二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:番外編 ( No.12 )
日時: 2013/04/20 14:25
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)
参照: 突破したので……。


 知らない間に僕は、レンガ造りの建物の中にいた。目を開き、まず見えたのは火のついた綺麗な暖炉。
 ふとその左側に茶色いじゅうたんが見えた。見てみるとそこにはじゅうたんよりも濃い色の机と、その上に羽ペンと丸い電灯。そして奥には窓があり、向こうは真っ暗で雪が降っている。
 その机と窓の間に、太陽のような顔をした、青い目の何かがいた。

「よく来たね。ここは、はじまりとおわりの部屋。星のめぐりを見て、きみがここにくることはしっていたよ。」

 その何かは僕に向かって話しかけてきた。人とはかけ離れた姿だけど、不思議と怖いとは思わなかった。

「————きみは、魔法使いになるためにここにきたんだね?」

 僕はこれからどうすれば良いかも分からない。気が付いたらここにいた。だから僕は、この部屋に唯一いるこの何かしか頼ることができない。
 この何かが「魔法使い」になるためにきたかを聞くって言うことは、この部屋は魔法使いになる人が来る場所なんだと思う。

「……はい。」

 余計な言葉は必要ないだろう、僕ははいとだけ答えた。今は、こうすれば良いと思う。
 さっきまでの記憶はある。でも、どうやってここに来たのかは分からない。それに、もしかしたら僕の中の声の正体が分かるかもしれないから。

「うむ。それでは、入学手続きを進めるとしよう。きみの名前は、なんというのだ?」

 その何かが僕に名前を聞いてきた。

「十六夜……。十六夜 霖音。」
「そうか、霖音と言うのか。……うむ、よい名だ。では、きみが生まれた月は?」
「三月。」
「生まれた日は?」
「十日。」
「ホホー。きみは、ものをたのまれると断れないタイプだな?」

 断る時は断るけど、基本的にはまあ、断らないと思う。僕はコクンと頷いた。

「『まじょのはな座』の性格そのものという感じだ。さて……次にきみの性別を教えてほしい。」
「えぇ……。」

 まさかの爆弾発言に戸惑う。僕の格好を見てその台詞を吐くか。

「女の……子?」
「では、最後に……。きみは、どの学校に行きたいのかね?」

 そう言って、何かは僕の前に紙を出した。
 五月雨魔法学校、皐月魔法学校————。沢山の魔法学校の中、僕は気になるものがあった。『樹氷魔法学校』と書いてあった。なんで気になったかは分からないけど、勘かな。

「樹氷魔法学校。」
「うむ……。わかった。きみの行き先が決まった。質問は、以上だ。間違いは、ないかね?」
「……間違いない。」

「うむ……。それでは、そのとびらから進みなさい。」

 何かがそう言って、暖炉の逆、机の左側を指差した。僕はその方向へ歩いて行く。

「がんばりなさい。きみなら、きっと大魔法使いになれる……。」

 そう聞こえたと同時に、とびらが開き、視界がぼやけた。

 僕の樹氷魔法学校生活は、ここから始まった。