二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re:第七十六話 ( No.124 )
日時: 2013/07/13 01:13
名前: 水無月 紅雪 ◆zW64EWZ0Wo (ID: nlCdadAl)


「今日、七夕だってさ」
「七夕って?」
「とある行事。皆を呼んでパーティーしようよ!」
「え、ちょっ、なにそ——」
「んじゃあ今から呼んで来るね!!!」

 昨日風邪が治った宙と、最近酷い目に遭ってばかりの僕の、この会話が意味不明な事件を起こすきっかけとなった。




「さーてと! 明日どうせ休みだから、今日は七夕パーティしまーす!!」

 アルバがさくら魔法学校から帰って来た時に色々あった丘。あの時のメンバーと由美さんサトルさんとソアラとか。その辺の人達がゾロゾロ来てた。
 宙が「たんざく」を持って来て、

「ここに願い事を書くんだ。あ、好きな色言ってねー!」

と、軽く説明をしてくれた。
 僕はたんざくと一緒に配られた鉛筆を持ってソアラの隣に行った。少しだけ気になることがあったから。

「ソアラ、ちょっと訊きたいことがあるんだけど。良いかな?」
「うーん……。願い事考えてくれるなら……」
「分かった。で、質問なんだけどね————」

 僕は、気になること——ロドリア村のことについて質問をした。
 この前夢で見たルピナスの「蔓」とか、ロドリオ村でおじさんに向かって飛んで来た「花」が関係あるんじゃないかな、と言う馬鹿らしいことこの上ないことだけど。
 しかも、ルピナスはロドリオ村のこと知ってたみたいだし……。誘拐事件の時に脳内でロドリオ村ってブツブツ言ってくれてたみたいだし。

「あー……うん。悪人に向かって花がどこからともなくビュンビュンと飛んで来るよ、ロドリオ村は」
「う、うわあ……。あれ、でもなんでいじめっ子達は大丈夫だったの?」
「そりゃあ……、心からの悪人じゃないからじゃない?」
「ふぅん……、ありがとう。願い事、何があるかな……」

 一瞬、ソアラのお父さんのことが頭を過った。室内だから、と言うことはまずない。どこからともなくビュンビュン飛んで来るような花が室内に入らないことはあっても、あんなに変な人が集まってるんだ。あの建物に花は刺さってなかった。うん、納得かな?

   ——お前、馬鹿だよな——

 いきなり単刀直入に言われる。いや、なんで? 僕何か悪いことした!?

「あ、その短冊必ず願い叶うから。変なこと書かない方が良いよ?」

 宙が黒く笑う。いや、ソレ早く行って下さいね!? この上なく怖いです。僕は「大魔法使いになりたい」って書いたけど……。叶うそうですね。ある意味虚しい。

「決めた! 皆の役に立つ存在になる、っと。手伝ってくれてありがとう!」
「あ、うん。願い事が自己満足とかじゃないんだね」
「え? 皆の役に立つのが自己満足、って僕は思ってるんだけど」
「ふぅん……。なら良いけど」

 さすがソアラ、としか……。

「え、ちょ、お前何書いて……!?」

 直後にアルバの奇声っぽい声が聞こえた。
 あやかちゃんの短冊を見ながら。
 ……あぁ、納得。すぐにどう言う意味かを悟る僕。

「あー……。事件発生だね」
「リンネ、大変なのは分かるけど反応薄すぎだよ……。アルバ可哀相……」

 うん。そうだよね……。
 さて、とりあえず短冊を見てみようか。面倒臭い。

「えっと……うわっ、さすがあやかちゃん……」

 アルバを私と同じ年にしたい! だ、そうです。
 にしても、書いた直後に叶う短冊とか、当たりじゃないか……。

「ちっさい……」

 僕が呟くと、ワイワイ騒いでいたアルバ同年代達の視線がアルバへ降り注いだ。
 何かもう、あやかちゃんと同じ七歳なのに凄く小さい。

「やっぱりアルバは昔から小さかったのね……。流石ね」
「あー、そう言えばあの時も白鳥と同じくらいだったっけなァ」
「今思えば、よく白鳥の背超えたよな……」

 皆が口々に昔のアルバの話を始めた。
 ……でも、コレって大分……。

「コレって何気に一大事……」
「だよね……?」

 僕は悟った。
 もう、この先輩達よりもソアラの方が頼りになる、と……。