とかない?」
「はい、ありません。あ、うん。何も訊かれなかったけど?」
「……えぇ!? あんなに拷問してやるとか言ってたのに!?」
「何それ拷問!? どちらかと言うと詰問だろそこは!!」
僕達が色んな意味で意味不明なことを言い合っていると
「うるせェ!! もう夜なんだ! 黙って家に帰れ!!!」
と、柿……見方によっては南瓜(かぼちゃ)にも見えるおじさんに怒鳴られた。ぶっちゃけコイツの声の方が五月蠅い。
「ごめんなさい。じゃあリンネばいばい! 私達は学生寮に住んでるから遊びに来てね!!」
「うん、分かった。またね」
そう言ってから学生寮を出た後に僕は、気になることがあった。
——なんでこの刀はなぜいきなり光ったのか。
——ボスはどうなったのか。
この二つ。でも、僕は今、重大なことを思い出した。なんで忘れてたのかすら分からない。
「アルバ……、大丈夫だよね……?」